7月10日(水)午後2時より、人権問題講演会『学ぼう!おとなにも子どもにも大切な「自尊感情」について』を開催しました。
主催は当センターが事務局を務める立花中学校区人権教育・啓発推進会議で、67人の方にご参加いただきました。
講師は園田雅春さん(元大阪教育大学教授・学級文化研究会代表)です。
まず最初に、『ほめることは必ずしも良いことではない』という話から始まりました。
教育の現場では「良いトコロ探し」などがよく行われていますが、それと同時に「最近の子どもは折れやすい・打たれ弱い」ともよく聞かれます。
踏ん張って立ち上がっていく、レジリエンス(自己回復力・自己復元力)によって自尊感情が育まれると説明されました。
自尊感情とは、自分自身を基本的に価値あるものとする感情です。
重要な他者(家族や友人や同僚など)とのかかわりから育まれることが多く、結果として、その相手を裏切るわけにはいかないと思うようにもなります。
相手も自分も大切にしようとする自尊感情は、生きる意欲と人権感覚の源泉となります。
これは子どもに限らず、われわれおとなにとっても大事なことだと強調されました。
また、自尊感情の反対語として「自己差別感情(どうせ…と思うこと)」についても説明されました。
国立青少年教育振興機構『高校生の進路と職業意識に関する調査(2023)』によると、「自分はダメだ」と思ったことがある高校生の割合は、米国60.5%・中国51.4%・韓国48.8%に比べ、日本は78.6%となっているそうです。
自尊感情は、被尊感情・自己達成感・自己有能感・自己肯定感・自己効力感・自己有用感・自己本来感・自己統制感・相互依存感など、さまざまな「要素」で成り立っています。
これらは人との関わりの中で育まれていきます。
これらの全てを完ぺきに持っている人はいないでしょうが、どれか1つでも自分で確信していると前に進んでいける、一言で言えば“ガソリン”という言葉がピッタリだと説明されました。
具体的な体験談や資料を交えながら、参加者自身の自尊感情度を測定するなど、分かりやすく楽しい講演会となりました。