人生スイッチ(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて

人生スイッチ(ネタバレ)

人生スイッチ

人生スイッチ

原題:Relatos salvajes/WILD TALES
2014/アルゼンチン、スペイン 上映時間122分
監督・脚本:ダミアン・ジフロン
製作:ペドロ・アルモドバル、アグスティン・アルモドバル
音楽:グスターボ・サンタオラヤ
出演:リカルド・ダリン、リタ・コルテセ、ダリオ・グランディネッティ、フリエタ・ジルベルベルグ、レオナルド・スバラーリャ、オスカル・マルチネス、エリカ・リバス
パンフレット:★★★★★(720円+800円/エピソードごとに良質なコラムが! デザインも素敵)
(あらすじ)
飛行機の乗客たちは、不思議なことに全員に共通点があり……(『おかえし』)。偶然にも自分が働く店を訪れた親の敵に遭遇した女性に、調理担当が料理に毒を入れることを提案する。さすがに毒はと戸惑うが……(『おもてなし』)。ドライバーは走る車もほとんどない道路で、追い越しを邪魔するボロ車を抜き去るが……(『エンスト』)。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




75点


※この映画は、ネタバレを読まない方が面白いと思うので、未見の人は作品を観てから読んでいただけると幸いです。
※今回の感想はいろいろと雑な気がするので、カゲヒナタさんはちごろうさんのブログを読むと良いんじゃないかな。


「ブラックコメディなんでしょ?」程度の予備知識しかなかったし(なんとなく「運命のボタン」のようなSFっぽいのかとも思ってた)、すっかり忙しかったのでまったく観る予定はなかったんですけれども。懇意にさせていただいている「映画駄話の会」の人たちの評判が非常に良かったので、気になってしまいまして。公開から1ヵ月以上も経つのにまだ上映されているというのも「良作の証明」と感じたので、9月上旬、ヒューマントラストシネマ有楽町で観て来ました。確かに面白かったです (・∀・) ヨカッタ! 


パンフは売り切れ状態。仕方なく通販で注文しようと試みたものの…。
パンフは売り切れ

なんと送料が800円! 迷いながらも購入したら、ちくしょう、スゲー良い出来だったというね… (ノω・、) グスン
通販で買ってみた


雑なボケを書くと、「自慢の“神砂嵐”の最中に波紋を食らって数千年積み重ねてきた自信と誇りが崩れ去ったものの、両目を潰して“心のスイッチ”を切り替えたーー」という話ではなくて(そもそも原題は「野蛮な物語」という意味だし)。「怒って暴走してしまった人たちの超ブラックな全6編のオムニバス」であり、検索すると結構引っ掛かるように、アルゼンチン版「バカヤロー!」という印象。ただ、反政府的な行為を「是」として扱ったり、脱糞やゲロ描写やらがあったりと、日本と比べるとブラックジョークの度合いが過激になってましてね。ここら辺、結構好き嫌いが分かれそうな気がしましたよ。


シリーズ化するほど人気あったのにVHSしか出てないのね。




この映画の6編は、「おかえし→おもてなし→エンスト→ヒーローになるために→愚息→HAPPY WEDDING」の順で流れるんですけど、この駄文ではとりあえず気に入ったエピソードからランキング形式で短めに感想を残していきますね。ちなみに、そんなに「衝撃の展開が!Σ(゚д゚;)」という作品ではないものの、この手の短編はオチを知ってしまうと興が削がれるものではあるので、少しでも「観ようかな~ (´∀`) ドウシヨウカナー」と思っている方は映画を観てから読んでいただけるとありがたいです。



<1位 おかえし/Pasternak>

原題の「Pasternak(パステルナーク)」とは、人の名前なのです。
1 おかえし

飛行機の乗客同士が話してみたら、全員が「パステルナーク」という人物に関係があるだけでなく、酷い仕打ちをしていたことが発覚。そして、そのパステルナークが操縦室を占拠してしまい、乗客の1人が「キミの両親が一番悪いんだ!」と言ったところ、飛行機がその両親(らしき人たち)のところに突っ込んで終了ーーというお話でしたよ。何かで似たような短編を読んだことがある気がするんですけど(ウロ覚え)、僕がこの作品をフレッシュに感じたのは、両親にジャンボで突っ込むというオチのバカらしいビジュアル。最初は2番目に好きだったんですが、後から考えるとやっぱり一番インパクトがあって好きだなぁと思ったり。パステルナークに対して好感を抱いていたモデル(マリア・マルル)のミスリードも良かったです。

このラストの絵がインパクトあって大好き!
両親につっこめ!

しかも、松田さんが「ズアァァァ~」と飛び出してきて…。
飛び出してきた松田さん

素手で止めたから、なおビックリしました…って、もちろんウソです(「マーダーライセンス牙&ブラックエンジェルズ」より)。
ジャンボジェットを止める松田さん



<2位 ヒーローになるために/Bombita>

「Bombita」とは「小さな爆弾」って意味だとか。
4 ヒーローになるために

駐車禁止の場所じゃないのに車をレッカー移動された&陸運局のお役所対応にキレて大暴れしたせいで、職も家族も失ったビルの爆破職人が、あえて己の車をレッカー移動させる→その車だけ爆破! 刑務所に入るものの、その反逆の姿勢はみんなから称えられて、家族の心も戻ってきたーーという内容でしたよ。もちろん違法駐車を取締ること自体は必要ではあるものの、僕が警察にいたころは目標額のノルマ達成のためにやらされた感も強かっただけに(今は知らないけどね)、こういう取締りに反発する話は結構好き。というか、“御上の国”の日本ではあまり作られなさそうな「反政府的」なスタンスが好みでした。欲を書くと、もっと爆破してほしかったけど、まぁ、良いザンス。ちなみに、映画駄話の会の時にはちごろうさんに指摘されて気付いたんですが、主演のリカルド・ダリンは「瞳の奥の秘密」の人だったのね (゚⊿゚) ヘー


<3位 おもてなし/Las ratas>

「Las ratas」は「ネズミ」という意味でございます。
2 おもてなし

ウェイトレスが郊外のレストランで働いていたら、自分の父親を自殺に追いやった挙げ句、母親を寝取ろうとした高利貸しのクズ野郎が来店。その事情を知った料理人の女が勝手に猫いらずを料理に盛ってしまった上に、高利貸しの若い息子も来店→料理を食べてしまったので、大慌てするものの! 最終的には料理人の女がクズ野郎を刺殺し、その光景を見て息子は嘔吐しまして。料理人の女がパトカーで連行されるのをウェイトレスが見送って、終わってました。とにかくリタ・コルテセ演じる“料理人の女”が渋いというか、「理由アリの元犯罪者がせめてもの善行として悪党を成敗した」というムードが任侠映画っぽくてストレートに僕好み。やっぱり悪党が粛清されるのは気持ちが良いものですな (´∀`) ウフフ

あまりにも直情すぎる料理人の女。決して敵には回したくないタイプの人なのです。
容赦ない料理人



<4位 HAPPY WEDDING/Hasta que la muerte nos separe>

「Hasta que la muerte nos separe」は「死が2人を分かつまで」という有名なフレーズ。
6 HAPPY WEDDING

披露宴の真っ最中、「花婿が同僚の女と浮気していた&しかも披露宴に呼んでいる!」ことを知った花嫁がブチギレ。初対面の料理人とセックスした挙げ句、旦那に向かって「離婚しないで永遠に苦しめてやる!m9`Д´し ビシッ」と宣言しまして。披露宴で大暴れして、あーだこーだと揉めまくった結果、2人が仲直り→セックスを始めたので、出席者たちが式場から出て行って、終わってました。観ている時は、確かに花嫁は可哀相ではあるものの、あそこまでグダグダな修羅場に付き合わされる出席者たちの気持ちになるとイライラしたし、何よりも「浮気相手を披露宴に呼ぶ」という無神経さからすると“仲直りエンディング”は花婿に甘いと思ったんですけれども。後から思い出すと、「本音をぶつけ合って和解する」という展開は嫌いじゃないかなと思って、この順位に落ち着きました。ロミーナ役のエリカ・リバスも可愛かったしね (o^-')b スキヨ

さすがにあんな大暴れを目の当たりにしたら、客でもこんな気持ちになると思います(「グラップラー刃牙完全版」第18巻より)。
いいかげんにしろ!



<5位 エンスト/El más fuerte>

原題の「El más fuerte」は「最強」という意味なんだって。ちょっと意外。
3 エンスト

都会の人が車を走らせていたら、田舎の人に追い越しを邪魔されたので、追い越す際に罵ったところ! なんと少し行った先でタイヤをパンク→追いつかれてしまったから、バトルがスタートしましてね。最後は2人とも爆死して、警察には「ゲイのカップルの心中」と判断されたーーという内容でしたよ。「これ、エンストじゃないよね?」という邦題へのツッコミは置いといて。田舎の人が車を破壊し始めた時点で「警察を呼べばアウトじゃん」と身も蓋もなく思ったりもしたので(都合良く警察は電話に出ないし…)、順位的には5番目になりましたが、「激突!」「チェンジング・レーン」(ちょっと違うけど)を連想して楽しかったです。

爆発して終了したのは愉快でした。
爆発して終了



<6位 愚息/La propuesta>

「La propuesta」は「提案」という意味。ううむ、邦題も原題の直訳で良かったような…。
5 愚息

息子が酒を飲んで妊婦をひき逃げをしたので(その後、母子ともに死亡)、裕福な父親は葛藤の末、大金を払って使用人を犯人に仕立て上げようとしたところ! “身代わり出頭を手引きした弁護士”や“買収した検察官”、“出頭予定の使用人”の三者がさらに金銭を要求してきたため、父親は逆ギレして、息子を自首させようとしましてね。話し合いの末、使用人が自首しようとしたら、被害者の夫に刺殺されて終わってました。いや、6位ではありますけど、この話も着地が読めなくて面白かったです(オチ自体はそんなにヒネリが効いてないと思いますがー)。なんとなく「そういえば松坂大輔選手の身代わり出頭事件なんてあったな~」なんて昔のことを思い出したりもしました。



僕の各エピソードごとの感想はこんな感じでございます。パンフのコラムなどを読むと、「アルゼンチンで歴代1位の興収を記録するほどヒットしたのは、長年にわたる経済の停滞で貧困層が増加傾向であり、そんな人たちに富裕層や社会への鬱憤を晴らす内容が受けたのでは?」みたいな分析が書かれていて、「なるほどなぁ (・ε・) フーン」と納得したりして。というか、そういえば今作のパンフが実に良い出来なんですよ。各エピソードごとに良質なコラムが書かれている贅沢仕様な上に、まとめとして書かれた柳原孝敦さんの解説もタメになったし(特に「エンスト」のラストに流れる音楽のこととか)、デザインも素敵でしてね…(しみじみ)。これは本来720円の商品に1520円も払った甲斐があったというか、全然後悔していないのです…本当に後悔していないのです… (´・ω・`) ナンダコレ

何はともあれ、僕的にこの手のオムニバスは各エピソードが関係していたりする方が好みなんですけど、なかなか面白かったです (・∀・) ヨカッタ! なんとまだ都内でも公開中なので、興味がある人は観ると良いんじゃないかしらん。




サントラです。結構良さげ。デジタル版もあります。



製作のペドロ・アルモドバル監督作。僕の感想はこんな感じ



VHS版。昔はよく地上波で放送されていたイメージ。



「ヒーローになるために」では、このマイケル・ダグラス主演作も少し連想。面白かったですよ、確か。