2012年05月30日

隣る人(ネタバレ)

テーマ:新作映画(2012)
隣る人※点数を変更しました(2013/3/29)

三角絞めでつかまえて-隣る人

2011/日本 上映時間85分
監督・撮影:刀川和也
企画:稲塚由美子
撮影・プロデューサー・構成:大澤一生
撮影:小野さやか
編集:辻井潔
プロデューサー: 野中章弘
出演:「光の子どもの家」の人たち
(あらすじ)
保育士のマリコさんは、地方にある児童養護施設でムツミとマリナの親代わりとなって寝食を共にしている。そこではやむを得ない事情から親と同居できない子どもたちが住んでおり、ときどき二人はマリコさんをめぐってケンカをすることもある。そんな折、ずっと離れて暮らしていたムツミの母親が、もう一度子どもと暮らしたいと願って施設を訪れる。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




99100もう一度観たら、実は100点の映画でした (ノ∀`) マチガエテタ


尊敬する宇多丸師匠が自分の番組で薦めていた推薦コメントを寄せていたので、ポレポレ東中野で観て来ました。心から「観て良かった… (ノДT)」と思いましたよ。

児童養護施設「光の子どもの家」の8年間を撮ったドキュメンタリーなんですけど、ナレーションやテロップなどがないので(想田和弘監督の映画…特に「Peace」を思い出した)、時間の経過とか、人間関係とか、僕的には少し分かりにくいところがあって、そこは微妙に感じました。ただ、それを補って余りある素晴らしさが85分に詰まっているんですね。

僕はブルース・リーの息子ブランドン・リーの遺作である「クロウ-飛翔伝説-」が大好きであり(「映画秘宝 2012年 07月号」のアメコミ映画特集で、誰も挙げてなかったのがスゲー寂しかった…)、その原作コミックも心から愛しているんですが、その中で非常に好きな場面がありまして。悪党を容赦なく惨殺していく主人公が、ネグレクト感バリバリの母親サンディを「母親はだれでも子供にとっては神に等しい。分かるか? 分かるかい?」って諭すんですよ。


「クロウ-飛翔伝説-」の印象的なひとコマ。
三角絞めでつかまえて-母は神に等しい


この「神に等しい」というのは、決して親が偉い云々の意味ではなく、「それほど子どもは親を頼らざるを得ない、か弱い存在」ということであって、僕も心底そう思うんです。自分が子どもの頃、父親が乱暴者だったってのもありますけど、優しい母親が心の救いだったなぁと。思春期を迎えて、いろいろあって、非常に残念なことにクソババア呼ばわりもしちゃいましたが、大人になってみると、彼女の愛情があったからこそ、何とか生きてこられた気がするんです。

でも、この映画を観て思ったのは、子どもにとって親が重要な存在であることは確かだけど、愛情を持って側にいてくれる大人=「隣る人」がいることが一番大事なんだと。つーか、突き詰めれば、愛情さえ注げるのなら親とか他人とか関係なくて。親がいなくても、愛情を注いでくれる人や環境があって、ちゃんとその子を受け止めるのなら、みんな真っ直ぐに生きられるんですよね、たぶん。

例えば、この映画に出てくる、むっちゃんという少女の母親は、子どもの前でタバコを吸ったりするし、決して褒められた感じはしなくて。申し訳ないけど、むっちゃんが懐かないのもいろいろあったんだろうなと勘ぐっちゃったりもする感じ。でも、彼女自身も良き母親であろうと苦しんでいて、今の時代に子どもを育てることの難しさを痛感するというか。そんな状況で、母親が無理にむっちゃんを引き取って、2人が不幸になるのなら、むしろ地域社会が助けることの方が正解に思えるワケですよ。


むっちゃんと上手く関係を紡げないお母さんも可哀相…。
三角絞めでつかまえて-悲しい母子関係


僕自身、昨年、娘が生まれて、奧さんと2人で子育てをするのだって結構大変だったりしてさ。虐待事件があると、僕らはつい「DQNは仕方ないですな ┐(´ー`)┌ヤレヤレ」的な感想を抱きがちですけど、それは今の社会の状況…というか、僕を含めた大人たちにも責任があるんですよね。だから、子どもたちがそんな目に遭わないために、「光の子どもの家」みたいな施設が頑張っているってのはさ、スゲー評価すべきことなんじゃないかって痛感しました。


すみません、ベタですが、RHYMESTERの「Hands」を貼っておきますね↓




って、知った風な文章をダラダラ書いてますけど、映画自体は意外と重くないというか。いや、子どもたちと自分の娘が重なっちゃって、ずっと涙をかけ流し状態で観てはいましたけど、出てくる子どもたちを観ているだけで癒される感もあったりして…。もう、刀川和也監督が良いシーンをキッチリ切り取ってるんですよね。例えば、先生が絵本を読むシーン、子どもたちにとっては“お話を聞くこと”が重要じゃなくて、絵本を読んでくれる=構ってくれることに安心感を覚えてるってのがちゃんと伝わってきて、実に良かったです。最初はガチで寂しがってたのが、いつの間にかお互いに対抗するのが目的化していた“むっちゃんとマリナちゃんがマリコさんを取り合うシーン”も愛らしかったし…。刀川和也監督、子どもたちに「変態!(`∀´)」なんて罵られつつも、8年間、頑張って撮影したなぁと感心しました。


このマリコさんの取り合いシーン、最高でした。
三角絞めでつかまえて-取り合い


というか、この映画でのむっちゃんの愛らしさは最強レベルなんですよ。映画中盤、保育士のマキノさんと別れるのがイヤでマイカちゃんが号泣するシーンは、僕も目がもげてしまって指で入れ直すほど泣いたんですが…(誇張アリ)。その様子を眺めていたむっちゃんが、夜、ノートに「大好き大好き大好き」と書く場面はね、「①自分の大好きな人もいなくなっちゃうんじゃないかという不安を押さえきれず、ノートに想いを書いてしまう姿がいじらしい! (´Д`;) ハァハァ」と、「②『大好き』という字がなんとなく『女子大生』に見えて愉快 (´∀`) ウフフ」という2つの理由で、超グッときました (・∀・) ナンダソレ あと、「回転寿司アコガレ話」もスゲー愛らしくて、「んもう、オジサンがご馳走しちゃう!ヽ(TДT)ノ」って心境でしたよ。


マキノさんとマイカちゃんの別れのシーンの可哀相さは極悪。
三角絞めでつかまえて-お母さん、行かないで!

その晩、むっちゃんがノートに書いた字が「大好き→大女子き→女子大生!? Σ(゚д゚;)」って読めたのは僕だけ…じゃないですよね?
三角絞めでつかまえて-大好き大好き大好き


映画のクライマックスは、むっちゃんの10歳の誕生会。担当のマリコ先生が優しい想いを伝えるんですけどね、手前にいるマリナちゃんが顔にクラッカーの万国旗を巻いてて、またもや泣き笑いですよ。で、その言葉を受け取るむっちゃんの表情が素晴らしくて… (ノДT) なんて言うんだろう、ちょっと違うんだけど、「冬の小鳥」の主人公のジニっぽさを感じたというか(特に母親に対する諦観は似てると思う)。最後はオープニングと同じく、朝の支度シーンが流れて終わるんですけど、マジで嗚咽が止まらなかったです。


クライマックスはむっちゃんの誕生会。すっかり大きくなって…(唐突な保護者目線)。
三角絞めでつかまえて-誕生日

このマリコさんの言葉が胸を打つけど、手前のマリナちゃんがアホっぽくて愉快という不思議なシーン。
三角絞めでつかまえて-贈る言葉


その他、「マリナちゃんの『“誰か”から電話がほしい』という切なすぎる発言エピソード」とか、「つい悪ぶってしまうコウキくん&むっちゃん」とか、とにかくスナップの利いたジャブのようにハートを撃ち抜くシーンが目白押しでしたよ。ハッキリ言って、僕的に「光の子どもの家」の保育士さんたちの献身振りには、「あなたたちの人生はどうなってるの? (゚д゚;)」と、若干の恐ろしさも感じたんですけど、他人の人生に本気で関わるってのはそういうことなのかもしれません(施設を立ち上げた菅原哲男氏の著作によると、保育士が成長した子どものアメリカ留学の費用まで自腹で出してあげてたりする!)。なんか、自己の快楽を充実させるのに一生懸命な自分が、少し恥ずかしくなりました。

大体、僕なんて所詮は「ペヤング 激辛」をオカズにして「超大盛」を食べて「うまい!ヘ(゚∀゚*)ノ」なんてバカな文章をアップして喜んでる程度の男。「光の子どもの家」の職員さんたちや、映画を作った監督とかと比べたら、なんて無駄な存在なのかと自己嫌悪ですよ…。ただ、そんな僕も今年で40歳になるということでね。ハーヴィー・ミルクが40歳で世界を変えようとしたように、って、そこまで大したことをするつもりはないですけど、娘もいることだし、もう少し大人として地域社会に向き合っていこうと思ったり。

まぁ、正直なところ、予告編を観る限り、「ザ・ノンフィクション」っぽくて超地味なので、それだけで「アタシ、苦手ぇ~ 川`∀´)」と思う人もいるかもしれません。ただね、本当に素晴らしいドキュメンタリーなので、僕的には日本国民全員に観てほしい気持ちというか。「ウチの近所では公開されないYO!ヽ(`Д´)ノ」という方もいると思いますが、自主上映会にも協力してくれるみたいなので、興味がある方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。おしまい (´∀`)




施設を立ち上げた菅原哲男氏による著作。スゲー良い本なので、できるなら劇場で買ってあげて!



イ・チャンドン製作、ウニー・ルコント監督作。僕の感想はこんな感じ



なんとなく思い出した想田和弘監督作。僕の感想はこんな感じ








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  • ”隣る人(ネタバレ)”が観たい

    いつも楽しく読ませていただいてる映画ブログの過去記事から子ども関係の映画をみつけたので引っ張らせてもらったチョコレートドーナッツもみたー隣る人は未見DVDないらしいが近々我が家の近くで上映ありそうなので観に行きたい!冬の小鳥も借りよう

    まーぶる

    2017-08-02 14:18:37

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