狂躁亭日乘・アメリカン・オルトライト20160830 | おととひの世界

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リンクも始めましたよ

現状次期アメリカ大統領の最有力候補
ヒラリー・クリントン

この人がいかに
軍産複合体の支持を受けており
かつまた大手金融資本の
全面的な支援を受けているにしても

やくたいなき旦那の

マア『旦那の』という言い方自体
そもお前こそ差別主義者だよと
言われそうだけど

第42代大統領ビル・クリントンの
立候補したときの政党は
民主党であるし

ヒラリー・クリントンも
民主党からニューヨーク州選出の
議員となって

この政党のカラーからも
いつまでも黙ったままでいるわけにも
いかなかったであろうし

何よりも史上初の女性大統領
目指すものとして
遊説演説の中で

『ガラスの天井』という言葉を
繰り返して使ってきた

見上げると空が見えるから
伸びるところ一見何もないように見えて

女性にはしっかり
出世を阻む目に見えぬ
上の壁があるということ

ヒラリー・クリントンという人
20代であのリチャード・ニクソンの
ウォーターゲート事件の時

現職大統領を訴追するかどうか
という決定を行うための
超エリート法曹関係者グループの中に
すでに指名される立場にいた

いかに優秀な弁護士だったかということ

それゆえ  collectness   正しさ
    political collectness 政治的正しさ

にはこだわらざるを得ない
だからコイツラと
いつ喧嘩になるか?と思っていたら
ここへ来てやっと喧嘩を始めた

アメリカで今猖獗を極めつつある

オルトライト・新世代右翼
とでも訳せばいいのかな?

わりと最近まで元気だった
『ティーパーティー運動』の連中
などともはっきり違っている

全く新しいタイプの右翼です

全く新しい  というのは
オルトライトの連中は

従来のどの国の右翼であっても
少なくとも表向きは
こだわりを持っていたはずの
『保守的・伝統的な価値観』などとも
袂を分かっているからです

アメリカではこの運動の中心に

  マイロ・ヤノプルス
(  Milo    Yiannopoulos  )という

 若くイケメンで
いかにも若い女性に人気が出そうな
しかも『ゲイ』を公言している
Breitbertという新しい保守系
ニュースサイトの記者がいます

この人物が一躍有名になったのは
この春に全米公開された
ソニーピクチャーズの

『 ゴーストバスターズ 3 』

80年代の第1作目2作目で
あの作業服を出て
プラズマ兵器だの陽子兵器だの持って
出てくるむさい中年白人男の
ゴーストバスターズと違い

パート3では全員が女性です

しかもうち1人は黒人の女優
レスリー・ジョーンズだった

まあここから先は
我々の感覚ではよくわからない
ことながらも

コレにアメリカの若い保守系の連中が
大きく反発した

彼らの主張は論理もへったくれもない
我々から見てもかなり
無茶苦茶だと思うんだけど

要するに
黒人が出てきたのが悪い!と
言ってるんです

ここはこちらの放送コードとか
言論活動の自主規制コード以上に

最近はヘイトクライムが
法規制されましたけど

この種の言説については
それが公の場所で行われたならば
大変なことになるはずだった

ところがこの場合は

無理無体が通って
道理が引っ込んでしまった

レスリー・ジョーンズも
黙ってはいなかった

誰がどう見たって理非曲直は
彼女の側が通っているはずだけれど

なんとあのアメリカにおいても
多勢に無勢だった

黒人女優レスリー・ジョーンズに
対する非難悪罵中傷はいや増すばかり

傷ついた彼女は
ツイッターを凍結

ツイッターも会社ですから
もちろんこのようなことを
放っておくのか?!という非難に
答えざるを得ない

マイロ・ヤノプルスの
Twitterアカウントは
永久凍結されました

もちろんニューヨークタイムズでさえ
この事件を筆鋒を極めて非難
もちろんメインストリームのマスコミは
あの保守系FOXも含めて
非難せざるを得ませんよね

ヤノプルスに代表される
現在のアメリカの先鋭な新世代右翼

彼らとりあえず
『オルトライト』と言われている

考えてみればティーパーティの連中
だってそれほど古い保守では
なかったはずで

つい数年前まで大暴れしていた
しかしオルトライトの若い連中に
言わせるなら

彼らでさえ
頭が古い骨董品のバカ呼ばわり


ティーパーティーという名前自体
アメリカ独立戦争のきっかけになった
『ボストン茶会事件』から
採られているわけです

つまりアメリカの
ピルグリムファーザーズなどを
尊敬するという信条

カタチだけかもしれないが
少なくとも持ってはいた

しかしオルトライトは違う

そもそもそのような
古すぎる保守的価値観の過剰な尊重が
今日のアメリカの崩壊を招き寄せた
元凶の1つだとし

初めて右側から
否定しようとしている
『合衆国憲法の精神』にさえ
敢えて異議申し立てを躊躇わない
史上初のアメリカ右翼です

だから従来のキリスト教保守とも
なかなか噛み合わず相容れない

要するに彼らには
『伝統の尊重』という
コード自体が必ずしも
ビルトインされてはいない

オルトライトは『右翼・ライト』でも
既に『保守・コンサバティブ』とは
言えないわけです

『リーマン恐慌後』の米国社会の現状
ステイタス・クオを支えているコード
それ自体をも否定している

そして現状の社会を支えている
もっとも基本的なコードが

キリスト教保守の価値観でも
アメリカン・リベラリズムでもない

political collectness
ポリティカル  コレクトネス
『 政治的な正しさ 』

どういうことかというと

現在の政治状況において
誰も反論できず否定もできない
という最低限の『正しさ』

つまりファシズム及び共産主義的独裁
による政治的暴力に対する
歴史的経験的な政治的公理として

事実上汎世界的に禁則になっている

人種・性別による差別
身体的障害に対する差別
文化的多様性への不寛容
政治的信条による政治的な弾圧抑圧

さらに他国の利益を顧みない
自国利益の追求のための暴力の行使

アメリカン・オルトライトの連中は
『これら全てが間違いだ』と言う

白人の黒人はじめ有色人種に対する優位
男性の女性に対する優位
平等という概念の誤り

彼らオルトライトは
こうしておかなかったから
今のように惨めになったのだという

つまりこれまで
『ポリティカル・コレクトネス』として
認められたことは全てを間違いだという

近年のアメリカにおいて
ポリティカル・コレクトネスに
最もこだわりを持ってきた人物こそ

誰あろう現大統領バラク・オバマであり

その全てを否定する大統領候補
ドナルド・トランプを
彼らは『 父 』 と呼んではばからない

事実7月にクリーブランドで行われた
共和党大会では

共和党の保守重鎮が次々
欠席早退する中

オルトライトの若い連中の
決起集会のようになっていたという

最初にお話しした通り
マイロ・ヤノプルスという
この運動の中心にいる男はゲイ

従来のキリスト教保守が
最も忌み嫌うところの同性愛者です

しかしこの男は
それを隠そうともしない

かつてナチスには
大勢のゲイがいたけれど
突撃隊・S A の隊長
エルンスト・レームでさえ
それを隠していました

つまり彼らは
もはや旧来の保守ではないわけです
しかし左翼でもない

ダーウィンの進化論を都合よく
引用はするがまったく科学的でもない
主張に論理的整合性もないし
破綻だらけだが気にしていない

そこにあるのは
強い『否定』と『嫌悪』のノードだけ
それだけが自らを際立たせている

リベラリズムへの嫌悪
ポリティカル・コレクトネスの否定
主張らしい主張はそれだけ

そうすることで彼らが
支えようとしているものは
いったい何なのか?

まだ誰もそれを言っていないけど
あえて言っておきます

要するに
現状の心地よさ
精神的もしくは肉体的な
『快楽原則』に反するもの

その利己的追求を妨げるものには
ことごとく反対する

彼らを褒めるわけではありませんが
これは実はすべての保守運動の
原型もしくは基底・根っこの
部分にあるものなんだけど

今までどの国の既成保守も
ナチスも含めて

コレほど恥ずかしげもなく
あからさまに前面に出すことは
ためらってきた

とうとうやってしまったか!?

というのが私の感想です

心地よさに反対することは難しい
『利己的心地よさの制限への反感』に
『暴力』を加味したものこそ
『ファシズム』の本質だった
ナチズムがその典型でした

だから元々大衆に受け入れられやすい
『制限』の前にかならず
『暴力と欲望・情動の解放』
を伴うものだったから

しかし彼らでさえ
伝統的な価値観という衣は装っていた
気恥ずかしさがあったから

そういった旧来型保守の纏ってきた
見せかけの薄皮を喰い破って出現した

本音と欲望と攻撃性丸出しの
『  モロダシ ‐ ファシズム  』こそ

『アメリカン・オルトライト』

これは早晩
日本にも伝播してくるでしょうね

すでにネトウヨの半分は
潜在的にそうなってますから

いやぁホンとに
世界中彼方此方病んどるねぇ