菊花賞の想い出 ホリスキー | パドックに魅せられて

パドックに魅せられて

競馬歴45年。
馬ほど美しい動物はいません。

1982年の菊花賞はマルゼンスキー産駒の伏兵ホリスキーが勝ちました。黒光りする大きい馬でした。
あの時私は大阪桜橋にあるサンケイホールで催された「菊花賞前夜祭」に行きました。檀上に並ぶ出演者の中に森乃福朗さんがいました。あのキーストンが骨折し安楽死処分を受けたレースで落馬し動かない山本騎手にブラブラの脚ですり寄ったあのシーンを涙で実況した人です。
前夜祭の終わり近く、出演者に菊花賞の勝ち馬をズバリ挙げてもらう場面がありました。トラックマン、プロの予想家がそれぞれ有力馬を挙げる中、森乃福朗さんは「ホリスキー!」と言ったのです。ホリスキーはまだ条件戦を勝ちあがったばかりだったと思います。場内からドッと失笑が起こりました。私も(まさかホリスキーなんて・・・)と思いました。
レース当日のパドック、私はワカテンザン、ハシローディーに期待していました。当時競馬は東高西低、関西人の私は関西馬に勝ってほしかったのです。パドックで黒く光った大きい馬が抜群の覇気でキビキビと歩いていました。(まさか・・・去年のミナガワマンナと同じパターンやないか)去年と同じ人気薄でしかもジョッキーも同じ菅原騎手です。森乃福朗さんの「ホリスキー!」という声が私の頭の中によみがえってきました。しかし私はホリスキーを買う勇気がでませんでした。
レースは途中からハシローディー、ワカテンザンがかかり気味に先行速い流れをホリスキーが後方から仕掛け、直線ナタでぶった切るように差し切ったのです。3分5秒4は当時のレコードでした。配当は大荒れでした。レースの終ったゴール前に強風が吹き荒れ、新聞,情報紙が舞い上がる光景を今でも覚えています。すごいレースでした。