カラサワの演劇ブログ

演劇関係の雑記、観劇記録、制作日記、その他訃報等。観劇日記は基本辛口。これは自戒とするためでもあります。
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カラサワ@cxp02120


テーマ:
カカフカカ企画『カカフカカVR』観劇、於日暮里d倉庫。


先日長編版を観たカカフカカの、こっちはコント集。コント集と言ってもなんと総数50本強(どこで切っていいかわかんないものもあるので正式には数えられない)、上演時間2時間という常軌を逸したような(笑)レベル。勢いがあるところでないと出来ないだろう。大したものだ、と感服。そのエネルギーには端倪すべからざるものがあると思う。

コントには小技型と力技型があるが、ここは完全に力技型に属するだろう。もちろん長編と同じくほとんどがマンガネタだが、そうでないネタも含めて、とにかく次から次へ、という感じでコントが出てくる。いちいちを完全に理解させようという気もまるでなく、やってみて、受けなかったらはい、次、という感じで別のコントに移る。半分以上は笑えたし、お気に入りの作品(修学旅行コント)などもあって、どちらが好みかと聞かれれば私の嗜好には長編の方が合っていたが、人に勧めるならコント編だな、と思った。

ただ、数が多い分、ひとつひとつのコントの“練り”がちょっと足りない気がして仕方なかった。小さい劇場でじっくりやってみせたら、もっと爆発力のある笑いが得られた筈、というネタが多かったと思う。『座敷童の出るお宿』というのは、妖怪が出るという宿に泊まったカップルが、座敷童そっちのけで熱烈なキスをはじめ、座敷童がじれるという単純なコントだが、座敷童(ウケ)側の反応次第で倍にも三倍にも“引っ張れる”ネタだし、カップルがその後さらにけしからん盛り上がり方をする、という展開になればパターンはいくらでも増やせる。これに限らず、ここのコントは、ネタの引き出しは豊富だが、それをさらにふくらます技術に乏しい気がした。脚本家の頭の中のネタを稽古場で役者たちが三次元にオコす際の工夫が足りないのである。

おそらくこれは、コントの数とそれに伴うダンドリと着替えなどを覚えるのに出演者たちが精一杯で、コント集で最も重要な、お客の感情をとらえて引きずり回す、という部分にまで気が回らなかったことが原因と思われる。ウケたらウケただけで終わらせず、さらに盛っていく、ということを、例えばあぁルナティックシアターのようなコント劇の老舗だったら絶対やるはず、なのだ。出演者たちはアドレナリン出まくっていたことと思うが(塩原奈緒に終演後面会したら、上気したような表情で「楽しかった!」と言っていた)、その興奮をお客にももう少し味あわせてほしいと思う。

それはコントの構成にも言える。これも秘かにお気に入りなのはゲゲゲの鬼太郎ネタで、鬼太郎が戦う妖怪がことごとく「なま返事」「根回し」といった“妖怪ぽい”名前の日常用語で、それらしい反応をするというだけのネタのだが、単純な繰り返しが笑える。……だったら、これは2時間のうち全体に散らばして、「またか」というくらい繰り返してやれば、最後には鬼太郎たちが登場するだけで観客は笑ってしまうくらいレポールをかけられるだろう。演劇は半分“筋を追う”という部分で理性を働かせないといけないが、コントの場合はそれこそ感情を引っ張り回すことに徹底できるのだから、そこを徹底してツイてもらいたい。こちらは笑いに来ているのだから。

笑いと同じく、エロネタもいくつかあったが、そこまでやるならもっと徹底しないと、とじれったく感じた。以前、大学の演劇同好会あがりの女性たちで結成した某劇団の、やはりコント風な舞台を見に行ったとき、そこのうら若き女性たちが、大の男でも引くようなエロネタを徹底してやっていて、エロネタをやるならばここまでやらねばウソ、と感服したことがあった。エロとグロは中途半端がいちばんよろしくない。

何にせよ感じたのは、コントであれ演劇であれ、笑いというものはこちらの官能中枢を刺激するものだけに、麻痺するのも早いということである。今回のコントの連発も、十本目くらいから、何が面白くて何が面白くないのかがちょっと判然としなくなった。ギャグの方向性の異なる、しんみりじっくり笑わせるネタあたりをそこらではさめば脳がリフレッシュできて、さらに笑えたことだろうと思うと、実にもったいない。コントライブにもっとも必要なものは、実はネタの出来不出来以上に、その並べ方、構成なのだということを改めて感じた公演だった。
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