先日、とある市町村の夜間休日診療所に行った際、帯状疱疹の患者さんが何と3人も立て続けに来院することがありました。全員既に近隣の皮膚科クリニックで、帯状疱疹の診断で治療している、もしくは治療が終わった人達です。皆さん一般的な鎮痛剤ではなく、帯状疱疹に、効果のある神経障害性疼痛治療薬が既に処方されています。ただし、皆さん全員投薬量が極端に少ない状態でした。神経障害性疼痛の鎮痛剤は、めまい、眠気などの副作用が出ることがあるため、少量から開始し身体に慣れさせて、徐々に増やしていく薬です。全員、そういう話をすると知らなかったとか、説明されなかったと言ってました。なので、薬を増やしてあげたいのですが、休日診療所では、一般的な鎮痛薬は処方できるものの、神経障害性疼痛治療薬は在庫がなく処方できないのです。

 ここで、改めて帯状疱疹について簡単に説明します。
帯状疱疹は、子供の頃などにみずぼうそうになったことのある人が年月を経て、免疫力が低下した時などに発症するものです。数年前にシングリックスという、帯状疱疹ワクチンが発売されて、どんなもんかと周囲の様子をうかがっていました。どうやら副作用も軽く、治療成績も良いようなので、さていつから始めようかと思っていた矢先友人医師が顔面の帯状疱疹にかかり、とても大変そうな様子を目の当たりにしました。また、患者様においても、辛い痛みに苦しんでいる方をたくさん見てきました。

 発疹の部位によってはこのように仕事に差し支えるし、恐ろしいのは「帯状疱疹後神経痛」という後遺症です。痛くて眠れないレベルになり特効薬がありません。顔面に発症すると、顔面神経麻痺になり両眼が別々の方向を向いてしまったり、一方の口角が動かなくなって口から食べ物がこぼれたりすることもあるのです。
 
 帯状疱疹ワクチン接種によって、帯状疱疹の発症や神経障害の後遺症も9割程度抑制することができます。80歳までに3人に1人が罹患する病気です。このワクチンはお勧めです。私も帯状疱疹後神経痛の患者様をたくさん見てきて、これは自分がなったら仕事できないなあと思い、50歳になってすぐにワクチン接種を行いました。コロナワクチン、インフルエンザワクチンとほぼ同じような、注射部位の鈍痛は1日ありましたが、特に副反応もありませんでした。このシングリックスというワクチンは、合計2回接種しなければなりません。
 当クリニックでは、1回 22000円で行っております。免疫力が落ちたと自覚している方は是非ワクチン接種検討してみてはいかがでしょうか。