今回からは、将棋を覚えたての超初心者から、高島&操山教室の中心層である初級者レベルの生徒さんまでの指導を考えた場合の、指導者の適性について考察していきたいと思います。
この層に対しては、プロ棋士の指導はそれほど有効ではない可能性があると感じています。理由は、プロの技を理解できるだけの棋力が、まだ生徒さんの側にほとんど備わっていないからです。プロ棋士による折角の指導が「宝の持ち腐れ」になってしまう可能性が高いのです。
図1は、高島&操山教室の指導対局でおなじみの「裸玉」(はだかぎょく)という手合いの初形図です。駒の動かし方の説明が終わった生徒さんには、最初にこの手合いで講師との対戦が組まれます。
(図1 「裸玉」の初形図)
○初手からの指し手:△5二玉、▲7六歩、△5三玉、▲3三角成、△6四玉、▲7七馬(結果図)
▲7七馬(結果図)となって下手必勝というのがカクザンが考えた下手の必勝定跡です。しかし、将棋を覚えたての初心者にこの定跡を理解してもらうのは容易ではありません。
(結果図 ▲7七馬まで)
しかし、今回のテーマはそこではありません。こういう手合いの研究を、初心者指導に試行錯誤しているカクザンは行いますが、プロ棋士の先生でこういう研究を行う方はあまりいらっしゃらないのではないかと思います。
プロの指導対局の手合いで一番多いのは「2枚落ち」だと思いますが、一番下の手合いは恐らく「6枚落ち」か、せいぜい「8枚落ち」までといったところではないでしょうか?それ以上駒を落としてしまうと、指導対局自体が成立しなくなってしまうように思います。
上記の結果図となって、某プロ棋士の先生は、「『玉』しか動かす駒がないというのはツライもんだなあ」と仰っていました。その先生はアマチュア指導経験が豊富でしたが、「裸玉」という手合いは経験したことがなかったそうです。こんな手合いでプロ棋士に指導をお願いすること自体が失礼だったのかもしれません。
以下、つづく・・・。