朝から晩まで新型コロナウィルス狂騒曲が鳴り響いているようだが、どうも大騒ぎすぎて、冷静な分析や報道がおろそかになっているように思えてならない。
「中国・武漢市を中心に急増している新型コロナウイルスによる肺炎に関し、国立国際医療研究センターの忽那賢志医師は2日、金沢市内で開かれた日本臨床微生物学会で、国内で確認された患者らの情報を基に「1週間ぐらい(のどの痛みやせきなどの)上気道炎の症状が続く」と報告した。
忽那医師は、発症からしばらくは「肺炎を伴わないことがあり、診断が難しい」と述べた。
中国での死亡者の多くは持病があったと報告されており、同センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は「(健康な人の場合)思ったよりずっと軽症だ」と指摘。「マスコミで醸し出されている印象との強烈な乖離(かいり)を感じる」と過熱する報道を疑問視した。」
「時事通信」より
WHOも次のような声明を出した。
WHO「マスクは予防にならない」「パンデミックでなく『インフォデミック』」 新型肺炎
「世界保健機関(WHO)の担当者は4日、新型コロナウイルスについて「必ずしもマスク着用は感染予防にはならない」と述べた。手洗いの方が効果的だという。一方、ウイルスに感染した人は、流行を広げないためにマスクをすべきだと指摘した。
専門家の間では、家族が看病する場合など、近くで症状がある人の飛沫(ひまつ)を浴びる可能性がある場合には、マスクも一定の効果があると考えられている。しかし野外などでは、マスクでは十分には予防できないとの意見が一般的だ。
記者会見したWHOのグローバル危機準備担当局長シルビー・ブリアン医師は、新型コロナウイルスを巡っては、警戒レベルが最高度の世界的大流行を意味する「パンデミック」ではなく、根拠のない情報が大量に拡散する「インフォデミック」が起きていると指摘。WHOは科学的に根拠のある情報を発信し、運航中止が相次ぐ中国便の再開などを働きかけていくと述べた。【パリ久野華代】」
「毎日新聞」より
アメリカでの反応は下記から。
「日本の最低な態度にゾッとしたわ」 人種差別発言「#中国人は日本に来るな」米紙報道 【新型肺炎】
「新型肺炎の感染者数や死者数が激増し、ヒトヒト感染も増える中、世界各地で中国人に対するヘイトが高まっている。
日本も例外ではないようだ。米紙ニューヨーク・タイムズが、日本では、#中国人は日本に来るな(#ChineseDontComeToJapan)というハッシュタグがツイッターのトレンディングになったと伝えている。
新型コロナウイルスに対して恐怖を感じているのはわかる。日本の安全を守りたい思いから吐いた暴言もあるだろう。しかし、「#中国人は日本に来るな」という言葉はヘイトスピーチ以外の何ものでもない。あからさまな人種差別発言だ。「桜を見る会」の公文書廃棄問題や障害者言及問題に続いて、世界にまた日本の恥が晒されてしまった。
顔に唾を吐きかける
このハッシュタグに対する批判のツイートもあがっている。
「"#中国人は日本に来るな"は中国人に対する不必要な人種差別であり、ヘイトよ。日本の最低な態度にゾッとしたわ。こんなこと言う人には、顔に唾を吐きかけるわ」
「ひどいよ。僕たち人間は、危機の時はお互いに助け合うはずだ。しかし、中には人種差別を拡散せずにはいられない日本人がいる」
「マジか、#中国人は日本に来るながトレンディング??? 中国からのフライト中止を優先することには賛成だけど、それは、キツ過ぎるんじゃない?」
また、「韓国では、中国人訪問者を禁じるよう抗議が行われている。日本では“#中国人は日本に来るな”がトレンディングだ」という日韓の違いに言及したようなツイートもある。韓国では、中国人の入国禁止を呼びかける嘆願書に54万以上の署名が集まったという。
中国から来たのか? あっちに行け
中国人に対するヘイトスピーチが起きているのは日本だけではない。アメリカも同様だ。
アメリカで初めての感染者が確認された米ワシントン州にあるコストコでは、感染予防のためマスクをつけていた8歳の男の子が、試食サービススタンドの女性従業員(試食サービス企業から派遣されていた)から「中国から来たのか? あっちに行け」と罵倒される差別を受け、ニュースになった。ちなみに、男の子の母親は韓国系アメリカ人で、父親は様々な国の血が混じっていたので、その男の子は中国人とは言えなかった。しかし、その女性従業員は、男の子がそのルックスから中国人だと思い、そんなヘイトスピーチに及んだのだろう。
また、アリゾナ州立大学には、咳も簡単にできないと訴えるアジア系の学生もいる。同大学の関係者が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたことから、アジア系の学生は咳をしただけで、教室にいる学生たちから変な目で見られてしまうことがあるというのだ。
アジア系のビジネス経営者も差別に晒されている。カリフォルニア州サンエィエゴのアジアン・コミュニティーのメンバーたちは「私たちは人種差別のターゲットになっている」と訴えている。
フランスでは、地方紙「クーリエ・ピカール」が、新型肺炎に関する記事に「イエロー・アラート」という見出しをつけて掲載し、批判された。「黄色人種に気をつけろ」と言わんばかりのこの見出しは、19世紀に流布した「イエロー・ペリル(黄禍論)」という人種差別的な言葉を想起させるからだ。「イエロー・ペリル(黄禍論)」とは、欧米諸国で起きた黄色人種脅威論。当時、欧米諸国は日本や中国などアジア地域の近代化と国力増強が彼らにとって脅威になると考えていた。
アジア人が差別される
結局のところ、欧米人は、中国人、韓国人、日本人などアジアの黄色人種の人々を見分けられない。そのため、欧米では、反中感情がアジア人全般に対する差別に繋がるという状況が起きていると言える。日本人も差別の対象になりうるのだ。
「#中国人は日本に来るな」というハッシュタグやそれに類似したハッシュタグでヘイトスピーチをしている人々も、欧米に行けば、ヘイトのターゲットになる可能性がある。結局、ヘイトには、ヘイトしか返ってこない。ヘイトは連鎖して行くだけだ。何より、ヘイトはSNSで拡散していく。
世界で反中感情が高まっている今、ヘイトや偏見、人種差別を生み出す言動を止めてほしいと強く訴えたい。」
在米ジャーナリスト飯塚真紀子「アメリカは今日も眠れない」より
そのアメリカで、新型コロナウィルスなんか目じゃない最悪のインフルエンザが大流行で死者が2万5千人を超えたと言うから、こちらの方がよほど心配だ。
米国は“殺人インフル”パンデミック状態 すでに死者2.5万人
「連邦機関の疫病対策センター(CDC)の公式サイトで流行分布地図を見ると、全米50州のうち41州が「流行」を示す真っ赤に染まっている。CDCの推計だと、昨年10月1日から今年1月25日にかけ、最大2600万人がインフルに罹患。最大で31万人が入院し、うち2万5000人が亡くなっている。
過去10年で最悪規模の状況が予想され、患者数4500万人、死亡者6万1000人に上った2017~18年シーズンと比べても感染拡大の勢いは強い。まさに米国はパンデミック状態だ。」 「日刊ゲンダイ」より