発達障害部門 第3位 自閉症育児部門 第7位
発達障害の早期診断と早期療育をテーマにした連載の2回目です。
今回は、発達に遅れのある子が、1歳半から4歳位までの間、親御さんには非常に微妙で、独特のつらさがやってきます。今日はそんなお話です。
【診断も降りず中途半端な時期】
さて、現在の日本では、発達障害の診断は1歳~3歳ごろには中々おりません。この年齢は、定型発達(健常児)であっても多動傾向がありますし、言葉の発育が遅い子もいます。医師も、臨床心理士も、保健師・保育士なども、判断に迷う時期であるようです。
一方、親御さんにしてみれば、
その間にも不安と周囲のつらい対応はやってきます。
不安と言う点では、子どもの年齢はどんどんあがっていくのに、
中々これといった支援は受けられず、
時間ばかりが過ぎて焦りが生じます。
同じ自閉症でも、特に高機能群の場合、
見かけに健常児との差はまだ大きくなく、
本格的な療育施設に入れることも、中々実現しません。
もし、母親が、子どもに発達の遅れの疑いを持ったとしても、
夫や祖父母にまで理解を得るのは、これまた難しいです。
そこに、見た目に分からない障害であることが、影をさします。
配偶者であれ親族であれ、誰しもに、
「自分が愛する子どもに障害があってほしくない」
という思いがありますので、中々事実に目を向けられないのです。
(正直なところ、ぼくもそうした夫の1人でした。お恥ずかしい限りです。)
療育施設や保育園に入れたいと母親が言おうものなら、
「あなたの育て方を見直したほうがいい」と、
かえって責められることも少なくありません。
【周囲の理解を得にくい障害】
しかし実際は、この障害があると、幼児期にもいろいろな行動が出てきます。
発達障害児であっても、
ADHDのような激しい多動が出ることが多く、
また、周囲の子となじめないこともあったり、公園でも孤立しがちです。
他人との気持ちの共有が出来にくいところは、
赤ん坊の頃から存在しているので、
幼児期にもその影響が行動になって現れるのでしょうね。
うちの子も砂をつかんで投げたり、人のおもちゃを取ったり、
そんな行動があったようで、家内はいつも目が離せなかったようです。
そんな様子なので、落ち着いてママ友と語り合うことも叶わず、
子どもの様子から、ママ友からも冷たい目を向けられることもあるようです。
このように、子どもの様子に問題はあっても、診断がおりない上、
身近な人たちの理解も中々得られないため、
母親には不安でつらい日々が続きます。
まさに四面楚歌のような状態が続くのです。
(詳しくはこちらの記事 )
【こうしたつらい時期にも、トンネルの出口はありますよ】
さて、こうしたつらい日々ですが、
必ずトンネルの出口はあります。
また、そうした出口は、
いち早く支援を求めることで近付いてくると感じます。
そして、こうしたつらさを解消する為には、
発達障害に理解のある人たちに支援をしてもらうことが大切です。
理解のない世間や周囲の人たちに幾ら訴えても、
誤解を深めるばかりで、中々物事は進展しないからです。
子どもの幼少期であれば、保健所の保健師や保育士などでしょうか。
また、市町村の相談員にもうまく関わってもらえるようにしていきたいですね。
お母さん方のつらさを、こういった人たちにしっかりと伝えていくことで、
今は、色々な支援の手が掛けてもらえるようになりつつあります。
この障害に「診断」は大切なのですが、実際のところ、
病院が特に幼少期にしてくれることは余りありません。
地域にも寄りますが、療育を受けられたとしても、
月1~2度程度であることが多いようです。
(注※ 2行追記しました。)
また、子どもに精神的な二次障害が現れた時の、
投薬や対処法のアドバイスが主体となるようです。
地域差もありますが、
発達障害を診断できる小児精神科医は限られており、
評判の良い病院ほど、予約を入れてから初診を受けるまでに、
1~2年待ちということも、少なくありません。
ですから、病院以外にも、
他の支援施設・団体にアンテナを張ることも大切です。
ぼくは、自分の経験からも、発達障害児の幼少期の環境が、
非常に大切だと思っています。
この時期に、適切なかかわりで支援された子達は、
その後の学童期も、自分に自信を持って物事に取り組んで行き、
発達障害があっても、しっかりとやっていけると感じているからです。
今、お子さんが1歳半から4歳くらいで、
発達に遅れがあるお子さんを抱えるお母さんにすれば、
とてもつらい毎日が続いていると思います。
でも、そのトンネルの出口は必ずやって来ますので、
どうか気持ちを切らさずに、支援を求め続けていただきたいのです。
決して1人で耐えたり、1人で頑張る必要はありません。
この障害は、母親1人でとても乗り越えられるものではありません。
まずは、支援を求めることが先決です。
そうしていく内に、ご主人や祖父母の方々も、
徐々に理解を示していかれると思います。
まずは、今気持ちを切らさずに居てくださいね。
【根本課題は、早期診断】
さて、もう一方で、現状の日本の公的体制ではこうした対処で、乗り切るしかない訳ですが、結局は、発達障害の診断が4~5歳以降でないと難しいところに根本原因がある訳です。
次回は、そのところで、アメリカの一部の地域で既に始まっている、1才児の超早期発達障害診断について、記事にさせていただきたいと思っています。
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