すでに抗がん剤治療が始まっている私だけれど、自分の治療の経緯と、ドクターから言われたことなどを思い出して記録してみます。



今回は抗がん剤編。



うずまきキャンディ




今、私がしている抗がん剤治療は
AC療法

これに使われている薬剤は
シクロホスファミド(エンドキサン)
ドキソルビシン


薬剤の英語名称の頭文字をとって、ACとかEC療法というらしい。
そしてこの薬剤は2つとも、高度に脱毛を起こすものに数えられている。


そのため、AC療法の副作用として最も高い確率で起こるのが脱毛とされていて、95%に起こるらしい。

このことは、私が抗がん剤治療をするにあたって1番嫌なことで、治療受け入れの障害だった。
がんになってから一番悩んだことはこれだった。
違う記事にも書いたけれど、脱毛するくらいなら再発率が上がってもいいから抗がん剤を避けたいと思ったくらい、嫌で嫌で、なかなか受け入れられなかった。

もっと悪質ながんに命を削られて、必死に戦っているたくさんの方がいるのは分かってる。
生死の瀬戸際にいる方がそれを聞いたら、たかが脱毛くらいで何を言ってるんだムキーと思うだろう。
けれど私は脱毛するのが死ぬくらい怖かった。
乳がんの告知をされた日より、抗がん剤治療が必要だと言われた日のことの方がショックで、よく覚えている。





抗がん剤治療をしましょうと、ドクターから言われたのは、2020年1月10日。
年末年始を挟んだため、通常は3週間程度ででる手術後の病理検査が約1か月かかり、待ちに待った年明けの診察でのことだった。

抗がん剤というワードが、私の中でしっかりと自分に関係があるものとして自覚できたのは、実は手術が終わってからだった。
それまでは、乳がんとわかっても、入院手術の段取りをしていく中でも、抗がん剤のことは考えていなかった。

私は元々、先のことを考えて不安になることが嫌いなタイプチューリップちょうちょ
大きなことも小さなことも、自分が選んで生きてきた人生だからその結果がどうでても仕方がない。その時に最善のことをするだけ。
あとは為るように為る!と思っているので、乳がんとわかった日も泣くことはなく、じゃあどうやって治療するのか、いつするのか、仕事はどうするか?などということをすぐに考えて、頭を切り替えていた。
でも、浅い知識の中でも、抗がん剤や放射線治療というワードはさすがに知ってはいたし、もし診察や検査の初期段階でそれが出てきたら、私も向き合っていたと思う。
ところが幸い?そういったワードは一度もドクターからはなく、治療のためには摘出手術が必要という話にすぐになった。
セカンドオピニオンで転院してからも、手術以外の治療の話はなかった。
手術までに2か月間があくから、進行を遅らせるためにホルモン剤を服薬しただけ。
なので私は、

抗がん剤や放射線治療は、私はしなくてすんだんだ爆笑音符

と思い込んで、自分は手術だけで治ると思ってしまったのだった。
もちろん、事前にネットで詳しく検索したり、親戚に医療従事者が何人もいるから話をしっかり聞いたりしていれば、それが間違った考えだとわかったとは思う。

「乳がんの治療は手術だけでは終わらない。むしろ手術してからの方が大変だし長いんだよ」

入院中に知り合った方のお母さんが、過去に乳がん治療を経験されていて、こんな風に話されていた。その話を今しみじみ噛みしめている。
もしかすると私は、深く考えることや知るのが怖くて、無意識にそういった情報から目を背けていたのかもしれない。




そんな私なので、術後、ドクターから
「センチネルリンパ節生検で転移が確認されたため、リンパ郭清を行いました」
という報告を聞いた時は、結構なショックだった。
転移って言葉の破壊力すごいガーン
でも、リンパ節への転移は1つだけとも言われたので、半々くらいの確率で大丈夫なんじゃないか?とも思った。
今後の治療がどうなるのかが分かるのは、手術から3週間後。
病理検査の結果が出て、それを元にドクターたちが意見交換して私の治療計画をたててくれるまで私は待つしかない。
それまで落ち込んだり恐れていても仕方がないので、私はなるべく抗がん剤のことは考えないようにした。今度は意識的に。
抗がん剤なしで済んだらすぐに仕事復帰できるよう、色々と準備もしていた。
しかし結果は、、



化学療法(抗がん剤)を3か月
ホルモン療法(服薬)を5〜10年 

推奨されたのはそういう内容の治療計画。
この時はさすがに、どーーーんと重いものがのしかかってきたような気持ちで、大きなため息しか出なかった。

手術の結果の詳しい説明は、こんな感じ。


左乳房に27×21ミリの腫瘍があり、乳房は全摘出をした。
がんの形態は浸潤性小葉癌といって、少し珍しい型。
がんの性質は、悪性度・増殖スピード共に低め。
ホルモン療法の効き目がよくて、おとなしめのがん。
乳房切除と同時に、センチネルリンパ節生検を行い、術中の検査結果により腋窩リンパ節郭清も行った。
そのうち、一つのリンパ節のみ転移が確認され、腫瘍の大きさと転移状況から、ステージは2b。
(術前は2aだったけれど転移があったので一つあがったアセアセ)
・・これらの結果から、服薬と抗がん剤治療を勧めます。と。
半分以上は、術前に聞いたがんの状況で、変わったのは、最終的に取り除いた正しいがんの大きさと、リンパ郭清をしたからステージが上がったということだった。

おとなしいがんでホルモン療法が効きやすいという情報や、リンパ節転移も1つだけだったことから、やらなくていい可能性が高いなニヤリと勝手に思っていた私は、打ちひしがれた。

抗がん剤をする=髪が抜けるハッ

それだけはいやだと瞬間的に思ってしまい、あとのことが頭に入らなくなってしまった。 

ドクターが、再発率の説明などを続けていたけど、あまり聞いていなくて、あとから同席した家族が内容をくわしく教えてくれた。
その内容下矢印

私と同じステージの人が、手術だけで、何も治療をしないと、10年後のがんの転移再発率は40%以上と高い。
リンパ節転移が1つでもあったということは、見えない小さながん細胞が、血液にのって全身に散らばっている可能性はある。
そうやって転移する場合は体のどこに出るかは分からず、場所が1つでないことも多く、ステージが高くなってしまい完治が難しくなる。
ホルモン療法をすることで、その確率は20%に下がり、抗がん剤も両方することで、10%にまで下がる。


ぼんやり聞いていた私も、その数字はなんとなくわかった。けれど、
りんご「気持ち的には、8割、やりたくないです。。」
絞り出すようにドクターに伝えた。
やらないといけないのはわかるけど受け入れられないショボーン
一緒に結果を聞いてくれた家族がなんで!と慌てていた。脱毛が嫌だとは初めは言い出せず、黙っていた。

りんご「薬だけで20%まで抑えられるなら、薬だけでいいんじゃないかと思ってしまいます。辛い抗がん剤やって10%しか変わらないならやりたくない」

ドクター「うーん、、確かに数字だけでいうと10%だもんね。でも私たち医者は、この10%を低い数字とは捉えないんだ」

ドクターは優しく、かつ冷静に受け止めてくれて、私が治療を拒むことを責めたりはしなかった。
さすが、がんのスペシャリストたち。。
患者自身が納得して取り組まないと治療はうまくいかないし、そもそも患者が嫌がっている治療はできない。それ以前に、気持ちのケア自体が治療の一環なんだろう。
ドクターは今日の診察で無理に私の同意を得ようとせず、
「ご家族とよく話し合い、考えてきてください」と言ってくれた。
「いきなり抗がん剤を受け入れるのってやっぱり難しいから、、2週間くらい考える方もいます。どうしますか?」
あまり長く悩んでも逆にハゲそうだったので、私は翌日からの3連休後にすぐ答えを出すことに決めた。
最後にドクターが言った。

「抗がん剤治療をするかしないか決めるのはもちろんkao-ringoさんですが、私たちが病理検査などの結果で最善と思い立てたプランは、抗がん剤も含めた治療計画です。薬だけでは不十分な可能性があるからしてほしいのです。
どちらでもいいからするしない選んで、と言っているわけではないことを忘れないでね」

後日この言葉も治療を決意する材料になった。




診察後、別室でナースが不安のケアをしてくれた。名称とかはわからないけれど、抗がん剤についての専門資格を持っている方のようだった。
私の不安を取り除くように、何が辛いかをきいてくれて、共感してくれたり、最新の治療は副作用もそこまで辛くないんだとか色々と教えてもらい、私の不安も話せた。
とても優しい方で、動揺していた私の気持ちも、随分落ち着いた。
今でも感謝してますキラキラ
この時ナースから聞いて安心したのが、
私のするAC療法では

グリーンハート毎日ゲーゲー吐いて激痩せして入退院を繰り返すようなことはほぼない。
グリーンハート抗がん剤による副作用も大体把握されているので、初めから予防に薬を処方し、重篤な症状が起こることは滅多にない。
グリーンハート脱毛はたいてい起こってしまうが、その後生えてこない人は少ない。私くらいの年齢なら、きっと生えてくるだろうグッ

ということ。
基本入院はせず通院で治療らしいし、抗がん剤のイメージって全然違ったなと思った。

もちろん、これはAC療法の場合で、もっと辛い抗がん剤治療もあるんだよね。
今、実際抗がん剤を初めて、色々な方のブログを見てると、自分はまだ幸せな方だな。。脱毛が嫌でジタバタしてたこの時は甘えてたな。。と思って反省する。
でも、この時はホントに、恐怖しかなかった。
美容師という仕事柄なのかもしれない。人様の髪を美しくする職業をずっとしてきて、美容に関しては自分なりにこだわりをもっていた。
自分の髪はお客様の髪ほど大切にしてなかったかもだけど、失うという事は考えられなかった。
この恐怖と、じっくり向き合わなければ。。



3日間、考えることにした。