シンクパールという若年(大学生)からの子宮頸がん検診を推奨する一般社団法人があります。その代表、難波美智代さんは、以前より政治家への働きかけを積極的に行っており、昨年は自民党からの公募にエントリーしていましたが、今年は一転、希望の党から立候補するとのこと。

 

しかも、昨年のオープンエントリーでお世話になった平将明さんの選挙区へ立候補ということでとても驚きました。

 

http://www.taira-m.jp/2016/04/123no1-no3-no4-no12.html

https://www.youtube.com/watch?v=7YuealjsYAk

 

 

 

さて、「シンクパールは、女性の健康教育と予防医療の推進を行う一般社団法人」ということで、表向きは、女性支援の善意の活動に見えてしまいますが、実際はどうなのでしょう?

 

シンクパールHPにて、どのような情報が提供されているのか検証してみました。

https://thinkpearl.jp/medical/

 

女性のための健康啓発が目的のはずなのに、過度に不安をあおる情報や、誇張した捏造グラフ、さらに、検診の不利益を説明しないなど、偏った記載が複数あることが判明しました。

 

まず、子宮頸がん検診の受診率の国際比較のグラフ。数字と棒グラフの長さをよく見てください。

 

(シンクパールHPより https://thinkpearl.jp/medical/

 

 

日本の棒グラフが、なぜか矮小化されてます(笑) 

42.1%なのに、25%程度の長さしかないのはさすがにやり過ぎでしょう。初歩的なインチキ手段ですが、視覚トリックの効果は絶大です。 日本がダントツに低い受診率に見えますね。

 

 

次に、検診の受診率の数値ですが、そもそも受診率を比較するなら、同じ条件にそろえないと正しい比較はできません。

 

例えば、アメリカでは検診の推奨受診間隔は3年ですが、日本は過去2年の受診率で比較しています。つまり、受診率に算定される期間が、アメリカの2/3ということになります。それを何も説明せずに並べて比較するのはアンフェアでしょう。

 

さらに、年代別の日本の受診率の数字は、受診率をより低く見せるために、過去1年間の受診の数字を用いています。

 

以下のようなケースを仮想事例を想定してみましょう。

 

アメリカの女性84.5%が、推奨通りに3年に1度だけ受診しているとすると、アメリカの過去1年の受診率は、84.5%÷3=28.2% となります。

 

では、下の日本の過去1年の受診率を見てみましょう。 ↓

 

 

過去1年で、40%近い受診率となっている30代~50代は決して低い数字ではありません。

日本の子宮頸がんの単年受診率は、H28年の最新データで20-69歳で33.7%、20-65歳で計算すると、35.5%です(H28国民生活基礎調査 リンク先 表59より)。

 

実際には、毎年受ける人や、全く受けない人もいるので、単純な平均では測れませんが、最低限、過去何年間の受診率なのか、条件を表示するのが公平な比較でしょう。

 

シンクパールのサイトに掲示された、過去3年間に受診率と、過去2年または過去1年の受診率を比較する方法はアンフェアです。

 

なお、アメリカの受診率について補足すると、アメリカでは子宮摘出者に対しても、必要のない検診が長年行われている実態があり、受診率がかさ上げされている可能性も考えられます。

 

 

次に、同じくシンクパールのサイトに掲載されている子宮頸がんの罹患率のグラフを見てみましょう。

 

 

ここでは、20代女性を脅すための高等なテクニックが使われたグラフを掲載しています。

 

どういうことかというと、20-39歳というグループにまとめることにより、20歳からリスクがあるかのように錯覚させることができるのです。

 

このトリックは、自民党の宮崎県議の医師がブログで使っていたトリックと同じです。

<グラフによる情報操作~隠された意図を見抜く1(子宮頸がん)</font>

 

上記の2015年12月に私が書いた記事より転載します。

 

Q1)年齢が20-39歳となっているのはなぜ?

 

A)20代の若い女性でも患者が多いように見せたいからです。

 

若い人の不安をあおって検診やワクチンを勧めたいからです。
本当は、20-24歳と、35-39歳では全然違うのですが、
不安にさせたほうが、患者が増えるので儲かるのです。

 


Q2)2003年までの古いデータを使いまわすのはなぜ?

 

A)検診によって、高度異形成(上皮内がん)が激増してしまい、
最新データを見せると検診の不利益「過剰診断」がバレそうなので隠すためです。

 

では、最新の実際のグラフ(2011年までの罹患)を見てみましょう。
違いが大きすぎてビックリするのではないでしょうか?

 

 

 

まず、20-24歳(水色)に注目です。

 

実は、この年齢層では、検診を始める前は、
子宮頸がんに罹患していた人は10万人に1人もいなかったのです。

 

10万人に1人とはどの程度か想像できますか?

 

20-24歳の各年齢の女性はそれぞれ約60万人です。

日本全国の同年齢の女性のうち年間6人ということです。

北海道や九州なら1人もいないかもしれないですね。

 

しかし、検診の普及により状況が一変します。

 

極めて稀だった疾患が、検診の普及によって、
2011年には、26人/10万人・年 約30倍に激増しました。

 

よく性交渉の弱年齢化などを増加理由と説明していますが、
現在、20代前半で、仮に90%が経験ありと過大に見積もっても、
以前は、その1/30の3%ということはありえないです。

 

若年年齢化の影響もあるかもしれませんが、
それだけでは全く説明がつきません。

 

私は、性交渉の低年齢化は、過剰診断を隠すための目くらましだと思っています。

 


次に、目を引く30-34歳のデータです。

 

1970年代は以前7人程度であったのが、
2003年に47人、2011年は140人に激増です。

 

右肩上がりとか生ぬるい表現ではなく、

まさに、うなぎのぼりの激増中です。

 

30代の子宮頸がん検診受診率(過去2年)は50%に達しています。
(2013年国民生活基礎調査)

 

さらに、妊婦健診によって、半強制的に検診を受けることで、

本来治療不要であった多くの人が、高度異形成を診断されているのです。

 

この世代で子宮頸がんで亡くなる方は、1人程度/10万人・年なので、
その100倍も患者が生み出されていることになります。

 

これは、NATROM氏も指摘する、現代医療の大きな問題、

「過剰診断」の典型例であると言えるでしょう。


 

さて、一般的に老化とともに増える「遺伝子疾患であるがん」が、
20-30代において、30年の間に10-30倍に増えると思いますか?

 

子宮頸がんの死亡リスクは年齢とともに上昇し、基本的には他のがんと同様に中高年の病なのです。20-30代での死亡率は交通事故並みに低いのです。

 

 

 

その他にもこんな記載がありました。

 

・定期的な検診と予防ワクチンの接種によりほぼ100%は予防することができます。

・検診率が100%になれば、子宮頸がんによる死亡は約70%減少するといわれています。
・予防ワクチンは10歳〜45歳の女性に推奨されています。

 

本当ですか????? 

 

そして、シンクパールの検診推奨の情報には、子宮頸がんの具体的な死亡リスクの低さや、検診の害(過剰診断や偽陽性、偽陰性、不安、精神的苦痛、肉体的苦痛等)が書かれておらず、極めて偏った情報が提供されています。

 

女性支援、健康啓発活動のための団体なのですから、これらの情報はあまりにもお粗末と言わざるを得ません。

 

難波さんに悪意があるのかわかりませんが、たとえ善意だとしても、5年以上子宮頸がん中心に活動していながら、これらの問題点に気付いていないとしたら、それもまた問題だと思います。

 

ちなみに、私のブログで何度も書いているように、20代女性に対して、子宮頸がん検診が死亡を減らしたというエビデンスはありません。

 

外国では、むしろ、20代の検診については、そもそも低リスクであることに加え、不妊・流産・早産の害が大きいとして、年齢引き上げや受診間隔を広げる方向です。

 

世界のエビデンスに逆行して、女子大生への検診推奨のクラウドファンディングなど馬鹿げています。

https://a-port.asahi.com/projects/thinkpearl/

 

クラウドファンディングで善意で協力した人もいるでしょう。しかし、支援のつもりの善意が、逆に女性を傷つける活動に加担しているかもしれないことに、関係者が一刻も早く気付いてほしいと願います。

 

 

<関連記事>

 

◆ 時代錯誤の日本の子宮頸がん検診推奨運動(過剰診断と不妊の被害が拡大中)

 

【過剰診断が激増中】 若い女性は子宮頸がん検診を受けないで!

 

子宮頸がんワクチン訴訟に憂うこと~検診推奨で過剰診断を拡大させ病気喧伝に加担するのはやめてほしい

 

 

◆ 20代の子宮頸がん検診は有害無益(偽陽性、過剰診断、不妊、アメリカでは年間5000件の早産も!)

 

宮城悦子氏の「洗脳教育」1~データ改ざんグラフによる印象操作~子宮頸がん検診

 

◆ 続)宮城悦子氏の「洗脳教育」2~データ改ざんグラフによる印象操作 子宮頸がん検診受診率と死亡率

 

◆ 宮城悦子氏の「洗脳教育」3(最終回)~ 子宮頸がん検診で死亡率が下がるという説明はデタラメです!

 

 

※追記※ 難波美智代さんは、「ナンバみちよ」さんと新しい表記でお名前を名乗っているようなので、タイトルを変更して、10/11公開の記事を再投稿しました。また、最近、登記上の代表をプロモーション会社社長の愛葉宣明氏へ変更したようなので、タイトルを一部修正しました。

 

下記NANAさんのブログ記事も併せて読むと、無駄に不安をあおられていた事実がより理解できると思います。

 

子宮頸がんの脅威を誇張するHPVワクチン推進派医師の言説を検証する(本編3)

https://ameblo.jp/nana7770214/entry-12283744724.html