小説:巨星 ピーター・ワッツ傑作選 レビュー | のんびりクソレビューブログ

のんびりクソレビューブログ

ジャンル問わずレビューをするだけのブログ。
ゲーム、おもちゃ、映画、プラモデル、ジャンル問わず
もろもろ良さげなものをレビューしていくクソブログ

巨星 ピーター・ワッツ傑作選

 

自分は普段活字をあまり読まないのですが、今回はこれを購入。

というのも、自分が好きな映画の1つである

「遊星からの物体X」の物体X側の視点で描かれた短編が収録されている

という衝撃の事実を今更ながら知ったわけだからです。

 

それ以外にもいくつかの30ページほどのSF短編が収録されていて

寝る前などにサクッと読むことができる感じになっています。

 

●内容

・天使

Malark(マラーク)というドローン兵器の「アズラエル」が主役の話

無人機がどんどん自我に目覚めていく。

 

・遊星からの物体Xの回想

冒頭にも述べた一番読みたかった項目

物体X側の視点の話で、映画を見ただけだと恐ろしい存在のXが

人間は交霊(多分テレパシー的なもの)も使えないし体の構造も非合理的で

社会システムも不完全な意味わからん生き物で逆にビビり散らかしてて面白く、

どのキャラがどの段階で同化されているかかなりわかりやすくなっている。

 

・神の目

未来の飛行場には金属探知機の代わりに「騒音ボックス」という

人間の脳を覗き見て安全かそうでないかを判断する装置が導入されている。

主人公は犯罪など全く考えていないのにそのボックスに引っかかってしまう。

 

・乱雲

雲が知性を持って人を殺していく世界観で人間は地下に暮らしている。

ジェシカという女の子は「空が意思を持って人を殺すのと、ハリケーンになって…

(雲が意思を持つ前の世界の)ランダムで人を殺すのは何が違うのか」と問う。

 

・肉の言葉

主人公ウェスコットは魂を見つけるため、死にそうな生き物に装置を取り付け

死ぬ直前から直後の経過を調べている。

死を多く見すぎて何かが死ぬのに対して関心があまりにも薄いようだったが…

 

・帰郷

人間が改造され肉体を強固に、知能を削られ海底で作業していてる世界観で

主人公もその一人だった。ある時海底ではありえない強さで光る物体を発見し、

それを見た時眠っていた脳が再び活動を再開する。

 

・炎のブランド

人体自然発火現象が多発するようになった未来。

原因を究明するべく主人公ドーラは調査を始めるが敵はあまりにも巨大だった。

 

・付随的被害

サイボーグ兵のベッカー伍長はあるとき戦場で民間人を殺してしまう。

やってしまったのは人間であるベッカーか、機械部分の誤作動なのか…

 

・ホットショット

・巨星

・島

国連ディアスポラ公社は一種のワープ網を構築し宇宙を素早く移動することが

可能となったが、まずは「作られた」人間がそれのテストに使われる。

主人公サンデイは性格に問題があったが…

この3作はすべて同じ世界観で連続して作られていて読み応え十分。

 

・解説

ほんの5ページの解説でピーターは「知性」についての物語を書いていると解説。

確かにどのストーリーも、知性が主軸になっていて

自分の書いた各ストーリーの簡単なあらすじを見てもわかると思う。

 

全12章のエピソードが収録されていてトータル370ページほど

サイズは文庫本サイズなので読みやすいと思う。

 

 

 

以上、巨星 ピーター・ワッツ傑作選でした。

目的であった「遊星からの物体X」も面白く読めましたし

何よりも映画と話が完全にリンクしているので

あらすじにも書いた通りよりわかりやすくなって良い。

 

それ以外の短編も、ちょっと分かりづらいところがありましたが、

普段活字を読んでいる人なら多分問題ないでしょう。

 

今回レビューしたもの。

 

こちらは遊星からの物体Xの原作のほか、

いろいろ翻訳されたものが収録されている。

 

影が行くを映像化した作品。

 

遊星よりの物体Xのリメイク版の遊星からの物体Xで

今回の小説で描かれている方の映画。

秀逸なクリーチャーデザインなどこっちのほうが有名。