前編に引き続き、オペラ『魔笛』の謎について

仙台出身のソプラノ歌手・菅英三子さんが話します。

 

「このオペラで、

モーツァルトは人間の成長を描いていると思います。

最初の頃は、曲の難しさや動きを覚えることで精一杯でしたが

途中からは、オペラの内容が伝わるようにと意識しました。

今は、その段階も過ぎて

モーツァルトの音楽が表現しているものを、自由に感じてほしいと

想いながら夜の女王を演じています」

 

 

「前半は母親としての思いを込めて、

後半は復讐に燃える怒りを歌っているのですが

モーツァルトはなぜか、きれいで明るい音形にしています。

このアリアは水晶のように透き通った、鋭いイメージで

人間の感情を超えているような気がします。

美しさの極みを詰め込んだ、

純粋な想いを表現しているように思うんです」

 

鈴を転がすような美しい声で歌う

コロラトゥーラ・ソプラノ。

年齢とともに音域は下がるものだそうですが

菅さんは「不思議と下がらないんです(笑)。

生徒に『もっとこう、楽にね』と教えているうちに

前より楽に高音が出るようになっているくらい。

キャリアを重ねても発見があるのは、うれしいですね」と

チャーミングな笑顔を見せます。

 

菅さんがプラハでデビューしたのは1991年。

「日本人は私一人という状況でしたが

プラハの方たちはすごく気を遣ってくれて

おすすめの舞台やお店を教えてくれたりしました。

目線も近く、気さくな人が多かったですね。

事務のスタッフも、『あなたが初めての演目だから

今日は客席で観るわ』と言ってくれたり

仲間意識がすごくある歌劇場でした」

 

今はキャストもスタッフも入れ替わっているようですが

その温かい雰囲気は、

舞台からも感じ取れるのではないでしょうか。

 

「オペラの楽しみ方は一つじゃないと思います。

モーツァルトの様々なハテナをご自身で解決してもいいし

人の声ってこんなになるんだ、と感じるだけでもいい。

キャラクターも個性的で、色々な感情を託すことができます」

オペラは初めて、という方は

この機会にぜひ観てみてくださいね。

 

◆プラハ国立歌劇場

モーツァルト『魔笛』

 

2016年10月16日(日) 15:00~ 

東京エレクトロンホール宮城

S席15,000円、A席13,000円、B席11,000円 

※C席9,000円はソールドアウト

問合せ/河北チケットセンター TEL:022-211-1189

(平日10:00~14:00)