集英社 国語辞典(1993年発行)における漢方薬は的確!
漢方 中国から伝わり、わが國で独自の発達をした医術。
漢方薬 漢方で用いる医薬品。草の根・木の皮・鉱物・動物の内臓などから作る。
「漢方薬」の解説については、今回の辞書が、最も的確であると思われる。
しかしながら、以前にも指摘したように思うが、「漢方」においては、わが国で独自に、まではよいのだが、発達、と来ては問題が多い。
この発達というのは、展開、とするほうがより的確であろう。
発達とか発展とかいう言葉は、どうしても進歩してより高度に発展したというイメージがつきまとうが、「展開」とくれば、そのニュアンスが多少は緩和されるように思われる。
実際のところ、漢方は日本において独自に展開はしたものの、高度にレベルアップしたといえるような発達・発展したとは、百歩譲ろうが千歩譲ろうが、どうみても言えないと思う。
現代ではむしろ、中西医結合ならともかく、単なる西洋医学化、積極的なエビデンス漢方を目指す動きばかりが顕著で、漢方の本質を見失っている、という多くの識者の意見と落胆は、大きい。
たとえば、インフルエンザに対して、「麻黄湯」の無作為投与による効果比較など、そもそもの出発点から錯誤を犯しているのではないか、という意見も強い。
この出発点から問題があるのと同時に、研究手法が相変わらず合成医薬品と同列の研究であり、本来漢方薬に馴染まないエビデンスを持ち込むことなど、個別性を重視する本来の漢方医学とは、似て非なるものとしか言いようがないように思われる。