東電の津波対策/怠慢極まりない対応だった | 原発いらない!★全原発廃炉★

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東電の津波対策/怠慢極まりない対応だった



津波が原発の敷地内を覆ったら、一体どうなるのか。6年ほど前、東電と原子力安全・保安院などが具体的に検討していたことが明らかになった。

タービン建屋が水浸しになって電源を喪失し、原子炉の命綱である緊急炉心冷却装置(ECCS)が機能しなくなるという結果だった。福島第1原発事故はその通りの経過をたどって、核燃料の溶融という重大局面に陥った。

電源喪失の危険性が分かっていたのに、なぜ根本的な対策を講じなかったのか。長年、福島県の浜通りで10基もの原子炉を稼働させながら、東電は結局、安全性を無視し続けたのではないか。

怠慢と不作為によって、原子力災害を防ぐ機会を逃したとしか思えない。

電源喪失の可能性を指摘したのは「外部溢水(いっすい)勉強会」と呼ばれる組織。保安院の公開資料によると、「あくまで仮定という位置付けで、想定外津波に対するプラントの耐力」を検討したという。

何もないのに、いきなり始めたわけではない。2004年のスマトラ沖地震(マグニチュード9.1)の津波によって、インドの原発が浸水被害を受けたことなどがきっかけになった。

勉強会では電力各社の代表プラントを選び検討した。東電は福島第1原発5号機で、津波が海面より10メートルの高さなら何の影響もないが、14メートルでは敷地内に深さ1メートルの海水が浸入し、電源とECCSの機能を失う。

4メートルの差で全く状況が異なるのは、5号機の敷地がそもそも海面より13メートル高いからだ。タービン建屋のどこから浸水するのかも、具体的に示した。福島第1原発では現地調査まで行っている。

勉強会ではこのほか、東北電力女川原発などでも電源喪失に陥ると指摘された。

東電は結果をどう受け止めているのか。「現実の津波の可能性や蓋然(がいぜん)性を考慮せず、勉強として影響を確認したものにすぎない」という。取るに足らない結果だったとでも言いたげだが、とんでもないことだ。

決してそんなことはなかったはずだ。仮定だろうが想定外だろうが、出てきた結果は冷却機能喪失という、これ以上はない深刻な内容だった。対策に乗り出すのが、原子力を扱う企業の最低限の務めではないか。

浸入口の気密性を高めたり、設備の移動やかさ上げなどを行えば済むことだ。何も原子炉を移転させるわけではない。

電力各社と保安院は、外部溢水と同時に「内部溢水」の影響も検討していた。建屋内の配管や弁からの水漏れによって浸水することを指す。これもフランスの原発で実例があった。

数年前、浸水と電源喪失は「原子力ムラ」の関心事だったと思われる。なのに何の教訓も得ないまま放置した。

こんな体たらくの揚げ句の事故だった。東電も保安院も、原子力に関わることの適格性を問われるしかないだろう。


2012/5/21【河北新報・社説】

http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2012/05/20120521s01.htm