チェンジリング

テーマ:

愛情いっぱい!家族ブロ!-柱のキズはおととしの!日本でもおなじみのシーン。

愛情いっぱい!家族ブロ!-あなたは何者なの?この子に罪はあるのか?


やっぱりクリント・イーストウッドだね!


1920年代の古きよき町並みもステキだし、

アンジェリーナ・ジョリーが地味なシングルマザーを好演している。


あまり物事を押し通すほうではなく、どちらかというと控えめなタイプ。

でも芯のある女性。

女性が公に、まして国家権力の意見をひるがえすようなことを言うなんて

なかなか出来なかった時代だと思う。


それでもこの状況になったら子を持つ母親は100パーセント

彼女のことを支持するだろう。

行方不明になった息子を探して欲しいと警察に依頼する。

「24時間は捜索しないことになってます」


今とは真逆の返答だね。最近見た「ゴーン・ベイビー・ゴーン」では

「誘拐や行方不明は24時間以内に探さないと手遅れになる」って言ってたぞ!

あのモーガン・フリーマンが言ってたことだから間違いない(苦笑)


愛情いっぱい!家族ブロ!-警察と戦いたいわけじゃない息子を取り戻したいだけ


自分のこどもを間違える母親なんているのか?

しかも何十年ではなくって5ヶ月間離れていただけ。

あなたのこどもが見つかりました。あなたは混乱している。ご自分の記憶の中の

息子さんとはちがう。とりあえずここは一旦帰宅して・・・・

美談を今か今かと待ち受ける記者たち。ここでこの子は息子さんじゃありませんでした。

とはいえない状況だったのか?


巧妙な洗脳。女性の意見などは口封じしてしまえばよいという考え。


とにかく警察の言い分には始終腹がたちっぱなし。


これで通用すると思ってるのがあさはかだね。



担任の教師や歯医者さんなどクリスティンには協力してくれる人が多くいたのもよかった。

っていうか、これって当たり前のことだよね。


警察があまりにもひどかったってことだ。

クリスティンがたてつくからと精神病院に強制的に入院させるのもひどすぎる。


公聴会が開かれたとき、JJ・ジョーンズ警部(ジェフリー・ドノヴァン)が

「罪もない女性を精神病院に放り投げた」と詰め寄られれて、

「放り投げてません。送り届けたのです」なんてバカバカしい言い訳は、

どっかの国の財務大臣の言い訳にそっくりだな、と思いながら見た。(苦笑)


愛情いっぱい!家族ブロ!-こいつが一番いけません!(怒)


LAPDといえば、「LAコンフィデンシャル」等でも腐りきった警察のイメージ。

そしてロス疑惑を思い出す。


クリスティン・コリンズは実在の人物。

もちろん誘拐事件や殺人事件に関与していた他の登場人物もほぼ実名で登場している。


映画の冒頭に出るTRUE STORYの文字・・・・

実話の映画化は珍しいことでもない、むしろかなり多い。

この題材は元はロサンゼルスの市庁舎で保管の期限切れで償却処分を待っていたものだというから驚き。


この事実を埋もれさせてはいけないーという制作陣の思いが詰まった作品だと思う。

一人の女性の資料を基にオリジナル脚本が書かれている。


最初のほうでクリスティンが9歳のウォルターに言う台詞が最後まで心にしみっぱなしだった。

「なぜパパは出て行ったの?」

「あなたが生まれたとき、パパのもとに箱が届いたの。

箱の中には”責任”が入ってて、パパは怖くなって逃げてしまった」


それと「ケンカにはけりをつけること」と教えるクリスティンの姿。


”責任”ということ、社会で果たすべき人としてのあり方、

これは母が息子を取り戻りたいというストーリーではあるけれど、

そういう人間としての良心やら生き方やらが根底にあるような気がする。


その根底があったからこそ、彼女は最後に”希望”を見出せるまでになるのだから。


警察で、精神病棟で法廷で、登場人物たちはきれいに色分けされていくのだ。

殺人者になったゴードン・ノースコット(ジェイソン・バトラー・ハーナー)に対して、

その甥であるサンフォード・クラーク。


愛情いっぱい!家族ブロ!-見た目は普通だが・・・   愛情いっぱい!家族ブロ!-勇気ある少年の告白で事件は驚きの展開に



腐りきった慣習の中で何も正さず、

保身だけのLAPDのジェームズ・E・デイヴィス警察本部長(コルム・フィオール)と

J・J・ジョーンズ警部に対して、大きな事件に足を踏み入れることになり、

真相を追究していくことになるレスター・ヤバラ刑事(マイケル・ケリー)



愛情いっぱい!家族ブロ!-まるで導かれるかのように真相に近づいてゆく


罪もないのに”コード12”と呼ばれる警察になんらかの迷惑をかけたという理由だけで、

監獄よりおそろしい精神病棟に入れられている患者に対して、

自分達のしていることを警察のせいにして反人道的な治療にかかわる医師や看護婦たち。


その中で娼婦のキャロル・デクスター(エイミー・ライアン)の台詞もよかったな。


「言葉は使うべきときに使うのよ」


「ゴーン・ベイビー・ゴーン」では娘を誘拐される役を演じていたエイミー・ライアン。

わたしにはこの役が「ターミーネーター」の

サラ・コナーとかぶりっぱなしになってしまった(笑)



愛情いっぱい!家族ブロ!-こちらはまともなのに患者にされている



抑えに抑えていた感情を警部や殺人犯につきつけたアンジェリーナ・ジョリー。

終始大きな目に涙をいっぱい溜めて、それが流れるのをとせきめるかのように

息をつめて必死で息子を探す姿には心を打たれる。


わたしが「マイティ・ハート」で物足りなかった魂の叫びがあった。


無償で弁護を買って出てくれたサミー・ハーン弁護士(ジェフリー・ピアソン)

と警察の腐敗を 正そうとラジオで問いかけているグスタヴ・ブリーグレブ牧師。


愛情いっぱい!家族ブロ!-一緒に戦ってくれる頼もしい二人


牧師役にはジョン・マルコヴィッチ!

「シークレット・サービス」の殺し屋は不気味でした。

ちょっとひねった悪役になるんじゃないかと思ったら善良な役で新鮮でしたね。


救われるものと救われないもの、

落ちるものと這い上がってくるもの、流されるもの、流されないもの、

そして自分に届いた箱の中身がなんであれ、逃げる人と逃げ出さずにいる人・・・

その境界のようなものが浮き彫りにされていくのだ。


人生における明暗・・・・

それには運、不運で片付けてはいけないものもある。


クリント・イーストウッドはまるで静かに語りかけてくるようだ。

そんな作品だった。


ハッピーエンドと言うにはあまりにも苦い結末・・・・

同じ状況で見つかった子と今も見つからない子・・・

それでも遺体が見つからないということと、ウォルターが同じように

監禁されていた子どもを助けていることがわかって

やっと前を向いて歩き出そうとするクリスティン。


仕事仲間のベン、これからはもっとクリスティンを積極的に誘ってあげなよ。(笑)

「或る夜の出来事」を二人で見なよ。(笑)控えめな二人がちょっと微笑ましかった。


ここでアカデミーネタを仕込むおちゃめなイーストウッド。

次回作は「グラン・トリノ」 が控えている。自身最後の出演作品らしいから楽しみ。


すべてを尽くして息子を取り戻そうとした母性に対して、

さらに大きく包み込むような父性とも人間性とも表現できるような

やわらかな音楽がここちよかった。


作曲はもちろんクリント・イーストウッドその人だ。


愛情いっぱい!家族ブロ!-素晴らしい音楽も提供しているイーッストウッド


追記;もう80年も前の話なので生きている人はいないのかな?

    そんな中、勇気ある告白をしたサンフォード・クラークは

    事件の重大な証言をしたことから刑事裁判では起訴されなかった。

    氏名の変更命令を出され少年院送致となり、その後カナダに強制送還された。

    事件の関係者の中では最も長生きし家庭を構え1991年に死亡したという。(wikipedeiaより)

    ちょっとほっとする話。


    取りかえ子となってクリスティンの元にやってきたハッチンスはどうなったのかな?

    継母との折り合いが悪くて家を飛び出していたという。浮浪者と一緒にいるところを

    保護されたのだが・・・

    あと、ゴードンに誘拐されて逃げた後、何年もたってから親の元に戻ってきたデイビッドとか・・・

    それぞれのこどもたちのその後もとても気になった。


    イーストウッド作品の「ミスティック・リバー」とかバリー・レビンソンの「スリーパーズ」

    なんかにも通じていくのではないかな?