おとといから公開の妄想の続きを

早く更新したくて(´▽`)

 

あとがきじみた雑談は

後日の記事に書く事にして、

とりあえず更新いたします(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

今回は、黄藤くんの所属する

開発研究部の困った新人が

メインのお話。

この人のシリーズは

特に完結を目指さず、

今後思いついたときも

同タイトルで更新していく予定です( ゜ー゜)

 

 

なかなかの困ったさんなので、

心のゆとりがある場合に

ご覧いただければと思います^^;

 

 

 

(☆第1話第2話はコチラです)

 

 

今回はその、第3話。

アヤちゃんに誘われた

商売に疑問を抱き、

やめる事にした高杉。

しかし相手のほうが、

何枚も上手でありました^^;

 

はたして高杉は、

無事やめる事が出来るのか……!

 

 

 

 

 

 

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オリキャラ妄想

「エリート・高杉矜恃の苦悩 第3話」

 

 

「え!?どうしたの高杉さん。
あんなにやる気満々だったのに…」

自然食品の仕事を辞めようと
決めた日から一夜明け…。
定時で仕事が終わったオレは、
“店長”の家に赴き、
自分の意思を伝える。

「爺さんが腹を壊したっていう
連絡が来てから、考えたんだよ。
そんなしんどい思いまでして
得る健康なんて、
有り得ないんじゃないか?って。
そもそもオレには、
販売の仕事なんて無理だったんだ」

黄藤の言葉を受けて
他の商品の原材料も確認したところ
アレルギーと同じような症状を
誘発する「仮性アレルゲン」が
多分に含まれていた。
まさか、この症状が出た客の
不安を煽って、さらなる購入を
促すつもりなのでは……。

ただの憶測とはいえ、
想像しただけで戦慄が走ったのだった。


「高杉さん……」
「……ッ。
すまんな、アヤちゃん」

アヤちゃんと“店長”の視線が
注がれ、気まずい事このうえない。
このあと二人は、
オレに何と言うつもりだろう。
罵声かもしれないし、
最悪暴行を受けるのでは……。


身を固くして、
次の言葉を待っていると。



「不安なお気持ちはわかります。
…でも大丈夫、
僕たちがついていますから」
「へ?」
拍子抜けて顔を上げると、
アヤちゃんも力強く頷く。

「人間には火を恐れる時代もあったけど、
いまでは火を使いこなしているでしょう?
…ご家族もきっと、
ウチの商品という未知の存在に
戸惑っちゃったんだと思う。
でも諦めずに素晴らしさを伝え続ければ、
きっといつかわかってくれるから」


(……何言ってるんだ?こいつら)
オレは辞める意思を
伝えに来ただけなのに、
二人は続けていく方向に
話をすり替えてしまっている。

戸惑うと同時に、
空恐ろしくなった。
よく見れば、アヤちゃんの目は
意思を持たぬように虚ろで
乾いた光を放っているのだ。

「なあ!
気持ちはありがたいが、
オレは辞めるために来たんだよ。
だから契約書を渡してくれよ…」
「いまの高杉さんは
非常に混乱しているようなので。
冷静になってから
もう一度来てください」
「私たちは仲間だから。
いつでも待ってるよ!高杉さん」
まくし立てるように追い出され、
途方に暮れてしまった。





「おい高杉!
セッティング方法が間違ってるぞ」
「はひッ…すみません!」
今後の見通しが立たず、
会社の助手作業にも身が入らない。

昼休憩になっても
食堂まで行く気が湧かず
ふらふらと自分のデスクに
戻っていると
彩り豊かな弁当を食べようとしている
黄藤と鉢合わせた。

「桜でんぶのハート型って。
いかにもな愛妻弁当だな」
「愛情表現を惜しまない、
まっすぐなやつなんですよ。
そんな所が可愛くて」

(…フン。きょうもつくづく嫌な男だ)
どうやら本当に
恋人が作ったものらしい。
普段の素っ気ない表情でのろけ、
弁当のおかず一つ一つを
大切そうに食べる様子に、
反吐が出そうだった。

そして、
そんな弁当の持ち主とは思えない
いつも通りの素っ気ない面して
オレを見る。
「……で。
“ハートヘルス”は辞めたんですか」
「うるせえなー。
そんな簡単に辞めれたら苦労しねえよ…」
落ち込んでいるというのに
説教を聞かせるつもりかと
うんざりしてしまう。

「どうせ、契約書を預かるという
口車に乗せられたんでしょう?
……でもそれ、違法ですから」
「だからうるせえって!
オレだって後悔しているのは
…って!違法なのか!?」
「はい。法律で定められてますから」

その後の黄藤の説明によると、
オレが誘われたこの商売は
“マルチ商法”といい、
勧誘をする為のきまりが
存在するらしい。
そしてオレが勧誘された
“ハートヘルス”は
マルチ商法である事を
初めに伝えなかった点と、
契約書と概要書の二枚を
オレに渡さなかった点が
違法だという事だった。



「…ほら。ここにもあるでしょう?」
「ホントだ」
黄藤のスマホにある
六法全書アプリを見せられ、納得する。
「クーリングオフを阻害する意図で
辞める日を引き延ばしている
可能性が高そうですが、
高杉さんの場合、
正式な書面が発行された日から
クーリングオフ期間が発生するので、
相手がやっている事は無意味ですね」
「そうだったのか!」
「詳しい手続きについては、
消費者センターか弁護士に
相談したほうがいいでしょう。
…あとは部長に頭を下げて、
辞表を取り下げる事ですね」



その後は嘘のように、
とんとん拍子に事が進み。
爺さんに売った
開封済の商品の代金は
請求される可能性があるが、
少なくとも未開封の商品の代金は
戻ってくる事がわかった。

爺さんと母ちゃんにも
返金して頭を下げた事で、
なんとか許してもらえそうだ。

部長はというと、
意外にもおとがめなしだった。
「君みたいな
ヘンテコなのがいないと、
この部署も退屈だからな。うん」
と、にこにこ送り出されたのだった。





「なんだかんだ言って、
部長はオレに期待してるんだな!」
「そんなしょうもない事
聞かせるために、
昼食に誘ったんですか」
相変わらず小綺麗な食べ方しながら
黄藤が文句を言うが、
気分がいいから聞き流してやる事にした。
こんな無表情な男と食べても
嬉しくないが、
貸しを作りっぱなしなのは
気に入らないから、
奢ってやっているのだ。

「オレが奢ってやると言ってるんだ!
もっと豪快に食えよ黄藤くん」
「これでいいです。落ち着かないので」

こうして、無愛想な若造と
居酒屋ランチを終えると。




「ひどいよ。高杉さん…」
「…アヤちゃんッ」
店の前に、恨めしそうな顔をして
アヤちゃんと“店長”が立っていた。

「僕たち、仲間だったじゃありませんか」
「それをあんな、紙一枚で
終わらせようとするなんて…」
「ひどいのはどっちだよ!
マルチ商法だったなんて、
俺は知らなかったんだぞ?」
初めて不満を露にすると、
アヤちゃんは鼻で笑ったあと、
吐き捨てた。

「…はァ?
たくさんお勉強してきたクセに
マルチ商法がなんなのかも
知らないアンタが馬鹿なのよ」
「なッ……!」
「もうちょっとアタシの
“副店長”昇格に貢献してくれたら
少しは甘い蜜でも吸わせてやったのにね」


(こいつにとってオレは、
初めから金づるだったんだ)
商売に誘われた頃から、
本当はわかっていたのかもしれない。
不思議と、何の感情も湧かなかった。

しかし。

「…さあ高杉さん。
早く戻って、書類作成しないと」
「ちょっと待ちなさいよ!ガキ!」
そそくさと場を去ろうとする
黄藤を、アヤが呼び止めた。

「なんですか、ガキって。
俺は25歳なんですけど」
「アンタが余計な入れ知恵したのね!
せっかく、世間知らずの金づるを
見つけたっていうのに…」

(どこまでも、腐った女だぜ)
呆れながら、黄藤の反応を窺うと。


「そうですね。
おそらく高杉さんは言葉の通り、
勉強以外何も
学んで来なかったんでしょう。
書類もまともに作れないし
そのくせプライド高くて
言い訳ばかりするから、
本当に困ってます」
「オイ!そこはフォローしろ…、
………!?」

文句を言いかけたが、
黄藤の顔を見て言葉が引っ込んでしまう。


「ただ……。嫌いなんだよ。
こんな世間知らずの夢を
食い物にして嘲笑う、
お前らみたいなやつがな……!」

アヤ達を睨みつける細い目は
普段のそつのない雰囲気からは
かけ離れた、静かな怒りで燃えていた。
本当に恐ろしいのは、
“ハートヘルス”の人間ではなく、
この若造なのかもしれない……!




アリの子を散らすように
やつらが立ち去り。

「さあ。午後も仕事を頑張りましょう」
「あ。ああ…」
いつも通りの表情に戻った黄藤の
顔色を窺いながら
資料作成を終わらせ、
部署の定期ミーティングに参加した。

日ごろからわりと機嫌のいい部長だが、
きょうはやけに上機嫌に見える。
「君たちも聞いた事が
あるかもしれないが、
掃除道具を武器にして戦う
戦士たちがいるんだ。
…上層部から、彼らとの
コラボレーション商品を
開発するようにという指令が下りた」



“掃除戦隊 クリーンレンジャー”

部長がやたらと気に入って
冊子を見せてくるから、
その名称くらいは
いやでも頭に入っていた。
そして来週の火曜日、
隊員がひとり来社し
ミーティングに参加するのだという。

「隊員たちをサポートする役割を担う
“ブレイクパープル”さんが、
開発の助言をしてくれる事になった。
全員、粗相のないように」





この隊員によって、
オレにさらなる苦悩が訪れるとは、
このときのオレは知る由もなかった。

 


 

 

 

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ただの

残念なモブエピソードを

ちょろっと書くだけのつもりが、

なんだかんだで長くなりました(笑)

 

 

こちら完結のない

シリーズになる予定ですが、

ひとまずマルチ編は

一区切りってカンジです^^

部長の妄想も膨らんだので、

そのうち機会があったら晒します(笑)

 

 

 

それではお付き合いいただき、

ありがとうございました(^^)