身代わり屋と会うために行く場所・・・隣町のとある公園。
いたって普通な公園なのだが・・・本当にここに夜の12時にいればいるのだろうか?
「・・・あ。」
公園の時計を見たら、ちょうど12時を回ったところだった。公園は・・・変わりなく静まり返っている。
「やっぱり来ないのかなぁ。」
「もしかして、身代わり屋を探してる?」
「そうなんですよ・・・って、えっ!?」
さっきまで誰もいなかったのに、突然私の背後に現れた男性。彼は茶髪で、茶色のフード付きマントみたいなのを羽織っていた。で、みょーにチャラいような・・・。
「えと・・・あなたは一体・・・?」
「あぁ、俺は身代わり屋。よろしくっ!」
「あなたが身代わり屋さん!?」
「そうだけど?もしかして、俺のイメージちょっと違った?」
「ぐっ・・・。」
図星だった。身代わり屋というちょっと重そうな仕事だし、もうちょっとなんかこう・・・シリアスな人?を勝手にイメージしていた。
「まぁいいや。俺に用なんでしょ?身代わりの対象者の写真家なんかあるかな?」
「あ・・・ケータイのやつでよければ。」
「十分だよ。さっ、見せて。」
にっこりとほほ笑む身代わり屋に、私は直輝の写真を見せた。ちょうど・・・あの日に撮った写真。
「ふぅん。じゃああなたの名前とこの人の名前を教えて。」
「私は、渡邉春奈。この人は、高山直輝です。」
「2人の関係は?」
「・・・彼氏と彼女です。」
「へぇー。・・・あれ、この直輝さんって、ホームで飛び込んだ・・・?」
「・・・はい。私の目の前で・・・。」
「そうなんだ。わかった、ありがとう。」
いろいろ私から聞き終えると、身代わり屋は小さなバックから白い人形を取り出した。手足と顔があるだけで、あとは何もない人形だ。
「今から4体の人形を春奈さんに渡す。直輝さんの身代わりになってほしい人形に直輝さんの名前を書いて、地面にたたきつけて。そしたら、身代わりになってくれるよ。・・・ただし、4体目を使うときは依頼者の命・・・つまり、春奈さんが死ぬことになる。人形の代金・・・って考えてくれればいいよ。」
「私が・・・死ぬ・・・。」
「そう。だから4体目を使うときは、よく考えて使ってね。・・・じゃあ、直輝さんが落ちる直前まで時を戻そうか?」
「おねがいしますっ!」
「じゃあ・・・がんばって。」
その言葉とともに、私の意識はだんだん薄れていき、そのまま途切れた。
夏休み終わっちゃうなー