ジプシー・キャラバン②

テーマ:

素晴らしい音楽遺産!


監督:ジャスミン・デラル


出演:タラフ・ドゥ・ハイドゥークス

    エスマ

    アントニオ・エル・ピパ・フラメンコ・アンサンブル

    ファンファーラ・チョクルリーア

    マハラジャ

特別出演:ジョニー・デップ

(アメリカ/2006/35mm/カラー/115分)


「スゥイニー・トッド」でお会いしようと思ってたこの方とここでお会いするとは!

ジプシーにひかれるというジョニデ。

レディース・デーに観に行ったんですけど、かなり混んでた。

もしかしたらジョニデ効果かもしれないですね~。

非常に場末のミニシアターでの観賞。

立ち見かもと思ったのですが、なんと最前列に「座椅子」とひざかけを用意してくれた!∑ヾ( ̄0 ̄;ノ

体育座りしながら見るなんて考えられない!((((((ノ゚⊿゚)ノ

忘れられそうにない観賞とあいなりました。:*:・( ̄∀ ̄)・:*:


特別出演のジョニー・デップはもう説明しなくともわかると思うんですけど、

他のアーティストたちの説明をば。


タラフの面々、平均年齢上げてます(笑)


まずこの映画の企画をしたのがルーマニアのタラフ・ドゥ・ハイドゥークス。

彼らはルーマニアの村出身でみな同じ通りに住んでいる。

中心的人物のニコラエじいさんはバイオリンを自由自在にあやつる名人。

ひもでバイオリンをギコギコ演奏したりする。

「耳に響くは君の歌声」で音楽を担当して以来、

ニコラエとジョニー・デップは親交をあたためたという。

その縁でほんの数分ですけどジョニーがインタビューに出演しているのですね。

(「ショコラ」では自らジプシーミュージックを弾いてましたね。)

この作品は奇しくもニコラエの遺作となった。


陽気なメンバーひばりのさえずり!

そして彼らと親類関係にあるファンファーラ・チョクルリーア。

とってもかわったバンド名。

チョクルリーアとはルーマニア語でひばりのさえずりを意味する。

彼ら総勢12名のにぎやかな管楽器演奏は本当に観客を楽しませてくれます。

「スーパー8」に登場した”ウンザウンザミュージック”の原点かも。

彼らもまた「黒猫・白猫」に参加している人気バンド。


そしてこの映画でのまとめ役おっかさんが二人。

この方がロマの太陽。ツアー中もみんなをまとめてた


そのうちの一人がマケドニアのエスマ。

マケドニアでは知らぬものはいないという「ジプシー・クィーン」

彼女の振り絞る声には心をわしづかみにされるでしょう。

自分ではこどもを産めなかったけれど、身寄りのない子らをひきとって育ててきた。

その数なんと47人!

今回のツアーにも自分のこどもたちが参加しています。

素顔は普通のおっかさん(笑)

もうひとりはスペインのアントニオ・エル・ピパ・フラメンコ・アンサンブル

のボーカル、ララ・フローレス。

こちらも7人の子だくさん!

このドキュメンタリーはツアーの様子だけではなく、

出演メンバーの国にもちゃんと訪問し、日常も密着しているところがいい。

舞台の上ではほとばしる情熱をうたいあげる彼女らも

素顔はとってもあったかくて素朴なおっかちゃんなのだ。


世界的なフラメンコダンサーアントニオ・エル・ピパはこのフローレスの従兄弟。

フラメンコという体全てで感情を表現するものは本当に独特で、

そこだけ何かちがうオーラを感じるようだった。

すごく引き込まれた。

インドからの長い長いたびをへてここスペインで昇華された芸術フラメンコ。


フラメンコは独特な芸術


タラフやファンファーラが登場すればそれだけで、

「ガッジョ・ディーロ」「トランシルヴァニア」「ライフ・イズ・ミラクル」の

世界に入り込んだようだし、


ジャランとフラメンコギターがかき鳴らされれば、

まさに「ベンゴ」の世界!スペインの陽光、風を感じる。←行ったこともないくせに!(;´▽`A``


フローレスが言う”ドゥエンデ”

そしてインドの施法=ラーガ

ロマの精神・・・・

みな言葉はちがうが、全て同じことを言ってる。

それは音楽から感じる力だ!

生きる力そのもののことをさす。

素晴らしい!もっと見たい!


音楽の力ってやっぱりすごい!

どんな言葉よりも雄弁で、その国の匂いや風や風景までも

全てが頭の中をかけめぐる。

行ったこともないのに様々な国が一瞬でわかるかのような力を持ってる。



そしてインド。

ジプシーの起源は北インドにあるといわれている。

そこから西をめざして放浪した人々がヨーロッパまで渡ったといわれている。

が、文字を識別できないジプシーには資料が極めて少なく、詳細はいまだ不明。

西は陽が沈む場所。

太陽をおっかけて旅したのだろうか・・・・・・



一際目をひくインドのメンバー

砂漠の民のきらびやかな衣装。

ラジャスタン出身のマハラジャの歌う曲が沖縄民謡のようなのだからすごい。

極東の日本とも通じるような音楽。

ミュージックロードはどこかでしっかりとつながっている。


みんなとってもにこやかでこのツアー中もマスコット的存在だった。

中でも世界に二人しか踊れないという「ひざダンス」=ひざ立ちのままで

高速回転をする、”クィーン”ハリシュは花嫁姿になるととっても美しいが、

素顔は若きパパさん。

まだ少年の面影を残す彼も思春期に両親を亡くしたからか、

エスマやフローラに可愛がられていた。


美しいだけじゃない!ひざでくるくるには感激


と、いった個性豊かな面々。

6週間のツアーの様子を余すところなくみせてくれて、

彼ら国籍の全くちがうミュージシャンたちが「ジプシー音楽」というくくりだけで

とっても仲良くなっていく様子が丁寧に描かれている。

最後にはわたしも別れがたくって泣けてきた。


そして別れといえば、タラフのメンバーで最長老のニコラエの

葬儀のシーンまで盛り込まれていたことにおどろいた。

亡くなったニコラエをカメラはきちんと収めており、

メンバーが夜通し演奏する様子も入ってる。

大泣きするメンバー。


これこそ、ルーマニアのロマの本来の姿なのだなあっと実感した。

メンバーのカリウが心こめてバイオリンを弾く姿には圧倒される。


ニコラエが亡くなる直前にはカリウの娘の結婚式のシーンも入っており、

そこで妻に先立たれたニコラエが「夜さびしくて眠れないときは孤独を感じる」

と言っていたのが印象に残る。


ニコラエーッッ!遺作となってしまった。

このジプシーキャラバンのドキュメンタリーは

もちろん純粋に音楽の素晴らしさを描いている。


200時間にわたる膨大なフィルムの数々。

5つの国、9つの言語の翻訳、撮影は準備も含めて5年間かかったという。

これを撮った女性監督ジャスミン・デラルはインドで暮らした経験があり、

とてもロマに対して熱い思いがある。

前作(アメリカンジプシー)もあわせると10年にも渡ってロマを追い続けているという。

まさしく”ロマン”そのものではないか!


それとは別にアメリカツアーの模様を撮っているので、ショービジネスとしての

匂いが濃厚なところもこの作品の特徴だといえる。


世界各地から集まったロマたちは稼ぐためにやってきてるんだよね。


彼ら彼女らは人生=音楽なんてなまっちょろくてきれいなところにはいない。


農作業のように、漁に出るかのように音楽を演奏することで、こどもたちや孫達、

ひいては村まるごとの生活を支えるために、

アメリカまで出稼ぎにやってきているのです。

そういうシビアさが出てるのがいいね。

ただロマンだけでなくね。


でも楽屋でもロケバスでもホテルのロビーでも飛行機の機内の中でだって、

どんなとこにいても演奏をしているその姿は心底音楽がすきなのだなあと感じる場面も多い。

彼ら彼女らはだからといってビジネスの世界に染まることもない。

音楽は生活の一部なのだ。


世界の歴史は戦争の歴史なんていうけれど、その歴史の中で常に

迫害され続けてきたロマの人々。

世界各地に散らばっているその力強さのもとを音楽を通して見た気がする。


アメリカでは大統領選の真っ最中で期せずして、初の黒人大統領なるか?

なんて注目を集めているが、エスマが語ったように、

「ロマからも絶対に大統領は出る!」かもしれないね。(笑)


~世界中の人々はロマを見習うべきよ。だって一度も戦争も起こしたこともなければ、

誰かを迫害したことも差別したこともないんだもの。

いつもされる側だったわたしたちは怒りや悲しみを歌に込めて歌ってきたの~


ジプシー・キャラヴァン

ジプシー・キャラバン予告(you tube)