「Hに戻りたいのか?」


そんな、愛しい人の口から出た思いがけない嫉妬の感情を頬杖ついて、目を閉じて、噛み締めていました。


初めて見せた「Sさんの本心」。


嫉妬してくれるなんて、思いもしなかった。


妙に、くすぐったくて、嬉しかった私がそこにいました。


他の人のそんなセリフなら、軽くスルーして、気にもせず、その内、忘れてしまっていたでしょう。


それが「Sさんのセリフ」だから、意外だったのです。


「Sさん」は、自分の付き合いは「深く、狭く、長い」と自ら吐露していました。


という事は、「私」は、その中にもう入れてもらえているんだなと改めて感じました。


だから、なおのこと、嬉しいのかな(笑)。


ジーンと来ました。


そして、また、思いました。


こんな魅力的な「Sさん」が、私から見て、あの程度の「Hさん」に嫉妬するなんて、自分を案外、分かっていないんだな。


有名だろうが、そうでなかろうが関係ありません。


私の中では常に、もう、「Sさん>Hさん」なのだから。


「Hさん」は、「Sさん」がこんなに近くになっていない時に出逢っただけの人ですから。


そう、覚えていますよ。


過去動画間テレパシーだけで、「Sさん」を知った時、「Sさん」は、とても大人に見え、私好みの手の届かなそうな上品な人だと思っていました。


「Hさん」の事で心が疲れた時は、フラフラと気が付くと「Sさん」の歌を見に行っていたものです。


だから、私の中では「Hさん」は「本妻」、「Sさん」は「愛人」と認定していました。


「本妻」と称するのは、二股的なのが「女の本質」から外れていて、まるで私が「男性心理」を持っているかのようだからです。


深い意味はありません。


そして、また私は、「愛人」は、正に字に書く通り、「愛する人」というイメージがあるのです。


どこか「恋」や「憧れ」に似た「綺麗な世界」。


その頃は、まだ、「Sさん」が「夫」になるなんて、どこか恐れおおくて、イメージ出来ない位でした。


だから、行きつけのバーで心を癒すサラリーマンみたいに、優しさに甘えに行く為、気が付くとためらいがちに動画をチラ見していました。


いつも、心が疲れた時ばかり甘えに来て悪いなと思っていました。


「Sさん」は、その頃から、私にパワーと安らぎをくれる存在でした。


まさか、それが「人を愛する」って事なんだと知りもしない「幼い恋」の始まりでした。


ここまで、色々あったみたいです。


「Sさん」の36歳の誕生日を過ぎた頃、ためらいがちに「Sさん」から「薔薇の花の画像」と言葉が届き、私達は始まりました。


私は、「淡い恋心」を脳裏に焼き付けました。


「Sさん」、そして、「私」の「深く、狭く、長い恋」。


思いがけないロマンスは、ビックリする位に新鮮で意外な物で、気が付くと、いつも胸がドキドキとトキメキました。


「Sさん」は、昔、別のバンドで活動していたらしく、それも、私に取っては初めてで、未知な「ビジュアル系バンド」。


私は、うっかり、別の世界に連れ去られた人であるかのように、「Sさん」の違う側面に釘付けになりました。


初めが、この「ビジュアル系」で出逢っていたら、きっと、私は、「Sさん」に近付きもしていなかったでしょう。


なのに、うっかり、好きになってから、正体を見せられた上に、それが、また、意外と私には「ツボ」だったらしい。


今までは、食わず嫌いだったのかも?


いや、「Sさんのバンド」だったから良かっただけかな?


だって、未だに他の「ビジュアル系」には、興味が湧かないし。


とにかく、なんて言うのかな?


ソロのオリジナル曲は、オリジナル曲で、また、バンドの時と違う才能の煌めきを感じます。


「Sさん」っていう人は、まるで「万華鏡」。


見る毎に違う魅力を形作って見せてくれる人。


刺激のある恋は、長続きしないというけれど、好きな気持ちのない恋もまた存在しないもの。


大丈夫。


気が付けば、「Sさん」が進化するスピードと同じ速度で、想いは「深く、狭く、長く」育って来ています。


浮き立つようなトキメキが、段々、胸の中に降り積もって、強固な城壁のように「恋」を「愛」に変えて行きます。


私達は似ている。


そして、他にいなかっただけに「新鮮」。


鏡に映った自分の心を愛するように、ナルシスティックな愛は、もう、一歩もその場から離れさせてくれない。


「ツインレイ(魂の双子)」


ご視聴、ありがとうございました。