最近はまったくと言っていいほど山から離れてる。
週末の天候不順と決算で仕事に追われてるのが起因。
たまに、山でも予定する週末があると台風で行けない。
釣りの世界に「アームチェア・フイッシング」と言う言葉がある。
釣りに出かけたくても、行けない時は、毛バリをまいたり、釣り竿を手入れしたり
本を読んで、まだ見ぬ釣り場やそこに待つ魚に想いを馳せる。
正しく、この数週間はアームチェア・クライミングの毎日でした。
おかげで以前から読みかけの本2冊完読できました。
笹本稜一の「還るべき場所」はK2を題材にした山岳長編小説
新田次郎が亡くなって、次世代の山岳小説の一人者と期待される作家らしい。
ザイルパートナーの恋人をK2で亡くし、立ち直れない主人公に再びK2挑戦の
機会が巡ってくる。自分を助ける為に恋人自らザイルを切ったと信じていた
主人公が再び同ルートをK2山頂目指して登攀する時見たものは・・・・。
最近のヒマラヤの商業登山の問題と、恋人の遭難死とをミックスした壮大な
ロマン溢れるフイクションです。
もう一冊は、夢枕獏の「神々の山嶺」上下2巻の大作。
山岳会のアウトロー的な登山家羽生を追ってエレベストを舞台に
山岳カメラマンの主人公が偶然手にしたコダック製のカメラから
ジョージ・マウローのエベレストの初登頂ではないかの謎に迫る。
エベレスト南西壁無酸素単独登頂を狙う登山家を追って
主人公もその快挙をカメラに写すべく単独で後を追う。
望遠カメラが捉えたものは、南西壁を踏破して超人的な体力で頂上
向かう姿だったが・・湧き上がるガスにその姿は包まれる。
そして、マロリーと同じように2度とベースに帰る事はなかった。
数年後主人公が再びチベットからノースコル経由でエベレストを目指す。
偶然ビバークした岩陰で目にしたものは、今までの疑問を解いてくれた。
「山がそこにあるから」のマロリーと実在の登山家がモデルのフィクション
ですが読み応えのある作品でした。
*ジョージ・マウロー(1886~1924)
ヒラリーとテンジンがエベレスト初登頂(1953)より30年前の1924年イギリスの
国威をかけた第3次エベレスト遠征隊で山頂付近でパートナーのアーヴィン
と共に行方不明となり世界初のエベレスト登頂を果たしたか論議を呼んだ。
その後その謎を解くべく、何度か捜索隊を派遣して75年後の1999年マロリーの
遺体が発見されたが、登頂したのかしなかったのか決定的な証拠はなかった。
当時所持していたカメラ「コダック」があれば登頂したか否かの疑問が解かれる
と思われていたが、何故か決めてのコダックも身につけていなかった。
パートナーのアーヴィンの遺体はまだ見つかっていない。
マロリーの遺体から初登頂の可能性ありの状況もあり、今だにその謎はベール
に包まれている。
「登頂とは、山頂を踏み生きて帰ってくることです。もし下山中に死んだら、
それは決してやりとげたとはいえない」マロリーの息子ジョン・マロリーの言葉。
(上記の文章はWikipediaから抜粋しています)
(参考)