(再再掲)狂躁亭日乘・工業大国‐日本の旗艦『東芝』の落日20161230 | おととひの世界

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(前置き)
TOSHIBAの次は日立製作所?
隠し赤字でてきた
計画的だな

どちらも経営体質は似てる
乳母日傘おんばゲンシリョク
ジジイ経営体質と派閥抗争体質

TOSHIBAは小泉竹中の負の遺産
しかし本決まりは第一次安倍内閣
蒸し返されたくないだろな

ムナシイ教訓だけど
TOSHIBAクラスでも
戦略的経営判断上のミスは
2度目でアウト

ほとんどは一度でアウトなんだよな
TOSHIBA経営陣は2度大間違いをした
それはハッキリとさせなきゃな


とうとう債務超過になりそう?

あのねぇ
東芝というところは
ちょっと普通の会社じゃないんですよ

たんなる名門というところでもない

幕末の発明家・からくり儀衛門
こと田中儀衛門だとかね

この人は結構すごい人
江戸幕府がパリ万博に出品した
1年間無故障で正確に動き続ける時計

単なる時計だけじゃなくて
時計とともにその日その日の天体
いや太陽と月の位置関係まで
全部立体的にわかる
仕掛けになっている

これを出品し
ヨーロッパ人を驚嘆させた
ある意味ダ・ヴィンチ並みの
機械のプロだった

何年か前に
NHKも放送していたけれども
東京大学や京都大学まで協力して

この時の時計を再制作しよう
ということをやったけれど

結局の所ゼンマイができなかったね

ヨーロッパでもできなかったらしい
とても複雑な工程で作られる
鋼鉄が使われているんだけど

さらにそれに日本刀を作る時の
刀鍛冶の技術が加えられていて
しかも鍛えながら
ゼンマイのマキを入れるという

複雑な工程を経て作られている
かなり超絶的な加工技術で

結局現代の日本のハイテクを
持ってしてもできなかったんで

これだけ見ても
江戸時代の日本の加工技術ってのは
当時の世界どころか
現代世界に置き換えたって
全く比類のないものだった
ことがわかる

ところが日本ではそれを
個人の頭の中にノウハウとして
集積されていたんだね

日本がたった20年30年で
当時の世界の列強になってしまった
というのは決して偶然ではないんで

工業化ってのは
原理だけわかっていても
できないんで

そういう見えないノウハウというか
加工製造に関わる技術がないとね

日本から韓国や中国は
それを盗んだけど

日本は西洋からヨーロッパ式の
近代工業導入する前から
そういう下地ノウハウは
あったんですよ

現実にヨーロッパで
18世紀の初めにルイ14世が
ヨーロッパ征服活動やったよね

ルイ14世はそこら中の相続問題に
首を突っ込んできた

スペインオランダ
イタリアにもちょっかいを出した
大戦争になったんだよね

1700年代の初め頃
ヨーロッパ全体でも
銃は10万丁以下だったと言われている

大変高価な武器である上に
製造技術が大変だった

ヨーロッパでさえなかなか
できなかったもの
戦国時代の末期から江戸時代の初めの
日本では少なめに見積もっても

100年前の段階で
16万丁以上があった
と考えられてるんです

オランダやイギリスの東インド会社が
ちゃんと本国に書き送っています

そのことがあるので
簡単に日本に攻め込んで
こなかったんですよ

工業化の基礎ってのは
鉄の加工と製造技術だからね

機械の仕組みはそこから先

これまた江戸時代
止まっていたわけでも
なかったんですよ

そこへたまたま
からくり儀衛門みたいな
天才エンジニアがいて軸になって
『東芝』の基礎が作られてるんです

だから工業大国・日本の
フラッグシップは『東芝』なんですよ

東芝が単なる日本の
代表的なメーカーであると
いうことではないわけ

それが現在沈没しかかっているわけね
将軍家の本家が炎上している
ようなもんなんです
ここに何かがあると
後々大きな影響が出てくる
と私考えてますよ

現在経団連の会長と言ったって
吹けば飛ぶような人しかいないけどね
かつてはそうではなかった

ある意味
総理大臣衆議院議長
そして最高裁判所長官
三権の長にならぶぐらいの
権力者だったよね

特に戦後は現実に
激戦地に行って帰ってきた人が
各企業内で出来そこないの
役立たず老人を全部追放して
社長・会長に納まるという
企業内クーデターが
昭和20年代前半に相次いでいて

表向きなかったことになってるがね
社史にも出てこないんだ
こういう話


政治家がナンヤカンヤ言って来ても
なにくそと跳ね返すだけの
覇気も力も持っていたんですよ
当時の財界は現代と違って

財界にもはっきり
主流と非主流が存在した
例えば三菱グループは
どんなに力があったって
経団連の会長・つまり
財界の最高ポストにはなれないのね

財界の主流には必ず
三井がなるんですよ

何故そうなのか?ということ
とてつもなく長くなるんで
やめとくけど

その三井グループの
代表的なメーカーが『東芝』

一時期新日鉄の会長よくなったけどね
あれは70年代の初めに合併して
できた会社だから

1980年代に行財政改革をやった時の
いわゆる臨調会長に

財界総理と言われた
土光敏夫さんがいたでしょ?

あの人は石川島播磨なんだ
でも経団連会長にするために
わざわざ東芝にちょっと腰掛け
その上で経団連の会長にされた

そのくらい財界の三井主流支配は
徹底的だったし
土光敏夫さんほどの人も
それには逆らえなかった

東芝はそういうポジションの会社だった
日本株式会社の奥の院だよ

それが現在大炎上中だぜ
明らかに日本は曲がり角に来たな

つまり何らかの導入技術を
海外からやる場合でも

それを受け入れて消化するだけの
頭脳やノウハウは
東芝あたりに集積されていたので

まず優先的にそっちが発達させる
というポジションにいた会社だ


うちの母方のじいさん
島津製作所にいた
秀才エンジニアで

ソニーの創業者なんかと友達だった
たしかソニーの創業者グループ
あの2人だけじゃなくて

その多くが東芝から来た人だよ
東芝にはそういう頭脳が
ゴロゴロしていたんだ

ソニーは町工場から出発した
というだけの会社じゃないよ

なんでこんなことになったのか?

結局のところ経産省が
2000年代の半ば

アメリカから原発製造メーカーとして
知られるウェスティングハウスの
買収を持ちかけたところから始まった

経産省としては
イイハナシだと思ったんだろうが
トンデモないババだった

まぁ結局その話に乗ってしまった
東芝の責任でもあるわけだけど

昔陸軍イマ経済産業省
判断を誤ったアナクロ官庁の責任は
重大だと言わざるを得ない

役所ってのは困った連中で
やたらに銀行ひとからげにしたがる
大蔵・財務省もそうだけど

ドデカクすりゃなんとかなる
と思ってるんだよねあの連中は

ドンナにデカイ組織を作っても
『経営意志』がなければ
タンなるどデカイ死体になるだけ
ということが
わかってないんだよ

東芝は見事にそうなってしまったね
もともと派閥人事に明け暮れる
ようになっていたところがあった
慶応出のもと東芝トップ
政権周辺に出入りしていたが

あの人が出てくるようになってから
ますますひどくなったな
オレ慶應大卒っていい所
いっぱいあると思うけれど

彼らが経営トップに来ると
どんな大会社でも
『倒産フラグ』だよ

そういえば東京電力
原発事故起きた時のトップは
慶応だったね

あのエアバッグメーカーも
そうじゃない?

上に独裁者とか女帝とか言われて
ってのがいるところは
大体そいつ慶応だからさ

バブルでつまずいた時の
旧富士銀行もそうだった
慶應OBの大独裁者だったね
ナポレオンとか言われてた

『金融腐蝕列島・呪縛』
高杉良原作で映画化されたけど
あれは旧第一勧業銀行がモデルな
あの問題融資が行われた時の
会長頭取コンビも慶應だった

現時点で東芝の将来
とても暗いと言わざるを得ない
ただヒトコト言っとかなきゃならない

百年以上いや江戸時代以前から
営々とと築き上げてきた
自分たちの技術ノウハウと

原子力産業技術みたいなもの
天秤にかけた罪だよ
結局技術評価能力という
一点に尽きると思う

白物家電まで含めて
ものすごい技術を持っていた

しかしだんだんそれがジリ貧に
なってくると

一気に挽回しようと思ったんだろう

スリーマイル事故1979年
チェルノブイリが1986年

まだ福島の事故が起こる前だった
しかし世界の原子力産業の趨勢が
どうなっているか?

それだけ見てもわかったはずだし
さらに言えば

原子力なるものが

じつは石油を別の形で
燃やしているエネルギー多消費型の
産業に過ぎず

ウラン鉱石を
そのまま燃やすことはできない
ウラン濃縮をやらなければならない
そのためには結局
膨大な石油が必要になるんだよ

それを原子力でやることができない
投入産出表考えたって
石炭石油ガスよりお高くつくのが
わかっていたことだ

にもかかわらず
そっちに走った罪だ
つまり評価能力がなかった
間違えたわけだ

いま問題になっているのは
原子力産業の話だけど
東芝は重大な間違いを

80年代まさに日本の製造業が
勢いピークに達したそのころ

やらかしていたね

舛岡さんという
Wikipediaにも出てくる
有名人が東芝にいて
『フラッシュメモリー』という

後に90年代や2000年代に
ハイテク産業の金城湯池になる
大発明をやっていたのに

当時の主流だった
ランダムアクセスメモリ
いわゆるラム製造に熱中していた
東芝は研究開発人員も
全くさくことしなかった

今とは違い倒産の淵にあった
アメリカのインテル社その他は
すぐにその技術の開発に
取り掛かっていた

韓国のメーカーでさえ
それをやった

もしそれが全部
東芝の独占技術になり
東芝本体がフラッシュメモリの
最大手独占製造元になっていれば

現実にやろうと思えばなれたわけで
自社の技術なんだからな

それだけで年間少なくとも
何兆円もの膨大な黒字を出せたハズ
なのにそれを外国に持って行かれた

罪は重いよ
いや東芝を傾かせたという
だけじゃなくて

それが日本国全体の逸失利益に
なってるんだから
もっと罪は重いと思う

あの開発者とは
東芝本体が訴訟起こされて
和解してるでしょ?

そんなカネあとから払うんだったら
なぜあの時フラッシュメモリー開発に
張り付かせなかったんだよ?

インテルは直ちに
トップ技術者100人以上
張りつかせていたよ

ifを言ってもしょうがないかも
しれないが

たとえ原子力開発で穴が開いても
ウェスティングハウス買収に
失敗しても

あれさえやっとけば
オ釣りがきてまだヒダリウチワで
いられたはずだ

悲しいけれども東芝の失敗は

トップの資質とは結局
評価能力である
それが磨かれていなければ
結局どんな会社組織であっても
滅亡するという

前例になってしまうだろうな

ある意味近代工業国・日本の
墓標と言っていい

しかしまさかそれが
あの東芝になろうとはな