シェルコとスコルパのクラッチを、もっとカチッと感を出そうのお話 | 一郎のだまされ日記

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チーム黒山レーシング 黒山一郎でございます。


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<シェルコとスコルパのクラッチを、もっとカチッと感を出そうのお話>

 

●ダイアフラムクラッチに、もう少しカチっと感を出そう。

 

うちの選手ガキ二人が乗っている、シェルコとスコルパのエンジンはまったく同じものです。で、クラッチシステムも当然同じですね。

今の最新のダイヤフラムタイプで、この写真のクラッチポンプの中のピストンが左右に動き、クラッチフリクション(コルク)板」とクラッチ鉄板を、くっつけたり離したりしている機械構造。

 

 

クラッチポンプの中に入っている純正ピストンは、このような形をしています。これがスタンダードです。純正部品として5,600円で販売されています。

 

 

どうも、タッチというか動きにカチッと感がない、つまりグニュ〜感が多少残るので、ピストンの外径と長さは同じでピストンリングだけOリングで、このようなものを作りました。

私の発案オリジナルだったら天才ダビンチなんですが、残念ながら違います。

 

 

モテギの世界選手権日本大会にやって来た何人かのトップライダーが、ダイヤフラムタイプのクラッチをごそごそいじくっているんでのぞき見してみたら、このようなものと交換していました。それをパクって作っただけです。

はい、アダム.ラガも使っていました。

 

純正とオリジナルを二つ並べると、このような違いです。

 

 

両方をテストした結果、明らかにオリジナルの方、つまり、ピストンリングがOリング2本の方が動きにカチッと感が出ます。ピストンリングが帯状のものがついている、純正よりも明らかにです。カチッと感とは「クラッチの切れた、つながった」が、よりはっきり分かる事ですね。これは体感というか、指感できます。

 

Betaのクラッチポンプのピストンは、もともと距離動かなくてもいい性能だから、比べてみるとこのような大きさです。純正で最初から2本Oリング構造です。

 

同じ量の水を注射器で押し出す場合、太い注射器だったら押す量は少しで、細い注射器だったらかなり距離押さないと同じ量は押し出せません。これと同じで、ダイヤフラムクラッチのピストンは距離動いてほしいので、このようにピストン外径を小さくしたのでしょう。

 

 

●純正クラッチポンプピストンの、ほんのわずかな問題点。

 

証拠写真の通り、純正クラッチポンプのピストンのピストンリングには「帯状の板みたいない幅違いの樹脂が前後に3枚」付いています。

バラしてみるとすぐに分かりますが、この純正のピストンは動きをよくするためにか抵抗なくスコンと入り、けっこう動きはスコスコです。

必ずとは申しませんが、やっぱり機密性が悪くてオイル漏れをよく起こしています。それが原因でカチッと感がないのかもしれない・・・だと思う。

 

圧力がそんなにはかからないので、無理やり押し込むほどに寸法設計はしませんが、やはり組み込む時に、多少は無理やり穴の中に入れるOリングの方が機密性があります。このオイルの機密性の差がカチッと感の差かもしれませんね。

 

●オリジナルクラッチポンプピストンの手作り製造販売。

 

①ピストンのこと

 

ゼロ戦の翼の材料にも使われていたという歴史と実績のある、ジュラルミンA2017のむく棒から削り出しています。

見えています球はパチンコ玉ではありません。NTNメーカーの由緒正しい日本製ベアリング硬球です。

 

②2本のOリングのこと

 

ゴムシール製品はなんでもそうですが、相手の液体によってゴム材質を合わせてやらないとフニャフニャになる、ですね。特にミネラルオイルは、ゴム質に対して攻撃性の強いオイルです。

左右2本のOリング、片方はミネラルオイルに浸り、もう片方はミッションオイルに浸っています。どちらも同じ黒色ですが、左右にはそれぞれ対応で、それ用の材質のOリングを使って当然です。

テストで8ヶ月使って何ともないんで、そうそう交換の必要はありませんが、外してグリスアップするときは位置を間違えないでね。

 

・販売価格は純正部品と同じ、Oリング2本付き5,600円です。

・Oリングの予備は 2種類1本づつ計2本で600円です。

 

★お問い合わせは ichi@kuroyama.jp  へ。

 

●ダイアフラムクラッチにミネラルオイルを使う理由とは

 

今までは、前後のブレーキやクラッチの油圧システムは、すべて「ブレーキフリュードDOT4」を使って作動させていました。ところが、クラッチシステムが従来の6枚タイプから3枚タイプのダイヤフラムクラッチに変更になった車種、つまり、今現在でいうとHONDAとBeta以外の車種は、すべてクラッチのみ「ミネラルオイル」を使っています。

 

二者択一でいうと、前後ブレーキはブレーキフリュードDOT4で、クラッチはミネラルオイルです。これはきちんと左右マスターシリンダーのフタに「何を入れなさい」と書いてあります。

 

これは前ブレーキのマスターシリンダーで「DOT-4」の刻印があります。

 

 

ブレーキシステムに使うのは、このブレーキフリュードDOT4です。

ちなみにブレーキオイルと皆さん言いますが、ブレーキオイルではなくてブレーキフリュードが正しい言い方です。フリュードとは液体の意味ですね。

 

 

これはクラッチのマスターシリンダーで「ミネラルオイル」の刻印があります。

 

 

最新のダイヤフラムタイプのクラッチシステムを動かすオイルは、このミネラルオイルを使います。商品写真は、ミネラルブレーキフルードと書いてありますがこれはミタニさんの間違いで、正しくはミネラルオイルです。

 

 

結論を書くとクラッチにミネラルオイルを使うようになった理由は、動かすもの、つまりクラッチポンプの中に入っているピストンの移動距離が長くなったからです。

 

もともと、ブレーキフリュードDOT4には耐圧性能はあっても潤滑性能はない液体なのですが、ブレーキもクラッチも作動部はそんなには距離動かなくて性能を発揮しています。目で見て分かるブレーキパッドなんか、ブレーキをかけても左右のブレーキパッドは姿勢が変わるだけでほとんど左右に動いていません。

 

ところが最新のダイアフラムクラッチのピストンは「距離動かないと性能を発揮しないシステム」で、距離動くとなると潤滑性能のないブレーキフリュードDOT4では対応できず、耐圧性能はDOT4よりも落ちるけど、潤滑性のあるミネラルオイルを使う、となった次第。

 

もともとクラッチは「動かすもので圧力をかけるものではない」んだから、耐圧性能の弱いミネラルオイルで問題ないのでしょう。

多分ですが、今までのクラッチシステムもミネラルオイルでいいのですが、左右がすべて同じ部品の互換性でコストを下げるために、クラッチもブレーキフリュードDOT4対応にしたように思います。

 

HONDAとBetaのクラッチマスターシリンダーにミネラルオイルを入れてはダメですよ。中身のゴム類がすべてブレーキフリュード用になっていまして、ふやけて使い物にならなくなります。これは逆も同じです。

 

以上は蛇足ですが、まあ、知識として知っておいてくださいね。

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