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岐阜県のある公的機関の部長職の、お役
人という立場を頭から信用してしまった、
金山であった。
その人物を信用するなら、まだしも、その
人物の椅子を信用してしまったのである。
世の中の人はたいていそんなものである。
その人物にではなく、その人がすわってい
る椅子「立場」にお辞儀をしているのであ
る。
小狡い人間なら、座っている椅子を最大限
利用するのである。
金山は、その種の人間の頼みに弱かった。
部下を、大勢連れてきて宴会は開いてくれ
るし、その仲間も年間通して使ってくれる
言わば「いいお客」なのである。
そこの、部長ならと、何らためらいもなしに連帯保証人の欄にサインし、実印をついてしまったのである。
そのことが、とんでもない方向に発展するかもしれないことなど、想像もしていなかったばかりでなく、上客のしかもお役人の
保証人を頼まれた事が、自分の徳でありまた、名誉であるとまで考えていたのである。
そのような気持ちで連帯保証人を引き受けたわけであるから、疑いの『う』の字など
かけらもなかったのである。
「続く」
(@^^)/~~~では