休暇で故郷のチンハイへ帰ってきた文秀。馬車から春児の妹の玲玲を見つける

 

文秀「玲玲」

 

玲玲「あれ、お帰んなさい文秀さん」

 

馬車から降りてくる

 

文秀「ただいま」

 

玲玲「文秀さんは偉くなったのにちっとも変わらないね。みんなが言ってるよ、一等で試験に受かったからいつかは宰相になるんだって。これ、なあに?」 

 

文秀「これはただの帽子だよ。都は寒いからみんな冠ってるんだ。俺はおしゃれだから孔雀の羽もつける。どうだ、かっこいいだろう」

 

玲玲「じゃあ、これは?」胸の刺繡を指で触れる

 

文秀「ああこれか、これはマントウと言う怪獣だ。天子様にお仕えする者のしるしさ」

 

玲玲「すてき、すべすべだ」

 

文秀「お前の母さんだって上手に織るじゃないか」

 

玲玲「マァマァが織ってたのはもっとざらざらした、、」

   泣き出す

 

文秀「どうしたんだよ玲玲」

 

玲玲「マァマァはお墓で首をくくって死んじゃった」

 

文秀「何てこった」

 

玲玲「ごめんなさい、ごめんなさい」

 

文秀「なぜ謝る。お前が何をしたというんだ」 手を握る

 

玲玲「だって文秀さんには関係ないもの。偉くなったんだからこんな事言っちゃいけないんだ。ねえ放してよ。汚れちゃうよ」

 

文秀「関係ないことあるか。それより春児はどうした?お前をほっぽらかしてどこへ行っちまったんだ」

 

玲玲「わからない。都に上がってひと旗上げるんだって、自分で浄身しちゃったんだ」

 

文秀「何だって!春児が、そんな、、」

 

玲玲「文秀さんと喧嘩して『あんなやつ知るか!』って言ってた」

 

文秀「玲玲、俺と一緒に都へ行こう。春児は男だ、這いつくばっても生きて行ける。けど、お前は女だから一人じゃ生きていけないよ」

 

玲玲「ほんとに、あたいを連れて行ってくれるの?」

 

文秀「そうだよ。春児も探さなくちゃな。三日たったら迎えに行くから荷物をまとめておけ。それまでこれを持ってろ」

 

冠を玲玲の頭にのせて馬車に乗り去っていく

 

 

こうして、一人ぼっちになった玲玲は、文秀について都へいくことになりました。都で兄の春児と再会できるでしょうか。