2017年07月13日

ショコラ 君がいて、僕がいる(ネタバレ)

テーマ:新作映画(2017)
ショコラ 君がいて、僕がいる

ショコラ 君がいて、僕がいる

原題:Chocolat
2015/フランス 上映時間119分
監督・脚本:ロシュディ・ゼム
製作:エリック・アルトメイヤー、ニコラ・アルトメイヤー
原案:ジェラール・ノワリエル
脚本:シリル・ジェリー、オリビエ・ゴルス
撮影:トマ・レテリエ
美術:ジェレミー・ディシュ・リノル
衣装:パスカリーヌ・シャバンヌ
編集:モニカ・コールマン
音楽:ガブリエル・ヤーレ
出演:オマール・シー、ジェームス・ティエレ、クロチルド・エム、オリビエ・グルメ、フレデリック・ピエロ、ノエミ・ルボフスキー、アリス・ド・ランクザン、オリビエ・ラブルダン
パンフレット:★★★★(700円/良いコラムが3本入ってる良いパンフだと思うけど、もう少しキャスト紹介がほしかったかな)
(あらすじ)
1897年、フランス北部の小さなサーカスで出会い、コンビを組み人気を博した白人芸人フティット(ジェームス・ティエレ)と黒人芸人ショコラ(オマール・シー)。パリの名門サーカスの専属となった2人は名声を手にするが、人種差別の世間の偏見がショコラの前に立ちはだかる。その現実から逃れるかのように、ショコラはギャンブルに溺れていく。彼の才能を信じる相方のフティットは、ショコラを支え続けていく。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


※今回の記事は、ダラダラと長くて読みにくいので、気をつけて!

もうすっかり7月なのに、超今さらながら1月公開作の感想をアップしておきますよ。「2017年1月公開の観たい映画の覚え書き」では1ミリも触れていなかったほどに興味がなかったんですが、1月某日、どこかの劇場でたまたま予告編を観たら「良い話だなぁ… (ノω・、) ホロリ」とグッときて、思わず「ぱらぱら漫画付きネタ帳」付きの前売り券を購入したんですけれども。仕事やら他の映画やらを観るのに忙しくて後回しにしていたら、シネスイッチ銀座での公開が終わってしまってね…。ただ、調べてみたら3月半ばに新百合ヶ丘の川崎市アートセンターで上映される&前売り券も使えるということで、いそいそと足を運んで鑑賞。その後、本作の原案となった「ショコラ 歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯」という571ページの本を約3ヵ月かけて読んでから、7月9日、鵠沼海岸のシネコヤにて、2回目を観てきました。「良い映画…なのかなぁ… (`Δ´;) ヌゥ」と複雑な気持ちになったり。


前売り特典の「ネタ帳」はこんなビジュアルでして。
前売り特典のネタ帳

ページの右隅にイラストがあって、パラパラ漫画が楽しめるというね (゚⊿゚) ヘー
ぱらぱら漫画が付いてる!

川崎市アートセンター、新宿からだと結構近かったりして。
川崎市アートセンター

2回目は、シネコヤで「チョコレートドーナッツ」との2本立てで観たのです。
2本立て上映中

シネスイッチ銀座にあった、りょうこさんの素敵なレビュー。こちらでも読めますぞ。
りょうこさんのレビュー


映画は、ほぼ予告編の通りであって(そのことに文句はないです)。雑にあらすじを書いておくと、かつては売れっ子だったけど、今は落ちぶれてしまった道化師フティットが、”黒んぼの王・カナンガ”なんて差別的な役割をやらされていたラファエルに可能性を見出して、コンビを組むことを提案→「フティット&ショコラ」を結成→成功→増長→差別→反逆→恋愛→挑戦→失敗→転落→友情…ってな調子。最後はリュミエール兄弟が撮影した本物のフティットとショコラの「Chaise en bascule(ロッキングチェア)」が流れて終わってましたよ。


差別的な見世物をやらされていたラファエルでしたが…。
黒んぼの王カナンガ!

落ち目の天才芸人フティットに見出されて、芸名を「ショコラ」に変えて、コンビを結成。
オレたちはふたりで一つだ

「白人と黒人のコンビ」は珍しくて、大ウケするのです。
組んでみたら大ウケ

で、パリの名門サーカス「ヌーヴォー・シルク」からお誘いが来たので、古巣とはさっさとおさらば。
パリからの誘い

パリでも大ブレイクするんですが、しかし。
パリでも大ウケ

やっかみから不法滞在を通報されて逮捕→拷問のコンボが炸裂!
警察での拷問

何とか釈放されるも、自分への根強い差別に気付いたラファエルはギャンブルや酒に溺れるエヴリデイ。
荒れるショコラ

フティットとの関係も悪化して、コンビ決裂しちゃいまして。
怒るフティット

そんな中、未亡人の看護士マリーと愛を育んだラファエルは、本名でシェイクスピア劇「オセロ」に挑戦ですよ。
あなたは自由よ

芝居の内容は悪くなかったのに、差別的な観客からブーイングを食らった上に、借金取りに叩きのめされて、絶望しちゃってね…。
受け入れられなかった芝居

最後は結核で瀕死のラファエルのもとにフティットが駆けつけて和解。SI、オレたちはいつでも2人で1つだったのだッ!ヽ(`Д´)人(`Д´)ノ ダキシメテ!
オレたちは無敵だった


そして、本物のラファエルとショコラの映像が流れるのでした〜。




なんて言うんですかね、上記の通り、ほぼ予告編通りの話ながらも、予想外に苦い映画で驚きました。例えば、コンビを組んで成功していくくだりも、現代人の目から見ると「この2人がやっているネタも、結局、黒人をバカにしているのでは… (`Δ´;)」的な雰囲気があって(実際、ラファエルもそれがイヤになる)、この手の「芸能界のし上がるぜ系映画」で一番盛り上がる「成功過程描写」自体が楽しいながらも微妙に気まずいんですよ。しかも最後、ラファエルは世間の目を変えられないまま終わるから、スゲー切なくて(奥さんのマリーも「アイツが黒人の嫁だよ!川 ゚д゚)、ペッ」的な扱いを受けるし…)。とは言え、それはそれで美味というか、「ラファエルの挑戦は報われなかったけど、ブームを作ったことは事実だし、2人の友情は永遠なんだな… (ノω・、)」って思って、1回目はかなり泣いちゃいました。

あと、感動したのが前売り特典。上に画像を貼りましたが、「ネタ帳」の右隅にはパラパラ漫画が付いていて、「あら、手が込んでるわね (´∀`=) ウフフ」なんて思っていたら! 映画終盤、なんと「病床のラファエルが自分たちのパラパラ漫画付きのメモ帳を出す→フティットがパラパラするシーン」があるのです。映画の劇中に出てくるアイテム(しかも観ないとわからない!)を前売り特典にするなんて気が利いてるとしか言いようがなくて、考案&実行した担当者は超偉い!m9`Д´) ビシッ その他、当時のサーカスを再現した美術とかも面白かったし、古巣のサーカスで仲が良かった女の子カミーユ(アリス・ド・ランクザン)が「木綿のハンカチーフ」ライクに捨てられる展開とかもベタで好みでしたよ。


カミーユ、超可愛かったのにね。激怒した母親が警察に通報する因果な流れも嫌いじゃないです。
カミーユ(アリス・ド・ランクザン)


監督のロシュディ・ゼムは俳優としても活躍している人なんですが、「良い映画、撮るじゃん!(`∀´)」なんて偉そうに感心しましてね。その後、パンフを読んだら、イントロダクションに『ショコラ 歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯』を原案とする〜」なんて書かれていて、スゲー興味が湧いたので、amazonで即買ってみれば。なんと571ページもあるシロモノだったからゲッソリですよ… ('A`) ゲッソリ もうね、高速で脳天に振り下ろせば重傷を負わせられそうな分厚さであり、持ち歩くのはキツいから、家で少しずつ読んだんですけど、なかなか進まなくて。早春に買った本をやっと読み終わった時、季節はすっかり夏になっていたのでしたーー。


いろいろとフィギュアを置いてみたものの、分厚さがわかるような、わかりにくいような。
読み終わった「ショコラ」


読むのに時間がかかった理由の1つとして、「著者ジェラール・ノワリエルの自分語りやラファエルに直接語りかける文章がウザくて、ところどころイラッとした」というのがあるんですが(汗)、全体的な本の評価を書くと、非常に面白かった! 広告のくだりで出てきた「ロートレック」が画家のことだったとか(この記事の一番上のチラシ画像はロートレックが描いた絵で、劇中で引き合いに出された彼のイラストはこれっぽい)、パンフに載っていた原案本の翻訳者・舘葉月先生のコラムが非常に上手く本の内容を要約していたことがわかっただけでなく、そもそも19世紀末のフランスのサーカス文化なんて全然知らなかったので、当時の状況を知るだけでも勉強になったというか。ただ、一番思ったのは、「映画と全然違うじゃん!Σ(゚д゚;)」ということ(シネコヤの特集テーマが「『違う』ということ」だったのは「映画の内容と事実が違う」という意味かとカン違いしたほど)。

ちなみに、本編前に「本作は実話を元にしたフィクションです」「上映後にリュミエール兄弟が撮影した本物のフティットとショコラの映像が流れます」みたいなテロップが出るんですけど、日本語だけ→本来は入っていないんですよ。たぶん「NHKの大河ドラマは歴史をちゃんと描くわけじゃない」ことを日本人がわかって観ているように、本作のラファエルが実際のラファエルとは違うことを十分承知していたり、最後の映像もすでに観ていたりするから(原案本を読むと、2010年ごろから著者が調査を始めたことにより、「ショコラ再評価ブーム」みたいなのがあったっぽい)、製作国であるフランスの人に向けたテロップがなかったんじゃないか…なんて安直な考察はどうでも良いですかね。何はともあれ、どこがどう違うのかを少しだけ個条書きにしてみますね↓


・ラファエルは最初からパリの名門サーカス「ヌーヴォー・シルク」でデビューしている
・フティットとコンビを組む前に他の道化師とも一緒にステージに出て、人気を集めていた
・「フティット&ショコラ」は「初の白人と黒人のコンビ」ではない(むしろ人気者同士がコンビを組んだ感じ)
・「フティット&ショコラ」のネタは「いつも黒人を殴って終わる」といった差別的で単純な内容ではなかった
・「父親が犬の真似をしたのを目撃した」なんて過去はない
・警察に捕まって拷問されたエピソードもフィクション
・フティットはラファエルと一緒にギャンブルと酒を楽しんでいた
・フティットが落ち目になったのは晩年
フティットには奥さんと子どもがいた(普通に女好き)
・ラファエルと結婚したマリーは未亡人じゃなくて、彼のために離婚した(看護士でもなかった)
・「フティット&ショコラ」が解散したのは、2人の人気に翳りが出て解雇されたから
・ラファエルとフティットは、その後、何度も一緒に仕事をしている
・ラファエルは自分の子どもたちと一座を組むのが夢だった(実際、子どもは芸人になっている)
・何度も新聞で寄付を募られたりと、晩年のラファエルはそれほど不遇でもなかった
・晩年のフティットは、ラファエルに結構冷たい感じだった



他にもいろいろあるんですが(本は571ページもあるだけに情報量が多い)、とにかく史実と映画はかなり違っていて。特に現実のラファエルは映画ほど青臭くないというか、「差別との戦い」は芸人としてデビューする前に折り合いを付けていた印象(後年、マスコミに抗議の手紙を送ったりしていますが)。で、もちろん世間に黒人差別があったのは事実ですけど、当時、「ヌーヴォー・シルク」に足を運ぶような人たちは「差別ネタで笑うようなレベル」は卒業していたようで、ラファエルはちゃんと道化師の仕事にプライドを持っていたみたいなんですよね(息子とコンビを組んで舞台に立ったりしたぐらいだし)。

でも、「だからこの映画はダメだ!(`Δ´) カエレ!」というワケでもなく。例えばデッキブラシで背中をゴシゴシやられる拷問はラファエルも子どものころに経験したみたいだし、芝居に挑戦して失敗したのは事実だし(ただ、動機は「仕事の幅を広げるため」だったし、題材は「オセロ」じゃないし、訛りの問題などで上手くいかなかっただけ)、喜劇バージョンの「オセロ」に参加したこともあったし、病気の子どもたちを慰問していたのも事実だし(表彰されている)、「本当にあったこと」を上手く組み替えて観客がわかりやすく共感しやすいフィクションにしているので(そもそも原案本も“正確な史実”とは言えないんですが、それはそれとして)、2回目の鑑賞中は「出来ておる喃… ( ´_ゝ`)」とすっかり岩本虎眼先生気分だった次第。


慰問したりとかは実際にあったことみたいです(マリーは看護士じゃありませんが)。
病院を慰問

僕の気持ちを代弁する岩本虎眼先生の画像を貼っておきますね。
出来ておる喃


だがしかし、両手を挙げて褒められないところもあって。原案本を読むことで、妻子がいたり、ロシア人の踊り子と失踪したことを知った身としては、フティットがゲイに見えるような描写は盛りすぎに感じました。それと、このお話って「笑わせているのではなく笑われている自分が悔しくて、頑張って背伸びしてみたらすべて失ったけど、振り返ってみれば、あのころは良かったなぁ」みたいなムードで終わりますけど、振り返る「成功体験」自体に差別的なニュアンスが含まれていたりするから、やっぱりどことなく共感しづらいし、さらに原案本を通過していると「彼らはそういうネタをやっていなかった」上に、実際は「それほど寂しい晩年でもなく、仲良しでもなかった」ことがわかっちゃうから、先に書いたことと矛盾しますが、「そこまで変えていいのか?」と思うところもあって。楽しみながらも「良い映画…なのかなぁ… (`Δ´;) ヌゥ」と複雑な気持ちになった…って、何だか文章がグダグダになっちゃってゴーメンナサイヨ!( ゚д゚) ゴーメンナサイヨ!


実はフティットがゲイだったという資料があるのかもしれませんが。
フティット(ジェームス・ティエレ)

なんとなく実際の「フティット&ショコラ」との比較画像を貼っておきますね。
本人たちとの比較


ううむ、非常にダラダラとした感想になっちゃいましたけど、本作がキッカケとなってシネコヤで美味しいパンやキッシュを食べられたりもしたし、前売り券を買ったことも含めて、トータル的にとても良い映画体験でしたヨ (´∀`) ウフフ オマール・シーやジェームス・ティエレ(あのチャップリンの孫なんだそうで)の演技も素晴らしくて、エンタメとして普通に面白い作品なので、興味がある人は観ると良いし、すでに観た人は原案本を読むのをオススメいたします。まぁ、571ページもありますが…。




「原案」となったジェラール・ノワリエルによる著書。面白いけど、571ページもあるのです(しつこい)。



「輸入盤帯付国内仕様」のサントラがありました。輸入盤とは違うのかな?



原案本によると、この映画にもショコラが出てくるシーンがあるそうな (´∀`;) オボエテナイ...



「ショコラ」と聞くと、この映画を思い出します。まぁ、観てないんですがー。



ちなみにこの映画の英題は「Chocolate」。大好きでございます。









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    ハム太郎

    2017-07-13 18:12:47

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