十六夜の月がほわんとやわらかく照らす帰り道。

こちらもほわんというか、スッキリというか、心の中にあった棘がどさっと抜け、目から鱗が何十枚と剥がれ落ちたような気持ちです。

コロナ禍に「オーディオブックやろうよ!」とお声がけくださったりかさんから、江古田のONE'S STUDIOでの朗読公演に誘っていただきました。


高校時代からどうも好きになれなかった太宰2作品に、オープニングは「こちらの方が相応しい」と差し替えられた坂口安吾の「ピエロ伝道者」
先日92歳になられた矢島正明さんの朗読の説得力、味わい。それはもう平伏したくなるようで。
私の100歳の誕生日に小さなカフェなり自分が入居している施設なりで朗読公演をしたいという目標がありまして、そこまでの生き方なり何なりを確かにしていかなければなぁ…と頭の片隅で考えもしました。
何せふわっとペランと薄く軽く生きているものですから💦

「導入」とおっしゃっていた矢島さんの朗読に続く太宰2作品、この構成がまた絶妙で。
高校時代に苦々しい気持ちで読んでいた作品群の中にあって、たしかに読んだことのあるものなのに、何でしょう?
まったく印象が違うのです。
あーもうっ!そういうことなんだよね!
とひとり納得。
ええ、実はまた迷子になっていました私。
それをこの江古田の街にて本流に戻される不思議。
お空に行ってしまった先生方や先輩方が、全力で戻してくださった…という気さえします。




そういうわけで十六夜の月を見上げながら、東長崎の駅までほわんとスッキリとした感じで歩いた次第。