イスラム教が豚肉を食べることを禁じているのは良く知られています。何故豚を食べてはならないのかと何人かのイスラム教徒に聞きましたが、彼らにとっては当たり前のことで、あえて正面きって聞かれると困るというような顔をして、あまり明解な回答が返ってきません。ある人は豚肉は傷みやすく食べるとお腹をこわすと言うし、また別の人は昔は今のような養豚は無くてみな野生の豚で猪のようだったから、捕まえるのが危険だったと言います。
バングラディッシュ出身で日本の大学で教えているイスラム教徒の先生の話では、聖典コーランの2章173節で豚肉を食べることを禁じているというちゃんとした根拠があり、豚肉は清潔でないことからこのようになったのではないか、と伺いました。
ただ単に豚肉だけをのけて食べれば良いというのではなく、豚肉を調理した同じ道具で料理したものまでだめと言い、側で食べているのを見るだけでも気持ちが悪いと言う人もいます。とはいっても料理しているところをいちいち自分で確認するわけにはいきませんので、イスラム教で許された食べ物である旨を表示するために、”HALAL”(ハラール)と書いた看板をレストランの前に掲げたり、食料品のラベルに印刷したりしています。最近では日本の食品業界も、このHALAL食品の需要を見込んで商品開発に取り組んでいます。
イスラム教徒に嫌われているものに、この豚のほかに犬も歓迎されません。理由は鼻がいつも濡れているので、ばい菌がいて汚いというのです。犬が道端に寝そべっていても彼らは近寄ろうとしません。中には石を投げて追い払っている輩もいたりして、当然ながらイスラム教徒のペットの対象にはなりません。猫は問題無いのか、女中が野良の子どもを持ってきて飼ったりしていました。
ペットとしては鳥が好まれよく飼われています。熱帯のせいかカラフルな鳥がたくさんいて、そこここの家々で飼われていました。日本ではなかなか手に入らない鳥がいて、鳥が好きなある日本人が日本に持ち帰ったのはよかったのだけれども、毎朝早くから奇怪な大きな声を発するので、近所迷惑になったという話を聞いたことがあります。
またインドネシアは熱帯魚の原産国なので熱帯魚を愛好している人も多く、日本ではとても高価でなかなか手に入らない熱帯魚が安く売られているのですが、ワシントン条約かなにかで簡単には日本に持ち込むことができないそうです。
爬虫類では、インドネシア東部にあるコモド島に生息する大トカゲのコモドドラゴンが、よく日本のテレビなどでも放映されご存知の方も多いと思います。ヘビは私が働いていたジャカルタ郊外の会社の工場のまわりにも、コブラやグリーンスネークなどがいました。昼間は人間の目のつくところに出てきませんが夜になると活動を始め、仕事で遅くなって車で帰るときに夜の道を散歩しているのを見たり、朝工場に出勤した工員が機械設備のかげに隠れていたコブラを見つけ、大騒ぎになったこともあります。
工場のまわりに塀を造っていたとき、建設作業員がまわりの湿地や水田にいたコブラを集めて南京袋に入れていたので、中の1匹を見せてもらうと両手で作った環でつかみきれない程の太さで、長さは2メートルくらいありました。ちなみにそのコブラは強壮剤の原料として、ジャカルタの中華街へ持って行って売るということでした。
(スメダンの知人の家にいた猫)