クラシックバレエ鑑賞に行って参りました。音も照明も衣装も舞台装置も、ヨーロッパの古典とは又違った斬新な演出で大変楽しめました。

 幕が下りた後、大勢の観衆に混じって、私も惜しみ無い拍手を送りながら、このまさに「万雷の拍手」という表現その物のこの拍手は、何に対して送られているのだろうと思いました。歌舞伎や日本舞踊ではこの様な「万雷の拍手」を滅多に聞くことは有りません。

  

  私が素晴らしいと思ったのは、限界まで身体を使い切る身体表現の美しさ。飛んだり、回ったり、信じられないほどのバランスを保ったり、始めはテクニックばかりが目に付いたのですが、その余りの素晴らしさに、気が付くとすっかり引き込まれていました。不自然極まりない、非日常的な究極のテクニックが美しい動きや形を作り、そこに感情が加味される事によって、その美しさがより際立つのだなと思いました。観衆はその人間業とは思えない完璧な美しさと、日々その美しさを追求し続けるバレリーナたちの直向な汗に惜しみない「万雷の拍手」を送るのでしょう。



  日本舞踊の場合、元々このようなテクニックは存在しません、また、ここまでのテクニックを見せる事も有りません。バレエや日本舞踊以外のダンスに存在するメソッドや基礎練習といわれる決まったものが無いのです。バレエやダンスに比べると日本舞踊は日常表現や自然の動きに近いので、そんなものは必要ないのかもしれません。詰まるところ、日本舞踊はバレエのようにテクニックを見せる類の踊りでは無いことは確かです。が、かといってテクニックが無いわけではありません。いずれにしてもバレエのようにテクニックを露骨に見せる事が日本舞踊において拍手の対象で無いとすれば、日本舞踊が拍手を貰う理由は何処にあるのでしょう。一舞踊家として表現者としてどの様に捕らえたらよいのか、思いがけない課題が残りました。