【3/11 あの日の彼女】 | 帰ってきた!彼女が大好きで困るわwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

【3/11 あの日の彼女】

Q.今一番なにが怖いですか?
僕:放射能汚染
彼女:職がない
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その前の日。
被災地である仙台市は意味のわからない積雪を確認。
その翌日にはその積雪が全部溶けるほどの気温が上昇する。
すっかり春めいたな、やるな仙台なんて思っていました。
東の空にはもくもくとした黒い雲が覆って(地震雲というそうです)、
なにやら不吉な予感を漂わせていたのを知るのは、それから2週間後の事だった。



【朝】

前日も意味のわからない残業をして10時ごろ帰宅していた僕。
ほぼ上司の自慰のような残業に付き合わされ、「今日ははやく帰りたいな」と思っていました。
彼女ちゃん:「僕君いつもがんばってるからなんか今日食べに行こうよ!!!!!」
僕:「…。(そんな元気があればいいけど)」
その上司は、おそらくコミュ障が入っており、親切心で僕の為にやっている残業なのだろうが、
まったくハタ迷惑極まりない行動と言動とで、ほとほと困っていた。

ちなみに彼女ちゃんは焼き肉かびっくりドンキーを奢ってくれるそうです。
肉好きだなほんと。


【昼】

意味のわからない業務のコツ(しかもよくわからない)に縛りつけられ、
1時間くらいタイムロスをする。はやく潰れればいいのに、やめてやるちくしょうと
思いながら休憩。彼女ちゃんにメールする元気もない。
上司の自慰のような話を聞き、「お花見でもするか!このメンバーで!」と1人ノリノリである。
女の子1人ずつ連れてきてね、なんて言ってのける。
団塊ジュニアはこんなのしかいないのか、と思ってしまう程にこの世代の人は
こんなノリで接してこられるので、ゆとり目前世代の僕にとってはちんぷんかんぷんでドン引きです。
金・女・昔の悪行自慢をリピートされながらうんざりする僕。

休憩から戻り、発注書の〆を早くしろという℡が担当から入る(来季の納品分です)。
なので仕方なくカタカタと作り始めるのだが、
ガガガガ
と地震。窓あけろ!なんて上司の声が響く中、大したことがなく終わる。
また再開。

が。
また地震が来る。
小刻みに、そして揺れが大きくくる。
ガガガガガガガガガガガガガガガガと大地が揺れて、建物は割れて、電気が一斉に火花を出した。
僕自身、たぶん日本でトップ3安全県の山形で育ったせいもあり、
こんなに大きい地震は生まれて初めてだなあ…なんて
考えてられるうちはまだ余裕でした。
ぐわわわわわわわわわわわわわとデスクの下に隠れた僕を、
揺れは左右に大きく揺さぶり、退去命令が出る。

命からがら外に出た僕は、小学校くらいのビルがゆらゆら揺れてガラスが砕ける様を初めて見る。
そして近くで鳴り響く津波警報。
ニュースやラジオで「津波6メートルかー 床下浸水やだなー…」と
沿岸部に住んでいる人は冗談半分で笑っていた。
1時間後。この人達は近隣への立ち入りが封鎖され、
津波で跡形もなくなった自分の町を知ることになる。
その町は海底か、瓦礫かに姿を変えることになる。

そして何度も続く地震。そして突然の気温低下と降雪。
あたりは真っ暗になり、津波警報が鳴り、道を雪が覆う。
隣の町ではコンビナートが燃えているらしく、その炎と煙を肉眼で確認できるほどだった。
そして津波が到達。
僕の会社の200メートル先まで来たらしいが(海から5キロほど離れていました)、
それを知るのは少し先になる。

会社はすぐさま解散。復帰は絶望的。
彼女ちゃんに電話するも出ない。
急いで生死を確認しなくては!
帰り道、途方もなく立ちつくす老人や泣き崩れる人を横目にする。
閉鎖される町。

やっとつながった彼女ちゃんは冷静だった。
「○○小学校に避難してる!」とのことだったのですぐさま急行。
無事安否を確認する。(春物売りだし期間だったらしく、寒そうな格好でした)
彼女ちゃんに聞いたら、これから働いているお店のビル(半壊)の内部で
取り残された人がいないかを調査するらしい。
レットレンザー懐中電灯を2つたまたま持っていたので、それを貸す。
何度も「彼女ちゃんがどうしても行かなければいけないのか。」と聞いたが、
店長がいない為に彼女ちゃんしかいないらしい。
神様。へんなことはしないでくれよ。
暗くなる仙台市は、明かり一つない漆黒の闇に包まれていった。

2時間ほどして、いろんなスタッフと出てくる彼女ちゃん。
何回も大きな余震があったが、無事だったようである。
幸い取り残された人は誰一人いなかったらしい。
そして帰宅。
店という店には長蛇の列。
「電気止まってるときついなーははは」なんて笑ってられるのは
この時だけだった。
「そんなに買いこまなくても大丈夫でしょはははは」なんて笑ってられるのは
今のうちだけだった。
この時、のりたまと即席みそ汁×2しか買わない自分を
激しく後で後悔することになる。
「これだから情弱は」と言われても黙って頭を垂れるしかない。
どこまでも続く漆黒の闇を、
サイレンとヘリコプターの音がいつまでも切り裂いていた。

続く