Question;

「感性価値の活用」≪実習≫で、自社商材などの強み・優位性・差別性などを検討しましたが、どのように活用すれば有効になりますか?

Answer;
 まず「GTC」で要点を書き留めます。

 G:Goal(自分・自社が望む結果や目的)を明確にする。
 T:Target(相手や相手の会社が望むことやニーズ)を理解する。
 C:Connect(自分と相手の要望を連結)するアプローチ方法を検討。

 次に、相手にアピールしたいことを、次の3ステップで整理し、順序よく簡潔明瞭に説明できるようにします。

1.フック(鍵、留め金):最初の「掴み」で相手の注意を喚起する。
2.ポイント(要点):長所・メリット・特長などを3つアピールする。
3.クロージング(リード):次の行動につなげたり、行動を促す。 

 最後に「エレベーター・ピッチ」というプレゼンテーション手法で説明できるように練習します。

 エレベーター・ピッチとは、ごく短時間(30秒とか45秒)で説明(ピッチ)する手法のことです。エレベータ・スピーチとも言われます。

 このスキルがあれば、的確な説明で相手に話を聞いてもらうことができるようになります。なお、30秒で話せる内容は約250文字です。

 ちなみに「エレベーター・ピッチ」は、米国のシリコンバレーの起業家たちが、ベンチャーキャピタルが入居しているビルのエレベータ・ホールで待ち構え、エレベータに乗り合わせた投資家に対して、短時間で自分や自社のサービスを説明したことが由来になっています。

Question;
 昔、コーチィングの研修で「傾聴」を学んだのですが、特に交渉時は説得しようという気持ちが強くなり、相手の話を傾聴できていません。

Answer;
 仰るとおりです。交渉では、相手を説得しようという気持ちが強すぎると、相手の話を聞けなくなります。

 私どもの研修でも「積極的なリスニング」のところで「まず相手を理解しようとしない限り、相手は決してこちらの話に耳を傾けてはくれない」と説明しています。

 傾聴とは、相手の話に100%耳を傾けている状態を言います。目的は、相手の言いたいことや相手の伝えたいことにポイントを置いて、相手を理解することです。

 相手に関心を持ち、相手の話を一生懸命に聞くことです。傾聴し適切な質問をすれば、相手のニーズや本音を掴むことができます。

 傾聴のポイントとしては次のものが挙げられます。
1.的確な相づち、うなずき、驚きを持って聞く
2.相手の言葉(キーワード)を繰り返す(オウム返しテクニック)
3.相手の言葉を要約して繰り返す(これもオウム返しテクニック)
4.適切な質問を入れて相手の話を引き出す
5.相手の話を遮らない、話の腰を折らない、批判しない、アドバイスをしない、意見を言わない

 相手が何を求めているのか、相手の真のニーズを理解できれば、的確な提案ができます。また、切り込むチャンスがわかります。

 そういう意味で「傾聴」は、コーチィングでも交渉でも、こちらの目的を達成するために不可欠なスキルと言えます。
                     
              NRIJ認定コンサルタント
                    観音寺 一嵩

Question; 
 取引先の要望で、従来の手形払いを現金払いに変更します。そこで、支払サイト短縮分を金利見合いとして値下げを要請したいのですが。 

Answer;
 従来に比べて、下請代金の支払条件を取引先に有利な条件に変更するので、せめて金利見合いの値下げをという気持ちはわかります。
 
 しかし、下請代金の支払いについて、中小企業庁及び公正取引委員会では、できる限り現金払いとすることなどを親事業者に要請しています(平成28年12月14日付け「下請け代金の支払手段について」通達)。

 その考え方は、従来の手形払いというのは、親事業者が下請事業者の利益を不当に害する(金利分のコストのしわ寄せ)行為ということです。

 つまり、従来の条件が不当なものであり、今回の条件変更により公正な状態に戻るという解釈になります。

 だから「現金払いにする金利見合い分として、今後は仕入金額を〇%低減する」などと一方的に通告するのは下請法に違反する怖れがあります。

 支払条件の変更をあなたが容認し「その代わり」ということで、それ以外の取引カードを要請をすれば、相手の了解が得られる可能性は高まるでしょう。

 金利見合いの値下げを取引先と相談するのであれば、前記の行政の考え方を肝に銘じながら、十分に協議することを心掛けてください。

       NRIJ認定コンサルタント 観音寺 一嵩