今があるのは | Tへ

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ブラックタイガーに濯ぐ .◦☆* 。*◦*~♪

もう限界かなというとき眠剤を半分に割って飲む。

考え事ばかりして神経が休まらなくて

本当に眠れない日が続くと相当危険で不安になる。

怠いだけでなく、かなり怒りっぽい。

起きているこの世界が重くて不快にさえ感じてしまう。

眠って楽しい夢を見ているときは時々爆笑してしまう。

自分の笑い声に驚いて目を覚ますと

少し切ない現実の世界に戻される。

時には恐い夢を見て

起きてからも心臓の爆音が止まらないことは多々ある。

夢の中は画素数の低いカメラの世界みたい。

そこが良いのか悪いのか楽しければそこがいい。

現実に生きる事を辛く感じ始めたのは今に始ったことではない。

でも職場を去って良かったと思う。

あのまま勤務を続けていたらと思うとゾッとする。

長年勤めてきただけに悔しいけれど当時の課長が

私の上司のパワハラな状況を何も改善しようとしなかった。

下の子のミスを事故として取り上げ私も責任追及されて

何度も会議で責めたてられた。

最初の原因究明会議では所長が私の話を聞いて深く理解してくれた。

その後、所長は「もういい」と言って会議に来なくなった。

きっと、あまりにもくだらない話し合いに過ぎないと

所長自身が感じ取ったのかもしれない。

多忙なのに会議ばかり開いて時間が無駄に流れていく。

直属の女性上司は部下を助けるどころか蹴落とす。

そもそも職場自体が終わっていたと思う。

詳しくは書けないし語りたいことはたっくさんある。

本当に悲惨で自ケツされる人もでた。

どうしてこんなブラック企業になってしまったのだろう。

超勤を終えて帰宅する気力も萎えたまま会社近くのスーパーで

見切り品のお総菜と酎ハイを買って電気の消えたイートインで

暗闇の中、独りで軽くつまんで飲んで帰ったら寝る時間を過ぎている。

駅のホームに立ち帰宅ラッシュを過ぎた空っぽの電車を待ちながら

足元へ目を落とす。

そんな時

フラーッとそのまま下へ引っ張られてしまいそうになる事が何度かあった。


生きているのが辛い。


あまりにも辛くてTに相談した。

まだ声帯のあった当時のTが私の話を聞いて職場へ電話した。

彼は声帯麻痺で声がガラガラしている。

しかも関西弁なだけにすごみがある。

彼が電話したら課長はたじたじとしていた様子だった。

別に脅すつもりでもないけどTのしわがれ声に

相当怯えていたらしい。

内容は割愛するけれど

Tが言ってくれたおかげで少し気分が救われた。

そしてTがその後の人生の道を誘導してくれたから今がある。

知らなければ1人路頭に迷って

もう生きる術を失っていたかもしれない。


昨夜、オムライスを食べて寝たはずのTがまた起きてきた。

この人はいったい

一日に何度、寝たり起きたりを繰り返すのだろうと思いながら手を振る。

ジェスチャーでお腹をさすって


「腹減ったー」


という。

やっぱりオムライス小さかったよね。

飲み込みの調子がいいと食べてくれるものだから

キッチンへ降りて軽く野菜を入れてお粥を作った。

術後、熱い物は食べられなくなってしまったから

相当時間冷まして放置していると思ったら

一気に食べてしまった。


ぇぇええええ?


大丈夫?

酔っているわけでもなく

お腹が空いてたまらない様子でスプーンを置くことなく食べているから驚いた。

急に食べられる状態になる事は繰り返し過去にもあったけど

お腹を壊さないかな。

シラ~っと空になったドンブリを机に置いてのけぞって

目をつぶっているけど。。。

私は不眠症で眠れないから

そんな彼を放置して薬を飲んで横になった。

もう限界。

でも

不安だから薬は半分に割った。

朝起きてゴミ捨てに行く。

陽気が暖かく変わってきたから起きられさえすれば苦にはならない。

ひとりでこうしているとき

なんとなく寂しい気持がよぎる。

ここは彼の家だからゴミ捨ては本人が車で

率先して運んでくれていた。

でももう今は無理みたい。

時々起きてきてやろうとしてくれるけれど

呼吸が苦しくなるのを気にかけて

大丈夫と言って彼を残してドアを閉める。

家の前を集団登校の小学生達が賑やかに通り過ぎて行った。

ゴミ袋をプラプラと両手に抱えて空を見上げ龍神雲を探しながら歩く。

もの悲しい気持は常に隣り合わせでも

地獄のような職場に身を置いていた頃よりは

ずっと呑気な自分を感じた。