カラサワの演劇ブログ

演劇関係の雑記、観劇記録、制作日記、その他訃報等。観劇日記は基本辛口。これは自戒とするためでもあります。
Twitterでも演劇のこと、おりおりつぶやきます。
カラサワ@cxp02120


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『あぁルナティックシアター』「TOKYO BAKA EXPO 2015」より『泊太貴のヒーローとは何だ?』観劇。下北沢・小劇場「楽園」。

 

泊と私はほぼルナでは入れ違いみたいな感じだったので、一回も共演していないのだが、考えてみればあの頃いたルナの若手というのは驚くべきことに一人として残ってない。そういう意味ではよほどルナの水があっているのだろう、と思っていたが、あまり客演のないルナの若手の中では積極的に天ポリに出張出演したりして、その活動形態はユニークである。 

 

ヒーローオタクであるということは知っていたが、今回、自分で作・演出までやって、ヒーローものへの愛を表明してしまった。 

 

ほぼ泊と相似形のヒーローマニアのニート(泊)と、それに呆れながらも支えていってるしっかり者の妹(佐藤忍)。今日も妹に背中を押されいやいやバイトに出かけた兄は、途に迷っている怪しげな科学者(石井研一郎)を案内して、奇妙な実験室にたどりつく。そこで彼は地上征服をたくらむ悪の組織の存在を知るのだが……。 

 

話の合間に“CMタイム”で物販コーナーがあるなどというルナティック的な奔放な構成と、泊くん自身のヒーローオタク成分が見事に合致したストーリィ、ではあるのだが、うーん、率直な感想ではその二つがうまい具合に融合していない。コメディなのだが、悪の組織の人間(?)関係などが妙にシリアスで、 
「あ、こいつ(失礼)、マジにこれやりたがっているな」 
というところが見えてしまっている。悪の組織のボス(杉本純一)に自分を売り込む謎の女(内藤彩花)のエピソードなどそのまんま、最近の戦隊ものにある悪の組織内の権力争いのパターンの再現なのである。 

 

「好き故にひねれない」 
のか、こういう舞台にするならば、戦隊もののお約束を裏側から描くなどという“客観視によるギャグ化”が必要(以前観た元・天ポリの谷沢龍馬が出演していた『恋するアンチヒーロー』などはその点よく出来ていた)なのだが、それよりも、彼なりのヒーロー論を語りたい部分が勝ってしまっている。いや、何もルナだからギャグにする必要などないのだが、ならもっと開き直ってマジにヒーロー戦隊ものを舞台で再現することに集中すべきだったろう。変にチープなギャグにしているのは逃げに見えてしまう。 

 

“単独ヒーローという属性ゆえに独断専行しがちなキャラクターたちが、ダメ主人公を助けるために協力しあうことの必要性に目覚め、戦隊的に力を合わせることでパワーアップし強大な悪を倒す”というテーマ(『アベンジャーズ』的だが、これ自体は凄くよく出来ているストーリィだ)を強調するには、主人公の“普段のダメさ加減”をもっと描かないとそれが活きてこないのだが、泊演ずるダメニート兄さんは、ダメ男というよりニヒリズムで現実から逃避している高等遊民みたいに見える。……つまり、“すでにカッコいい”のである。これでは、周囲のヒーローたちが、“あまりのダメぶりに力を貸さずにはいられなくなる”という、マイナスゆえの武器がうまく機能しない。

 

……褒めようと思った(かなり予想外に楽しかったので)のに辛口になってしまったが、これも全て、「なまじ出来がいいので、逆に瑕瑾が目立つ」からである。繰り返すがテーマと構成は、このまま東映に持ち込めばいいのに、と思うくらいよく出来ている。ただし、そのままでは、単に舞台でヒーローものをなぞった“ごっこ”に過ぎなくなる。演劇としてこれを成立させるためには、いったんヒーローものの要素を分解・分析した後に再構成することが必要なのである。その上でもう一回、観てみたい(この一回だけの上演ではもったいない熱演)舞台だった。

 

よくこれだけ集めた、と思えるくらい揃った個性的な若い役者たちの“なりきり”演技とアクションはどれも楽しい。石井研一郎がやはり最も場をさらうが、主人公兄妹の死んだ父役の大澤真一郎の声のよさがズ抜けていて印象に残った。内藤彩花は東映の悪役ヒロインとしては“普通な”色気すぎたが、アクションなどは見事。そして佐藤忍の妹役はやはり存在感抜群だった。 

 

稽古不足によるカミ、セリフ忘れによる嫌な間、の多さが最初ちょっと気になったが、聞いたら通しをやれていない(!)とのこと。逆に言えばよく、それでここまでまとめた!

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