山陰游紀を読む(3) | かすみちゃんのブログ
2018年12月27日

山陰游紀を読む(3)

テーマ:香住の昔

こんにちはかに座 またまた懲りずに遅塚麗水の「山陰游紀」の続きです。

 

午後3時半、今まさに香住駅に入ろうとする時、汽車が突然停まる。乗客は何事かと一斉に窓に群がって外を見る。駅夫が駆け寄ってきて、先発の機関車が駅舎内で脱線し、修理には3時間は掛かると言う。駅から数町先の森村にある亀居山大乗寺は、応挙寺と呼ばれる名高い寺である。思いがけず汽車が足止めを食らったことで図らずもこの古刹を訪れ、巨匠の描いた名画を鑑賞しようと、人々は皆汽車を下り、麦田の中の一本道を、傘や帽子を頭にぞろぞろと行く。

 

 鍬を担いだ農夫、籠を負った海女さん、ひっそりと寂しい村の犬や鶏をたまに驚かすものといえば、病人の家に急ぐ竹庵先生か、はたまた県庁帰りの郡長さん。普段は人通りの少ないこの道を、今日は都をときめく名士たちが群がり、徒歩や車で森村を目指して行く。午後の日差しは額に薄ら汗を滲ませ、土ぼこりは都大路のそれよりも多い。村の子供は犬を引き、機織りの女は杼を投げて、耕夫は鋤を放り出し、皆目を丸くしてこれを迎え見ている。門にも窓にも人の顔が群がっている。

 行くこと7・8町、浅い流れに木欄橋が架かっていて、橋を渡ると亀居山大乗寺である。ちょうど柑子の花が咲き、芳しい香りが漂ってくる。白苔がまだらに生えた石段を上ると短い垣に白壁の四本柱の門が建ち、門を入ると一株の楠の古木が佇んでいる。苔生す庭の一面が涼しい木陰に覆われて、風が無くても自然に涼しい。

 

竹庵先生・・・藪医者のことを人の名前になぞらえて薮井竹庵と言ったので、ここでは腕の振るわない医者のこと。

杼(ひ)・・・機織りの横糸を通す用具。

木欄橋・・・木製の欄干のある橋。

柑子・・・みかんの一種。

 

大乗寺門前
 
楠の古木
 
次はいよいよ大乗寺の中に入っていきます。今日が折り返し地点・・・あと3回あります。昔の文章はその時の空気感まで分かるように書かれていて素晴らしいです。ただ、遅塚さんの目はまさに都会から田舎にやって来た人という感じで、私は珍しそうに眺めている村人の側ですから、ちょっとそっぽを向きたくなるような表現もあります。
 
楽しいのはカニだけのような気もしますが、もうしばらくお付き合いくださいかに座
 
 
香美町香住観光協会 http://www.kasumi-kanko.com/

 

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