皆様こんばんは。ブログおよびホームページ管理人の神@北見です。

 

先日より今月のTomixさん・KATOさんから発売されるキハ58系にあやかってモデルチェンジ車のバリエーションについて投稿いたしましたが、引き続きモデルチェンジ車ネタで行きたいと思います。今回はスカートについての小ネタです。

 

キハ58系は1968年に登場した昭和42年度本予算車両からキハ車についても冷房準備工事が施され、俗に「モデルチェンジ車」と呼ばれました。なお「キハ車」と限定したのは、グリーン車については昭和38年製のキロ28 109より冷房化を考慮した構造となっており、「キハ車」に冷房準備工事が施された昭和42年度本予算では、グリーン車についてはあまり大きな変化はありません。

 

話を戻しますが、この昭和42年度本予算よりキハ車の冷房化が考慮され、屋根高さはAU13を搭載することを考慮し従来より60㎜下げ、強制換気方式となり屋根上の通風器がなくなり、また正面はパノラミックウィンドウとなりスカートが付きました。また暖地用と寒地用が区別され、各所ヒーターやタイフォンシャッターなどに相違がみられました。

 

まず本州用寒地向けのキハ58 1500とキハ28 500、北海道用のキハ27 200が登場しました。冷房準備工事が施されていますが、正面を見るとジャンパ栓納めや足掛けの位置は冷房用ジャンパ栓納めを取り付けることが考慮されておらず、スカートも冷房用ジャンパ連結器を取り付けることが全く考慮されていません。

 

↑初期のモデルチェンジ車(15次車・16次車:キハ27 201~203、キハ28 501~504、キハ58 1501~1532)は、写真のようなスカートで、冷房用ジャンパ連結器(KE7・KE53C)を取り付けるスペースは全くないように見えます。写真はキハ58 1528

 

↑キハ58系冷房車の前位側端部です。左から、赤丸で囲った冷房制御用KE53Cジャンパケーブルとその栓納め、緑矢印の冷房電源用KE7ジャンパ連結器、緑丸で囲った冷房電源用KE7ジャンパケーブルとその栓納め、赤矢印の冷房制御用KE53Cジャンパ連結器、を装備しなければなりません。写真はキハ58 5516(元751)

 

先のキハ58 1528のスカートをもう一度見てみますと、

 

↑冷房化の際は先のキハ58 5516で示したジャンパ連結器及びジャンパケーブルを取り付けなければなりませんが、写真を見る限りそのスペースは全くなく、スカートを含め改造せねばなりません。

 

後位側についてはジャンパ栓納め用の窪みなどが用意されそれなりに準備されているようですが、前位側は全く準備されていないように見受けられます。

 

なお16次車にはキハ28 1505~1510(後の2505~2510)が含まれ、これは急行「アルプス」のキロ58冷房化用に新製後直ちに冷房を取り付けられるように強度の準備工事を施工し、新製後は予定通り直ちに冷房化されたとあります。そのためこのグループは冷房準備車であった期間は極めて短いと思われ、新製時にどのような姿であったのか非常に気になりますが全く資料がありません。

 

そして17次車からは前位側スカートの開口が大幅に広がり、また制御用KE53Bジャンパ連結器の配置は、後に冷房用ジャンパ連結器を取り付けることを考慮したものとなりました。

 

↑分かりやすいので冷房準備車で見てみます。17次車のキハ56 214です。前出のキハ58 1528と比べスカートの開口部が明らかに大きくなっており、また制御用KE53Bジャンパ連結器の配置も、後に冷房用のKE7・KE53Cを取り付けることを考慮されています。

 

拡大して、先のキハ58 5516で示したジャンパ連結器の位置を書き込んでみましょう。

 

↑緑丸部、制御用KE53Bジャンパ連結器の下には空間があり冷房用KE53Cジャンパケーブルを通すことは出来るでしょう。赤矢印部は空いており冷房電源用KE7ジャンパ連結器を取り付けることが考慮されています。赤丸部も隙間がありKE7ジャンパケーブルを取り付けることができ、さらに車体側は足掛けの位置が移動しているのでこのケーブルの栓納めを取り付けることができます。そして緑矢印の部分も空けられており冷房用KE53Cジャンパ連結器を取り付けることができます。

 

このように、このグループからはやっと前位側にも冷房用のジャンパ連結器及びケーブルを取り付けることが考慮された設計になっています。このグループは、

 

キハ27 204~217

キハ56 201~214

キハ28 1001~1024 (のちに3001~3024)

キハ58 1101~1143、1533・1534

 

となっています。

 

ということでキハ58系モデルチェンジ車の、製造次数によるスカートの相違でした。ちゃんちゃん、で終われば簡単なのですが、もう少し重箱の隅をつつくような考察を続けたいと思います。あぁ、相変わらず奥が深い…

 

前述の通り17次車からは冷房用のジャンパ連結器及びケーブル取付が考慮され、これで解決したかのように思われましたが実は国鉄も詰めが甘かった…。冷房電源用のKE7ジャンパ連結器を取り付けたところ、スカートと干渉してしまいます。 哀れな。。。

 

 

↑見づらいですが、これがKE7ジャンパ連結器です。止め金具が下にあり、これがそのままではスカートと干渉します。

 

 

そのため、モデルチェンジ車を冷房改造する際は、結局スカートに何らかの改造をしなければならないことになりました。そしてこの解決策には大きく分けて2通りの方法がありました。それは「A.左側開口部全体を切り下げる」と、「B.干渉部のみ切り欠く」です。そしてこれは地域差が出ます。

 

1.北海道(苗穂工場) 「B.干渉部のみ切り欠く」

 

北海道で冷房電源用KE7の切り欠きについて議論するのは「ナゼ??」という気もしますが、実はこれに該当する車がいます。

 

↑キハ56 213 ちょっと角度的に見づらいですが、赤丸のところに切り欠きがあります。

 

この車以前の投稿でも出ましたが、一時期アルコンの「増結車」として使用されていた車でした。アルコンは中間のキハ29 1に搭載された4VKから編成両端のキハ59 1・2に冷房電源を給電しなければなりません。そのため編成中間に入れる車両にはこれの引き通し線を設ける必要がありました。そのためこのキハ56 213は自車は冷房準備車のままながらKE7の引き通しが設置され、前位側左側にはKE7ジャンパ連結器が装備されました。その際にKE7との干渉を避けるためスカートが切り欠かれました。

この車は1988年にはアルコン塗装から解除され一般車へ復元、正面左側に取り付けられたKE7も撤去され通常のKE53B 2基に戻されましたが、スカートに残っていた切り欠きがこの車の歴史を物語っていました。

 

2.盛岡・秋田局(土崎工場) 「A.左側開口部全体を切り下げる(但し元々15・16次車の冷改車なので他とは事情が異なる)」

 

盛岡・秋田局では1972年にキハ58 1502・1505・1517・1527・1532の5両が冷房改造されました。これらは正確にいうと元々スカートが冷房化に対応していない15次車・16次車であるため、スカートを新製している可能性もありますが詳細は不明です。形状としては先に紹介したキハ56 213のように局所を切り欠くのではなく、左側の開口全体が下に広く、KE7とは干渉しませんでした。

 

↑キハ58 1502 左側スカートの開口全体が下に広く、KE7と干渉しません。

 

 

なお、仙台局・水戸局・千葉局・新潟局ではモデルチェンジ車が存在しないか、モデルチェンジ車への冷房改造は施工されていません。

 

 

3.長野局(長野工場) 「A.左側開口部全体を切り下げる(但しキハ28 1500番台なので他とは事情が異なる)」

 

長野局にはキロ58の冷房化用に、キハ28 1500番台(後の2500番台)が新製され、新製後間もなく冷房化されました。そのため新製時にどのようなスカートであったのかは全く資料がありません。ただ冷房化後の姿を見ると、左側の開口部全体が下に広くなって干渉を避けています。

 

↑上からキハ28 2506・2508・2510 晩年は各地に点在したキハ28 2500番台ですが、新製及び冷房化は全車長野局です。各車とも、左側開口部全体が下に広くなっており、KE7ジャンパ連結器との干渉を避けています。

 

4.名古屋局(名古屋工場) 「A.B混在」

 

名古屋局にはキハ28 3001、キハ58 1107・1108と3両のモデルチェンジ車がおり3両とも冷房化されますが、キハ28 3001は「B.干渉部のみ切り欠く」になっており、キハ58 1107・1108は「A.左側開口部全体を切り下げる」になっています。

 

↑下回りが暗くて見づらいですが、KE7の下部に切り欠きは無く、全体が下に広くなっています。

 

対するキハ28 3001は写真はありませんが切り欠きになっていました。

 

あまり統一した思想が無かったのでしょうか。

 

なお金沢局ではモデルチェンジ車は少数派で、キハ58系の冷改最後の1979年度末時点では1両も居ませんでした。

 

 

5.大阪・天王寺局(高砂工場) 「A.左側開口部全体を切り下げる」

 

大阪・天王寺管理局では高砂工場を主担当工場としており、開口部は全車とも左側開口全体が下方へ広くなっていました。天王寺局配置車は後に各地へ転属しましたが、転属先でもその特徴を残していました。

 

上からキハ28 3005(福知山配置で元和歌山車)、キハ28 3009(向日町配置)、キハ28 3022(米子配置で元和歌山車)、キハ28 3023(山口配置で元和歌山車)

 

全車スカート左側の開口は下に広くなっており、KE7と干渉しません。

 

 

↑キハ58 1101(名古屋配置で元和歌山車、キハ58 1102(米子配置で元和歌山車)、キハ58 1114(福知山配置で元和歌山車)

 

こちらも全車スカート左側の開口は下に広くなっており、KE7と干渉しません。

 

 

6.福知山・米子局(後藤工場) 「B.干渉部のみ切り欠く」

 

福知山・米子局を担当していた後藤工場ではKE7との干渉部のみを切り欠いていました。

 

上からキハ58 1118(福知山車)、キハ58 1121(鳥取車)、キロ59 505(元キハ58 1123 米子車) ともにKE7干渉部の切り欠きは部分的です。

 

7.広島局(広島工場・幡生工場) 「B.干渉部のみ切り欠く」

 

広島局にはキハ28 3014とキハ58 1134しかいませんでしたが、ともにKE7との干渉部のみを切り欠いていました。

 

↑広島局では、KE7との干渉部のみ切り欠いています。

 

 

8.四国(多度津工場) 「A.左側開口部全体を切り下げる」

 

四国では左側の開口部全体が下に広くなっていました。

 

↑キハ28 3013 左側の開口部全体が下に拡大されていました。

 

 

9.九州 (小倉工場) 「B.干渉部のみ切り欠く」、(鹿児島工場) 「A.左側開口部全体を切り下げる」 (多分)

 

九州では門司・大分・熊本・鹿児島の4局に分かれ小倉工場と鹿児島工場を持っていましたが、工場の能力から鹿児島配置車でも小倉工場で施工するケースもあり、一概に決めつけることができませんでしたが、その傾向から小倉工場では干渉部のみ切り欠き、鹿児島工場では全体を切り下げていたように思われます。

 

キハ28 3015:全体を切り下げ 鹿児島配置で鹿児島工場で冷改

 

 

↑キハ28 3024 大分配置で小倉工場で冷改 干渉部のみ切り欠いている

 

↑キハ58 1105 冷改時鹿児島配置 干渉部のみ切り欠いている

 

↑キハ58 1106 冷改時鹿児島配置 干渉部のみ切り欠いている

 

↑キハ58 1131 冷改時鹿児島配置 左側の開口全体が切り下げられている

 

↑キハ58 1132 冷改時鹿児島配置 干渉部のみ切り欠いている

 

↑キハ58 1133 冷改時鹿児島配置 左側の開口全体が切り下げられている

 

写真はありませんが…

 

キハ58 1141 大分配置 (後のキハ58 7002) 干渉部のみ切り欠き

キハ58 1142・1143 竹下配置 干渉部のみ切り欠き

 

となっています。鹿児島配置車では干渉部のみ切り欠いた車両と全体を切り下げた車両がいますが、1969年に比較的多数の冷改車がおり、鹿児島では全車施工できず他工場へ委託したのではないかと思います。資料が残っているキハ28では、鹿児島配置車が幡生で冷改した例があります。

 

九州や名古屋では混在しており、あまりこのポイントで車両の出自を判定することは出来ませんでしたが、西日本地区では高砂工場と後藤工場での差が歴然で、晩年の福知山や米子ではこのポイントが車両の出自を判別する点となりました。

 

<福知山>

 

福知山には晩年ワンマン車としてキハ28 3004・3010・3016・3018・3020、キハ58 1113・1114・1116・1117・1138の10両がいましたが、

 

福知山生え抜き キハ28 3010・3016・3018・3020、キハ58 1116・1117

和歌山転入車 キハ28 3004、キハ58 1113・1114・1138

 

とほぼ2分されていました。福知山生え抜き車のみが干渉部のみの切り欠きでしたので、このポイントで車番を推測することができました。

 

<米子・鳥取>

 

米子・鳥取には、キハ28 3022、キハ58 1102・1120・1121・1122・1127・1128と7両のモデルチェンジ車がいました。キハ28 3022とキハ58 1102は和歌山出身で、亀山経由で米子に来ました。この2両のみは左側の開口全体が下に広がっており、他の米子局生え抜き車は干渉部のみ切り欠きでした。よって遠目にもキハ58 1102を区別することができました。

 

 

いかがでしょうか。たかがスカートでも意外と奥が深いです。このスカートにはKE7との干渉部の切り欠きの他、連結器胴受左側の、エアホース切り欠きの有無という差異もあります。

 

<初期型スカート>

 

↑キハ58 1524 エアホースのコックを閉めた際に指を挟みそうな位置になっています。

 

↑キハ58 1506 コック部のスカートが奥に切り欠かれています。

 

これは冷改車でも存在します。

 

↑キハ58 1131 先のキハ58 1524と同じように、ブレーキのコックを閉めると指を挟みそうです。

 

↑兄弟のキハ58 1132ですが、こちらはスカートが奥に切り欠かれています。

 

これは地域差もありますが、ある地区では全車切り欠き、ある地域では全車原形のまま、ある地域では混在と、まちまちになっています。

 

 

そしてモデルチェンジ車スカートで1つ挙げるのは… 足掛けです。

 

↑キハ28 3014 キハ58系・45系のスカートには足掛けは付いていません。

 

これがキハ65になると足掛けが付きます。これはこの後キハ66・67、キハ40系へと受け継がれます。

 

↑キハ65では丸で囲んだ部分(左右共)に足掛けが付きます。

 

ところが、キハ28 3024のみはキハ58系で唯一スカートに足掛けがあります。

 

↑キハ28 3024です。キハ65のように足掛けがあります。

 

ということで、モデルチェンジ車のスカートに限ってみても、色々なパターンがあるのがお判りになると思います。こんな細かな点、模型化に反映する程の点ではありませんが、見ていると興味が尽きません。

 

 

本当にキハ58系は細かな相違が多く、間違い探しを始めるときりがありません。今後も興味深い点をご紹介してゆきたいと思います。

 

それでは次回もお楽しみに!!

 

是非私のホームページ

 

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にもキハ58系各車の解説がありますのでご覧になってください。