こんにちは。
金田 隆佳です。
今回は、NMDA受容体拮抗薬です。
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NMDA受容体っていうのは、AMDA受容体と共に、脊髄後角の侵害受容ニューロンという所にあって、痛みを伝える神経伝達物質をキャッチするセンサーです。
一次痛(身体のどこが・いつ痛みの刺激を受けたのか?を正確に伝える痛み)を伝えるAδ神経線維は神経伝達物質としてグルタミン酸、二次痛(どの部分が痛いのかはっきりしない痛み)を伝えるC繊維は神経伝達物質としてグルタミン酸とサブスタンスPを放出します。
末梢のAδ神経線維が繰り返し刺激されてもグルタミン酸しか放出されませんが、C繊維が繰り返し刺激されると大量のグルタミン酸とサブスタンスPが放出されるようになります。
NMDA受容体は、普段はグルタミン酸に対する感受性はあるけど低いです。
NMDA受容体は、普段はMg²⁺(マグネシウム)が受容体に蓋をして活動を抑えてくれていますが、大量のグルタミン酸が放出されると細胞の外にあるナトリウムイオンがどんどん細胞内に入り込んでしまい「脱分極(活動電位:電気信号が発生する現象)」の度合いが増して、マグネシウムの蓋を外す役割をします。
大量のサブスタンスPが放出されると、NK-1受容体と呼ばれる受容体が活性化され「PKC」という物質がつくられて、このPKCもマグネシウムの蓋を外す役割をします。
マグネシウムの蓋が外れてしまうと、簡単にグルタミン酸に反応するようになってしまいます。
NMDA受容体は「カルシウムイオンCa²⁺」を通すゲートなので、細胞内にナトリウムイオンだけでなくカルシウムイオンも流れ込み、痛みを促進する物質であるプロスタグランジン(PG)や一酸化窒素(NO)が産生されます。
このPGやNOがまたニューロンを刺激して「wind-up(ワインドアップ)現象」という現象が起こります。
で、結果的に少しの刺激でも痛みを強く感じるようになってしまいます。
このような訳のわからない、面倒くさい仕組みのNMDA受容体の活性化を阻害することで鎮痛効果が得られます。