追い詰められた少年は炎の中に嘘を隠す。 | プールサイドの人魚姫

プールサイドの人魚姫

うつ病回復のきっかけとなった詩集出版、うつ病、不登校、いじめ、引きこもり、虐待などを経験した著者が
迷える人達に心のメッセージを贈る、言葉のかけらを拾い集めてください。

ライター嘘と不満が導火線となり、最悪の結果を招いてしまった奈良高1放火殺人。父親だけでも生き残っていた事が幸いとも言えるのだろうが、子育ての難しさを思い知らされる事件でもある。親が優秀であればあるほど、その姿を見て育つ子どもは尊敬とコンプレックスを履き違えてしまう事もある。親もまた子どもに対し自分以上の大人なって欲しいと願い、熱心な教育方針を計画し実行する。親の意志通りに子どもが従うのは小学生までだろう。高校生ともなれば複雑な思春期を迎える。揺れ動く心は常に不安定で親と自分の立場に大きなストレスを抱える事になる。不満の捌け口が見つからない時それは怒りと暴力によって悲惨な運命の扉をノックしてしまうのだ。教育に没頭するあまりに子どもの心を見失ってしまう親たちも多い。夢を我が子に託すのも結構であるが、押し付けは良い結果を招く事はない。愛情と思い込みは紙一重であり、愛し方を間違えるとそれは憎しみや不満となって家庭崩壊のシナリオが出来上がってしまう。家族は一つの絆で繋がっている筈なのに、子どもが親を親が子どもを殺める悲惨な事件が後を絶たない。熱心過ぎる教育は諸刃の剣、少年犯罪に限らず憎悪や妬み、歪んだ環境から発生する凶悪な犯罪は、個々を大切にする事をなおざりにした全体主義がもたらす今の社会に責任があるのではないだろうか。