日本舞踊を語るのに、舞扇 は絶対に欠かせないアイテムです。この優れものの小道具は、これ一本で森羅万象すべてのものを表現できると言っても過言ではありません。「扇」と一口に行っても飾り扇や、暑い時に仰ぐための扇や、儀式の時に持つ扇など様々な種類が有りますが、「舞扇」の大きな特徴は次の3つです。①模様に裏表が無い・・・どんな持ち方使い方をしても同じ柄が見えるように工夫されています。わざと裏表に違う柄を書いたものを使う場合も有りますが、お稽古の時は必要ないでしょう。②中骨の間が広くなっている・・・こ間に指を入れたり出来るので、様々な使い方が出来ます。③要の傍に鉛の板が入っている・・・このお陰でバランスが良く安定し、持ちやすくなっています。また、投げて使う時、要が必ず下になって落下するので上手くキャッチする事が出来ます。このような要素を満たしているので、様々な使い方を工夫する事が出来、踊る時に持ちやすく扱いやすくなっています。
「舞扇」は私達舞踊家にとって、道具以上の存在です。舞台で、稽古場で、中央に正座し正面に「舞扇」を置いて背筋を伸ばすたびに、自分の内面と向き合う気がします。