侍女が、酒器を手に現れた
忽ち、辺りに酒、特有の香りが漂い始める


皆は下がれ
後は、私がやろう


市井で見つけた該里酒(Vino de Xerez)
魅惑的な香りに惹かれ、
勧められるがまま買い求めたが、
気に入るであろうか


疲れている王妃の為に、酒を用意した
今宵は私が王妃を癒そう


そう言って、注いだグラスを薦めると、
途端に頬を真っ赤に染め、顔を隠すように俯いた


ほれ、そうしていては、
王妃の顔が見えぬ
篤と、見せてくれぬか


俯いた美しく滑らかな頬に手を這わせ、
顎をそっと持ち上げる
頬を染め、瞳を潤ませて見つめる姿に、
たまらず身体を引寄せると、
酒を口に含み、
そのあたたかな口内へ注ぎ込む

酒とこの方の甘美な甘さを堪能しながら、
唇を離すと、蕩けたような顏に
身体の奥が火がついたように熱くなりだした


酒を用意するのは、
何も妻だけではないぞ
夫も妻を癒したいのだからな


にやりと笑うと、
この方を横抱きにし、寝台へと向かう


王様!


おろおろとするこの方が可愛らしくて、
もっと困らせたいと思ってしまう

寝台に下ろすと、
乱れた髪、美しい身体を
余すことなく見つめ、愛でた
羞恥の色に染まりつつある王妃を、
優しく見つめ頬に手を添える


王妃は心ゆくまで、
私に癒されていればよい


そう言って、ゆっくりと夜着を解いていった





*******
♪Vino de Xerez …

女性がこの酒を頼む場合、
“今夜貴方に捧げます”
という意味合いになるそうなのですが、
逆に、男性が女性にこのお酒を薦めるときは、
“今夜はお前を離さない”
という意味があるそうです。

因みにこの時代、
この酒があったかは
フィクションなのでスルーして下さいませ。