こんにちは。

金田 隆佳です。

 

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TMSジャパン長谷川先生からいただいた、腰痛のエビデンスの一部です。

 

医療提供者は腰痛に関する患者の誤解を解くと共に、効果的な管理へ導かなければならない。「患者は生体力学的な視点から生体力学的な異常が見つかることを期待している。何らかの形で我々が患者にそのような考え方を教えてきたのである。患者にも再考を迫る必要がある」by David Shute。

◆多くの研究者が腰痛に取り組んできたにもかかわらず、腰痛は依然として医学的・社会的大問題である。効果のない治療と見当違いの政策によりこの危機が雪だるま式に大きくなっている。「腰痛は20世紀の医学的大問題だったがその遺産は21世紀も拡大している」http://amzn.to/mdUzuP

◆腰痛はアメリカでもっとも過剰診療が行なわれる疾患だが、それによって患者の治療成績や発症率が改善したようには思われない。http://1.usa.gov/lrANBd http://abcn.ws/cBnU4o

◆『Tackling Musculoskeletal Problems』によると、筋骨格系疾患で重要なのは「長期病欠は不利益」「患者は損傷に苦しんでいるのではなくイエローフラッグ、ブルーフラッグ、ブラックフラッグに苦しんでいる」「患者を助けるには資源や費用は不要」「職場復帰には医師のみならず職場の関与が必要」の4点である。http://amzn.to/lU1o26

「イエローフラッグ」

臨床転帰不良や慢性疼痛、活動障害をもたらす患者自身の心理社会的問題。痛みを大惨事と捉える、重病だという思い込み、過度の心配、抑うつ、動作恐怖、将来の不安、受動的態度、効果のない治療など。

「ブルーフラッグ」

職場に関連した問題。肉体労働、満足度の低い仕事、職場の社会的支援不足、ストレスの多い仕事、労働環境や作業内容の変更が行なわれない、労使間のコミュニケーション不足など。

「ブラックフラッグ」

患者をとりまく社会的環境に関する問題。会社や医療関係者との意見の不一致、補償問題、各種手続きの遅延、恐怖心を煽るメディアに対する過剰反応、家族からの否定的反応、社会的孤立や社会的機能不全、役立たない職場復帰計画など。

◆『Tackling Musculoskeletal Problems』には、筋骨格系疾患患者の職場復帰を妨げる重要な心理社会的因子(イエローフラッグ、ブルーフラッグ、ブラックフラッグ)だけでなく、時系列に沿った段階的治療手順が示されている。http://amzn.to/lU1o26

◆ノースカロライナ州の地域住民を対象とした最近の研究によると、慢性腰痛があると回答した成人の割合は、1992年には3.9%だったものが2006年には10.2%にまで増加している。腰痛を生物・心理・社会的問題として対処しないからにほかならない。http://1.usa.gov/uytoF6

◆体系的レビューとメタ分析の結果、慢性腰痛は年齢・性別・体重・教育レベルの影響をまったく受けておらず、肉体労働・仕事の満足度・病欠などの影響も弱い。もっとも重要なリスクファクターは、心理学的・機能的領域と考えられる諸因子(イエローフラッグ)である。http://1.usa.gov/lr6fyx

◆慢性腰痛患者を対象とした二重盲検プラシーボ対照RCT(ランダム化比較試験)の結果、巷で大人気のグルコサミン服用群に、プラシーボ群を上回る統計学的に有意な利点は認められなかった。http://1.usa.gov/lNW0Zv

◆88,000名以上を対象としたコホート研究により、筋骨格系疾患を持つ患者の死亡率と発がん率の高いことが判明。死亡率が高いのは股関節痛・腰痛・肩関節痛の順で、発がん率が高いのは腰痛・股関節痛・頚部痛の順だった。http://1.usa.gov/mnkHNZ

◆腰痛の原因はいまだに謎だが、椎間板変性を腰痛の原因と考える脊椎外科医は23%のみで、その患者に固定術か椎間板置換術を選択すると答えた脊椎外科医はわずか1%しかいない。もし自分が患者なら99%が保存療法か放置すると回答。http://1.usa.gov/katDsM

◆1966年から2010年2月までに発表された論文を検索した結果、現在の腰痛管理システムはけっして理想的なものではなく、腰痛を悪化させる可能性すらあることを示す豊富なエビデンスがあることが判明。http://1.usa.gov/lr6fyx

◆2年間にわたる追跡調査によると、坐骨神経痛を有する椎間板ヘルニアの手術は保存療法より有益とはいえない。職場復帰率や長期活動障害率においても手術の優位性は認められなかった。坐骨神経痛は手術を受けるか否かに関わらず時間が経てば改善する。http://1.usa.gov/igqtA0

◆イギリスで行なわれた701名を対象としたRCT(ランダム化比較試験)では、数回にわたる集団での認知行動療法によって慢性腰痛の疼痛と活動障害が改善され、その効果は12ヶ月も持続しただけでなく、費用も一般的な腰痛治療の約半分に抑えられた。http://1.usa.gov/mobdNx

◆腰痛疾患の分野では十分な試験が行なわれることなく新しい技術が普及してしまう。アメリカでは脊柱管狭窄症に対する固定術の実施率が15倍に増加したが、それに伴い重篤な合併症、死亡率、再入院による医療費なども増加している。明らかに過剰診療。http://1.usa.gov/lrHYry

◆脊柱管狭窄症の治療では、特異的な適応がほとんどない症例やより簡単な治療で高い効果が得られる明確なエビデンス(科学的根拠)がある症例に対しても、より複雑な新しい手技(固定術)が行なわれている。エビデンスのないリスクを伴う高価な治療の急増は問題だ。http://1.usa.gov/mntabq

◆脊柱管狭窄症で複雑な固定術を受けた患者は、除圧術に比べて命に関わる合併症リスクが3倍(5.6%対2.3%)。術後30日以内に再入院する可能性も高く(13%対7.8%)、手術費用も3倍強にのぼる(80,888$対23,724$)。http://1.usa.gov/lrHYry

◆複雑な固定術を必要とする脊柱管狭窄症がわずか6年で15倍に増加したとは考えられない。脊椎分野のオピニオンリーダーの影響や思い込み、経済的利益などの要因が関与している。正確な情報を与えられれば患者は低侵襲性のリスクの小さい手術を選択するだろう。http://n.pr/8XAf9S

◆fMRIを用いた研究によると、痛みに関連した言葉とイメージを思い浮かべると脳のペインマトリックスが活性化するが、注意を逸らせると活性レベルが低下した。ゆえに、痛みをくよくよ考えたり頻繁に話題にしたりする患者は自ら症状を悪化させている。http://1.usa.gov/kRj6OS

◆腰痛分野の研究はこの20年間で目覚しい進展がみられ、腰痛疾患の疫学や理解が進んだにもかかわらず、腰痛の臨床転帰や活動障害の予防に改善は認められない。集学的チーム医療が行なわれていないからだ。このままでは急速な進歩は見込めない。http://1.usa.gov/kLP8z6

◆「激しい」「突き刺ささる」「ヒリヒリする」等の言葉で頭を満たした場合、レーザー光による熱刺激に対する感受性が増大して疼痛感覚が増強される。痛みに関連した言葉と疼痛刺激が組み合わさるとプライミング効果で疼痛体験が雪だるま式に膨れ上がる。http://1.usa.gov/mFRvuz

◆坐骨神経痛に対する椎間板手術は、保存療法よりある程度の優位性を示すものの一過性でしかない。ノルウェーのRCT(ランダム化比較試験)では1~4年間優位性が持続したが (http://1.usa.gov/lflO3P)、オ ランダのRCTでは1年未満だった(http://1.usa.gov/l8WVTV)。

◆議論の余地がない真実とされる信念、学説、慣行という腰痛分野における「聖域」を侵した双生児研究の業績は大きい。輝かしい賞を数多く受賞しているにもかかわらず、腰への物理的負荷が椎間板変性の危険因子だとする見方は変わらない。目を覚ませ。http://1.usa.gov/vUFBka

◆これまで職場での身体的負荷(重量物の取り扱い、不自然な姿勢での作業など)、自動車の振動、喫煙などが椎間板変性を加速すると考えられていたが、一卵性双生児を対象とした比較研究によって身体的負荷よりもむしろ遺伝子の影響が大きいことを発見。http://1.usa.gov/iPsKBC

◆体重差のある(平均13Kg)一卵性双生児を対象にMRIで腰椎を比較した結果、体重が重い方が腰椎の骨密度が高く、椎間板の状態も良好だった。仕事やスポーツによる累積的かつ反復性の生体力学的負荷が椎間板にダメージを与えるわけではない。http://1.usa.gov/ldX4Zv

◆フィンランドの男性双生児600例を対象とした研究によって、BMI高値、引き上げ筋力が強い、作業強度が高いといった因子はすべて椎間板変性を遅らせるらしいということが、椎間板のMRI信号強度スコアから証明された。http://1.usa.gov/m8HAed

◆腰痛分野における遺伝学的影響の研究はまだ初期段階だが、椎間板変性に関する従来の仮説が誤りであることを証明すれば、より有用な仮説に向かって研究が進み、時代遅れの考え方に基づく効果が実証されていない予防法を刷新できる。http://1.usa.gov/jbLioe

◆アメリカでは脊椎治療実施率が上昇しているにもかかわらず身体的・機能的アウトカムは低下傾向にある。脊椎医療は次々と色々なことに手を染めているが、その成果は極めて乏しい状況にある。http://1.usa.gov/kBmBqb http://1.usa.gov/lg3HR0

◆ノースカロライナ州の地域住民を対象とした研究では、慢性腰痛患者が増加していると共に医療機関の受診率も上昇しているが、画像検査、薬剤投与、物理療法が過剰使用されていて、エビデンスに基づく治療が行なわれていないことが判明。http://1.usa.gov/imqCav

◆頚部痛と腰痛患者256例を対象に、医師の標準的な治療群、脊椎マニピュレーション群、理学療法群、シャムトリートメント群に割り付けたRCT(ランダム化比較試験)によると、最も成績が悪かったのは医師の標準的な治療群とシャムトリートメント群だった。http://1.usa.gov/kfFvV6

◆急性腰痛患者186例を対象としたRCT(ランダム化比較試験)によると、安静臥床群、ストレッチ群、日常生活群のうち、最も早く回復したのは日常生活群で、最も回復が遅かったのは安静臥床群だった。腰痛に安静第一は間違い。むしろ回復を妨げる。http://1.usa.gov/mOolz9

◆エビデンスに基づく正確な情報を平易かつ理解可能な言葉で患者に提供できれば、腰痛患者は不適切な治療を選択しなくなるだろうが、3つの専門学会と10ヶ所の医療機関のウェブサイトを調査した結果、97%が患者にとって難解だった。http://1.usa.gov/kuWavp

◆近年、慢性腰痛に対する医療費が激増している。硬膜外ブロック(629%増)、オピオイド鎮痛剤(423%増)、MRI(307%増)、脊椎固定術(220%増)。しかし患者の症状や活動障害は改善していない。明らかに過剰診療。http://1.usa.gov/lrANBd

◆イラクとアフガニスタンで腰痛を発症した兵士1410名を対象にした前向き研究によると、戦闘中に腰を負傷したのは5%だったにもかかわらず原隊復帰率はわずか13%にすぎず、身体的問題よりも心理・社会的問題が原因と考えられる。http://1.usa.gov/mylrz4

◆イラクやアフガニスタンから離脱した米軍兵士34,006名を対象とした前向き研究によると、離脱原因は筋骨格系・結合組織疾患(24%)、戦闘による負傷(14%)、神経疾患(10%)などであり、ほとんどが原隊復帰しなかった。http://1.usa.gov/kkNruO

◆腰椎の変形が腰痛の原因でないことは半世紀以上も前から証明されてきた。最も古い対照試験は1953年に実施された腰痛患者100名と健常者100名の腰部X線写真を比較したもので、両群間の変形性脊椎症の検出率に差はなかった。http://1.usa.gov/lCMbXb

◆腰痛患者378名と健常者217名の腰部X線写真を比較した研究でも、両群間における変形性脊椎症の検出率に差はなく、加齢と共に増加する傾向が見られることから、変形は正常な老化現象にすぎず、腰痛の原因とは考えられないと結論。http://1.usa.gov/msMFAV

◆60歳の一般住民666名を対象に胸椎と腰椎のX線写真を分析した結果、腰痛経験者の58.7%に、未経験者の57.5%に変形性脊椎症が確認されたが、両群間の検出率に差はなかった。老化よる脊椎の変形は腰痛の原因ではない。http://1.usa.gov/kLY3o9

◆港湾労働就職希望者208名、急性腰痛を発症した港湾労働者207名、6ヶ月以上続いている慢性腰痛患者200名を対象に、腰部のX線写真の異常検出率を比較した結果、3群間の加齢による異常検出率に差は認められなかった。http://1.usa.gov/jVFqUC

◆腰痛患者200名と健常者200名のX線写真を比較した研究によると、両群間に変形性脊椎症、骨粗鬆症、椎体圧迫骨折などの異常検出率に差は認められなかった。したがって老化による解剖学的変化が腰痛の原因とは考えられないと結論。http://1.usa.gov/jb0ly3

◆有痛性の骨粗鬆症椎体骨折患者を対象としたRCT(ランダム化比較試験)によると、骨セメントを注入する経皮的椎体形成術群(38例)と模擬手術群(40例)の術後成績に差は認められず、両群とも急速に痛みが軽減した。椎体形成術はプラシーボに勝てず。http://1.usa.gov/jPz9Pb