
私の写真のモチーフは廃村や廃墟。五所川原市飯詰の味噌ヶ沢や青森市大谷には何年も足を運び、個展の開催も行った。
青森の廃村は意外に多くない。平野部が広いため山間地の集落自体が少ないのだ。
以前「杉沢村」が話題となったが、実在しない。青森にフジテレビがないことをいいことに、ただの過疎廃村に「津山事件」を重ねていい加減な作話を放送したのだ。
県内で廃村と言えば、
・五所川原市飯詰にあった味噌ヶ沢(野鳥の森。鉄砲水で下岩崎へ集団移転)
・つがる市にあった平滝(現在の平滝地区でなく、平滝沼公園あたり。飛砂被害で現在地に集団移転)
・西目屋村砂子瀬(目屋ダム→津軽ダムの工事で二度の集団移転)
・外ヶ浜町高石股(過疎による廃村。隣の大平集落へ)
・平内町増田(過疎による廃村。隣の山口集落へ)
・青森市大谷(空港道路の抜け道沿い。空港建設で離村)
・青森市に江戸時代まであった旧大橋村(現在の細越~高田の間。天明の飢饉で廃村)
・青森市田代平開拓(現在は別荘と八甲田温泉「遊仙」のみで定住者なし)、山を隔てた旧上北鉱山(廃鉱のため)
・青森市にあった田代元湯(雪中行軍の野営目的地。最盛期は旅館が数軒営業していた。残ったやまだ館が廃業し、間もなく駒込ダムの水没予定地となった)
・青森市野沢の下湯温泉(下湯ダムに沈んだ)、およびそこから県道未舗装区間へ登った朝鮮人開拓地(開拓失敗、帰国運動で離村)
・青森市小畑沢(「杉沢村」のモデル。現在はくさぶえ温泉のみ。過疎で離村)
・三沢市四川目(三沢基地の騒音被害で大津地区に集団移転。現在は防衛庁の用地のため立入禁止)
ダム水没や用地買収された箇所を除き、現在でも農地は存在し、温泉も営業しているため、純粋な廃村はごく僅か。大規模なのは上北鉱山程度だから、その意味で廃マニアの探索には不向きと言える。