現代医学ではまだ症状が現れていない状態でも検査によって異常が見つかれば病気とみなされることがあります。

この状態での相談で「検査値の異常を治す漢方薬が欲しい」と言われた場合にどうするか…

そもそも漢方が成立した時代には「検査値」という考えがありません。

つまり何らかの検査値を改善することが目的で漢方薬を使う場合、それは現代医学のツールとして漢方薬を使っているに過ぎないのです。

こういった使い方の場合は、症状や体質を無視していますので、当然として副作用の確率も上がると予想されます。

ただし、あくまでも症状と体質に合わせた漢方薬を使うことで体調が改善し、それに伴って結果的に検査値も改善されていた…ということはあるかと思います。

この違いは傍から見るとわかりにくいので、つい漢方薬に対して現代医学的な効果を期待してしまうのかもしれません。

逆に漢方薬を使っても検査値の改善は見られないものの、なぜか体調は改善してくる…こういったことの方が「まぁ、あるだろうね」という感覚にはなるものです。

 

しかし、この場合は検査値の改善がない以上、病気自体が良くなっているわけではないので、現代医学での治療は継続する必要があるでしょう。