霊的ボリシェヴィキ(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

霊的ボリシェヴィキ(ネタバレ)

霊的ボリシェヴィキ



2017/日本 上映時間72分
監督・脚本:高橋洋
撮影:山田達也
照明:玉川直人
録音:臼井勝
音楽:長蔦寛幸
出演:韓英恵、巴山祐樹、長宗我部陽子、高木公佑、近藤笑菜、南谷朝子、伊藤洋三郎、河野知美、本間菜穂
パンフレット:★★★★★(680円/凄まじい情報量! 映画を観た人は必読の面白さ)
(あらすじ)
集音マイクがそこかしこに仕掛けられた奇妙な施設に、かつて「あの世」に触れたことのあるという、7人のゲストと呼ばれる男女が集められる。その中のひとり、由紀子は過去に神隠しにあった経験があった。その施設は霊気が強すぎるためデジタル機器が機能しないため、録画のためにアナログテープが回され、そこにゲストたちによる恐怖の心霊実験の模様が記録されていく。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




65点


※今回の感想は、グロい画像が貼ってあるので、苦手な人は気をつけて!

高橋洋監督作と言えば、僕は「恐怖」ぐらいしか観ていなくて。ハッキリ言って、映画として面白いかと言われれば「う〜ん… (・ω・;)」なんて感想だったものの、お話自体は大好きだった…という微妙な着地。その後の監督作「旧支配者のキャロル」タイトルがタイトルだから気にはなったんですけど、「低予算だから厳しいだろうなぁ」なんて思って、スルーしちゃいましてね。とは言え、高橋洋監督が描く世界観自体には魅力を感じていたため、「機会があったら他の作品も観たい」と常々思っていたのです。


「恐怖」の予告編を貼っておきますね↓




で、本作の話。ハッキリ言って、タイトルの意味はサッパリだったものの(鑑賞直後に参加した映画駄話会では、意味を聞かれてもあやふやな返答しかできなかった…)、スゲー気になってしまって。「ボリシェヴィキ」という単語自体は知っていたため、「霊の世界に革命を起こすような話なのかな…」なんてボンヤリとしたイメージを抱きつつ、前売り券を購入。都内で公開していた時はタイミングを逸してしまったので、3月上旬、横浜のシネマ・ジャック&ベティ「聖なる鹿殺し」を観てから、横浜シネマリンに移動して、ハシゴ鑑賞してきました。「世界観は好きなんだけど… (`Δ´;) ヌゥ」という感想でしたよ。


前売り券が1200円と安めなのはありがたい限り。


特典としてポストカードが付いてましたよ。


シネマリンに来たのは「スウィート17モンスター」以来。


記事の切り抜き、なかなか凝っております。


高橋洋監督の特集上映もやってたりして。


劇場で売られていた「燻製ダイニング MOKU」の燻製プレッツェルを食べながら観たというね。



お話を雑に書くと、いわゆる「百物語」モノというか。異世界を呼び出す“実験”として、“人の死に触れたことがある男女”が集められて、恐怖体験を語っていく…ってな調子。最終的には、参加者の1人・由紀子が「神隠しにあった際、異世界の存在と入れ替わっていた!?Σ(゚д゚;し」的な展開になったものの、「実験は失敗だわ… 川´・ω・`) ションボリ」みたいなことになって、主催者サイドの女性がトカレフで参加者を次々と射殺してから自殺→全員死亡。召喚された“何か”(さらわれた時の由紀子本人?)が扉を開けて外に出て行って、映画は終わってましたよ、たぶん。


ロケ地となった廃墟は、給食センターだったそうな。



劇中で描かれることの“謎”に関しては、超充実しているパンフ(「オカルトと革命の相性の良さ」みたいな話がタメになった)や黒沢清監督とのトークショー動画、そして高橋洋監督と超常現象研究家・武田崇元さんの対談などをチェックしていただくとして。最初に残念だった部分を書くと、映画美学校のカリキュラムの一環として、わずか6日間で作られた超低予算映画であって、「描く世界観に技術が追いついていなかった」ように思えたところ。それと、聞いたことのないタイトルにポスターのビジュアル、中盤までの展開などから、「新しさを感じさせる恐怖映像」に期待してしまったため、そういうのがなかったことは、失望いたしました。

ただ、前に観た「恐怖」同様、お話自体はスゲー好きでしたよ。パンフによると、「霊的ボリシェヴィキ」とは、武田宗元さんが1970年代に提唱した概念であり、「古代の神々の復権」的な意味合いがあるそうで。そこら辺を掘り始めると知恵熱が出てきそうなので置いとくとして。僕は本作で描かれる「私たちが暮らす世界と平行した異世界があり、そこは人間が理解できる場所ではない」という世界観が大好きでありながらも、恐ろしくて。それは小さいころ、何かの子ども向けの読み物で、「3段上ってから4段降りられる“短い階段”があって、4段目を降りると違う世界に行ってしまう」という都市伝説を読んだ影響でしてね。「ふとした拍子に異世界の扉が開く」というのは、子ども心にスゲー怖かったんですが、その不思議さにドキドキする自分もいて、短い階段を見ると「3段上って、すぐに降りてみる」ということを中学生ぐらいまでやっていたのです。

だから、本作は陰影を活かした撮影による雰囲気や、役者さんたちの演技が良かったのもあって、「恐怖話を語っていくうちに怪異が起きて、異世界が開く」という実験に妙な説得力を感じちゃって、結構怖かったです。あと、コティングリー妖精事件の捏造写真を評価する場面は「そういう視点があるか…」と思わされたし、終盤の映像の安さは少しガッカリしましたが、異世界から”何か”が落ちて来た瞬間は、つのだじろう先生の「呪凶介PSI霊査室」の第8話「弟が消えてしまった」での“消えた弟の腐乱死体が現れた場面”を連想してゾッとしました。ちなみに鑑賞後、パンフを読んだら、別のシーンながらも監督が「呪凶介PSI霊査室」に影響を受けていたことがわかって、少し親近感が湧いたりもした次第。


「呪凶介PSI霊査室」の異世界から戻って来た弟のシーンを貼っておきますね…(´Д`;) イヤーン



その他、「人間が一番怖い…ってことですよね (`∀´)」みたいなことを言った奴が制裁されたり、「ボリシェヴィキ党歌」をみんなで歌ったりとか、微妙に笑えるシーンがあったのも良かったです。なんかね、世界観は本当に好きなので、誰か高橋洋監督にたくさんお金をあげてほしいと心から思いました。おしまい!ヘ(゚∀゚*)ノ ダー・スメルチ!




「映画の生体解剖」シリーズの特集号。電子書籍オンリーでございます。



高橋洋監督の前作。近所のレンタル屋にあるかなぁ。



2009年に観た高橋洋監督作。僕の感想はこんな感じ



「恐怖」と本作のベースとなったというアーサー・マッケンの小説を貼っておきますね。



つのだじろう先生の漫画。「恐怖新聞」「うしろの百太郎」と比べると、人が無惨に死ぬ印象。