改憲を争点とする、とはどういうことか。 | みんななかよく
2007-05-21 12:54:51

改憲を争点とする、とはどういうことか。

テーマ:政治とかの素人談義

ごんさんのこのエントリーのコメント欄で「日曜には記事を書きます」と言ったのだけど、別に用があって書けませんでした。

http://teagon.seesaa.net/article/42184652.html


公約違反の政治家と同じでは心持が悪いので、今から書きます。といっても考えをまとめていないから何をいいたいか自分でもわかっていない。


船田元氏の発言


とりあえず、このあたりの報道をきっかけとしましょう。


http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20070521ddm002010191000c.html


’07参院選:自民・船田氏「改憲争点化、言い過ぎ」 官邸側と党、認識にずれ

 自民党の船田元・前憲法審議会長は20日、テレビ朝日の番組で、安倍晋三首相が参院選で憲法改正を争点にするとしていることについて「中身を議論しようと意見を言うのはいいが、争点にするというのは言い過ぎだ」と異論を唱えた。これに対し、塩崎恭久官房長官は松山市内で開かれた自民党愛媛県連大会で「参院選でも憲法を正面に据えて、新しい国づくりにふさわしい憲法を作るのかどうかと(他党に)問いかけていくのは当然だ」と述べた。首相官邸と党側の認識にずれがあることが浮き彫りになった。

 船田氏は、安倍首相が憲法9条の解釈変更を検討していることについても「有識者会議が4、5回の短い議論で決めるのは問題だ」と批判。

 その後、東京都内の講演では、安倍首相が「参院選で訴えていく」としている自民党新憲法草案について「国を愛する責務を掲げたとたん、うさんくさい状況になる。党の草案は言い過ぎだと思う」と述べ、見直すべきだとの考えを示した。

 同草案の起草委員長だった森喜朗元首相も同日、さいたま市で講演し「(改憲を)やる以上は両院で3分の2の意見が集まらないとできない。公明党や民主党とも最終的に一致でき得る案を自民党として用意すべきだ」と語り、場合によっては新たな憲法草案を検討する可能性も想定すべきだと強調した。

 また、中川秀直幹事長は同日、松山市で講演し「(党や国会の機関が)新憲法草案を全国から(一般)公募しながら新しい憲法をみんなで制定していこう」と述べた。【まとめ・野口武則】

毎日新聞 2007年5月21日 東京朝刊


そのうち、リンクが切れちゃうから全文引用させてください。毎日新聞様。


この記事からいろいろなことを感じますね。

まず、テレビでの発言が新聞の記事になるということ。「テレポリティクス」を実感します。

解釈改憲に関する船田元氏の立場もうかがえます。船田氏は他のところでは、「解釈改憲をするなら何のための改憲か」とも言っているようですし、「国を愛する責務を掲げたとたん、うさんくさい状況になる。党の草案は言い過ぎだと思う」と述べ、見直すべきだとの考えを示した」の発言から、安倍流復古調改憲ではなく、民主党改憲派と共同した改憲を志向しているようです。


一方、森前首相も憲法草案見直しを示唆しているようです。こちらは、復古調が嫌いというわけではなく(なにしろ「神の国」発言の方です)、長年の政治家の勘で、「政界対抗軸としての改憲はそううまいこといかないのではないか。幅広い合意形成で改憲案がすんなり通すことが肝要だ」という考え方でしょう。


わたしの見たNHKニュースでは、中川幹事長が民主党に対し「改憲への態度をはっきりさせろ」と発言したと報じていたけど、毎日新聞は、「自民憲法草案はおいといて、改憲ブームを作りたい」という志向のほうを重要視したのでしょう。


とこれだけ言及すれば、全文引用の趣意は立つでしょうから、主な論点に入ります。


安倍氏と船田氏の意見の相違点


「改憲を参議院の争点にする」というのは、安倍首相の意向でしょうが、自民党で国民投票法など改憲への作業を進めてきた担当者からいわせると、「参議院選挙の争点」にするというのは、民主党との対立軸をそこに置くことになるので、「無闇なことを口走るなよな、とろい三世議員のくせに」と思うのでしょう。民主党と協同した改憲プロセスを、「選挙の争点」とすることで壊してしまう、という心配ですね。

一方、安倍首相や官邸サイドといわれる官房長官やなんたらの考え方は、「改憲手続法が通って、民主党の言い分は付帯決議につけたけど、そんなのはシカトすればいい。「改憲問題」を民主党に突きつけて、寄り合い所帯の民主党を揺さぶれば、向こうの亀裂があぶりだされる。それは、自民VS民主という選択の中で、民主党はまとまらない政党だというイメージを有権者に与える。ゆえに自民党が比較して優位になる」ということと推測されます。


まとめますと、

船田元氏など自民党の憲法審議会や憲法特別委員会などの改憲作業チームは、民主党との合意形成、根回し、談合による改憲を目指している。

安倍首相などの周辺は、「〈改憲〉を参議院の“争点”とする」ことで、自由党系、旧社会党系寄せ集めの民主党を揺さぶると同時に、改憲へ向けて「“民意”を問うた」という既成事実を作ろうとしている。

ということです。

補足すると、船田氏にすれば、 「憲法発議に必要な3分の2を自公でとれるわけでないのなら、民主党を対抗サイドへ追いやるような“争点”づくりはとんでもない」ということでしょうし、安倍首相たちの思惑は、 「〈改憲〉で民主の分裂を誘えば選挙での大負けはないはず。〈改憲〉を争点にしても、世論調査では過半数は改憲賛成だし、九条改憲は反対の60%がそのまま、反自民、非自民の投票行動をするわけがない。民主党をいくら追いやるといっても、社民党や共産党との差異化の観点から、護憲になることはありえない。」 だと思う。


船田シンキングは、民主党との協同を気にしているだけで、争点にしたって選挙で負けるといっているわけではないと思う。その点は安倍首相と認識と大きな隔たりはない。というか、護憲的世論はなめられております。


安倍政略は、民主党をいじれば弱るだろうと突っつくもので、民主党をなめている。


これを受けた政局は小沢君の策士力か安倍クンのボンボン力か、って情けないつばぜり合いですが、おおむね以上のような思惑で政治は動いているというのがわたしの意見。新聞、テレビの情報を自分で解釈するとこうだということです。別に情報源があるわけではなく、報道をこういう風に見れば、ということ。


争点というのなら基本的なことから言おう


しっかし、改憲といえば大事業とか大問題と思うかもしれないけど、政治の現実ではたぶん、「改憲」って永田町の党利党略の延長上にあるんだよ。


そこで、「改憲」を積極的に争点として、参議院選挙で「日本国憲法を護ろう」というキャンペーンで投票を呼びかけよう、と護憲系政治ブログは主張するのでしょうが、自分たちの思うように争点化できるかはわからない。


「憲法を護ろう」を争点に選挙に臨んで、もし社民、共産の議席が伸びなかったら、改憲への一里塚になるのではないか、という心配をする人がいるかもしれない。

多くの人はこれまで、憲法を護って戦争をしないということで投票などしてきませんでした。近所に橋がかかるとか、児童手当が拡充されるとか、汚職をしてけしからんとか、そういうところで投票行動してきた。「公職」につく人格を選ぶための選挙が、「憲法」に関する政治意思を表明する機会となるのは、考えれば不思議なことです。間違ってはいないかもしれないけど、的の真ん中ではない。

ただし、選挙で選ぶ候補者がどんな政治的考え方をしているのか。憲法は国家が国民を統治するためのルールか、国家を法治するための定めか、政治家の基本的な考え方を知ろうというのは、不思議なことではありません。


また、一般論として憲法を変えるか変えないか、との問いは政治的な信条を問うには無意味です。憲法をどう変えてどういう国を作るのか、という具体的な方向性を問うものでなければなりません。どういう改憲を目指すのか。現実に起こっている議論と状況を踏まえて言えば、アメリカとの軍事行動の制約となる憲法は変えるべきだ、というのが、与党の考えている政治的なチョイスでしょう。

そのチョイスを掲げて、選挙で問うのが、「改憲を争点とする」ということだと思われます。

そういう形が、「争点化すること」だよねと指摘するのは、別に偏った報道ではありません。改憲派は「全くそうだ。だから改憲すべきだ」と思考するでしょうから。護憲派は「だから改憲すべきでない」というでしょう。でも、どちらにしても、「憲法改正」論議の中心は憲法九条で、現下の状況としては、「集団的自衛権」という形でのアメリカとの共同行動に対して今の憲法が整合的でない、という判断を政権与党がしている、ということは明白だとおもいます。

そこを確認して伝えるかどうかが真ん中報道で、憲法を変えることの一般論は、与党のキャンペーンのツールとして現実に使われています。


「今の憲法を護ろう」という立場から、「憲法問題を参院選挙の争点にするべき」と言うのならば、「改憲」あるいは「憲法問題」とは、今の状況で具体的には何なのか。「争点とする」とは、どういうことなのか。

この二つを自覚的に明確にしていかねばならないと思います。



はっきりいってさー。○○党は独善的だとか、○○党は保守うちだとか、何党がどうしたって政治談議する前に、基本的なところから考えようやさ。



自分のところの関連エントリー


憲法をめぐる民主党の切ないキャスティングヴォウト


「政治」と「憲法」のねじれた関係 ~改憲を押しとどめる新たな運動への試論~


追記

誤字をチェックして中見出しを入れました。



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