定年退職して毎日これといってやることのなかった私は、街で見かけたチラシをきっかけに俳句教室に通うことにした。

初日、いきなり驚いた。

先生は女性で年齢は56、7だろうか。
同世代の方たちに比べたら圧倒的に若く見える美しい方だった。

驚いたのはそこではない。

バストが絶対にHカップあったのだ。
絶対Hカップだと確信できた。

なぜならGカップにしては少し物足りないからだ。

あれは5・7・5ではない
8・10・8だ

そんなことを思っていると教室が始まった。
まずはとりあえず一句考えることになった。
しかし困ったことにどれだけ考えても最初の5文字が
"Hカップ"
になってしまう。

ダメだダメだ!
でもどうしてもそうなってしまう。
他の男の生徒さんは、どうやってこの難関を乗り越えたのだろうか?
酒の席で、
"初めての時はHカップからしか考えられない"
というあるあるを言ったらとんでもなくウケるのではないか?

ダメだダメだ!
Hカップが季語みたいになってきた。

そして私は結局、たった一句を詠んで以降、その教室に行くことはなかった。

Hカップ
サイズではない
俳句の"H"


あ、全部ウソです