上道将棋教室「リレー将棋」(その1) | カクザンのブログ(岡山市の親子将棋教室)

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将棋をこれからはじめる子どもたち、保護者の方に、将棋の楽しさ・魅力をお伝えします。そして、上達のためのヒントをたくさん提供してまいります。次回の操山教室は1/26(日)、高島教室は2/2(日)の開催です。

1/11(土)の上道教室では、参加者全員による「リレー将棋」を行いました。この対局の棋譜再現ができましたので、数回に分けて、対局内容を振り返っていきたいと思います。

 

「リレー将棋」とは、2グループに分かれて、交代で指していく団体戦です。この日は1手交代で行うことにしました。とりあえず「窓側チーム」と「壁側チーム」に分け、4人対4人にチーム分けを行いました。各チームのメンバーとオーダーは次の通りです。

 

○窓側チーム:A君(初級者)、N門さん(有段者)、Hグランパ(初級)、カクザン(有段者)

○壁側チーム:H君(初級者)、O上先生(中級者)、Hパパ(初級者)、H野先生(有段者)

 

有段者が多い「窓側チーム」の方が有利でなのはないかと思われるかもしれません。しかし、有段者から初級者までの混成チームとなる「リレー将棋」の場合は、そのくらいの棋力差はあまり関係がないというのが、カクザンの印象です。果たして、本局はいかに?

 

「振り駒」の結果、「窓側チーム」の先手となりました。そして全員で整列して「お願いします」とあいさつしてスタートです。

 

「上道教室・リレー将棋」

・先手:「窓側チーム」

・後手:「壁側チーム」

 

○初手からの指し手:▲7六歩、△3四歩、▲6六歩、△4四歩、▲6八飛、△4二飛、▲7七角、△6二玉、▲5八金左、△7二銀、▲7八銀、△3三角、▲3八銀、△7一玉(図1)

 

(図1 △7一玉まで)

 

 

戦型は「相振り飛車」、それもお互いが「四間飛車」に進みました。

 

○図1以下の指し手:▲4八玉、△8二玉、▲3九玉、△3二銀、▲2八玉、△4五歩、▲3六歩、△9四歩、▲9六歩、△4六歩、▲同歩(途中図)、△5二金左、▲4七金、△4三銀、▲3七銀、△6二金直、▲3八金、△1四歩、▲1六歩、△6四歩、▲7五歩、△6三銀(図2)

 

先手の▲2八玉でお互いの「ミノ囲い」が完成しました。後手はあと一手△5二金左と指せば「本ミノ囲い」が完成します。しかし、ここで後手は△4五歩と「飛」先の「歩」を伸ばしてきました。「玉」の囲いを後回しにしての機敏な動きといえます。狙いは△4六歩からの「歩」交換にあります。一般に、「飛」先の「歩」は交換できる時は交換しておくのが得なのです。

 

対する▲3六歩は危険な手。実は、高島教室の「四間飛車」講座では、詳しい説明をしていないのですが、「ミノ囲い」の弱点の1つが「3七」の地点なのです。ここは「玉のコビン」と呼ばれる急所で、この地点がガラ空きの時に相手から仕掛けられると困ることが多いのです(角交換から△5五角の「王手飛車」や「王手香取り」のような筋を常に警戒しなければなりません)。もし、どうしても▲3六歩を突きたい時は、先に▲4六歩を突いておくのが安全なのですが、本譜では後手に△4五歩と伸ばされているために、▲4六歩と突けない形です。

 

さて、途中図は後手の△4六歩に対し、先手が▲同歩と取った局面です。後手は△5二金左と「本ミノ囲い」を完成させに行きましたが、この場合、△5二金左は悪手です。なぜ悪手なのでしょうか?そして、後手はどう指すべきだったのでしょうか?

 

(途中図 ▲4六同歩まで)

 

途中図での後手は△4六同飛の一手です。以下、▲4七金、△4二飛、▲4六歩(変化図)と進むことが予想されますが、後手だけが「飛」先の「歩」交換をし、かつ、「一歩」を持ち駒にしているため、後手が一本取った形です。これで後手が十分だったのです。しかし、△5二金左としたために、すかさず先手に▲4七金と上がられて、「4六」の「歩」を守られてしまいました。本譜の▲4七金の局面は先手の「一歩」得。さらに玉形も「高ミノ囲い」が完成し、先手優勢の局面となってしまいました。

 

(変化図 ▲4六歩まで)

 

△5二金左はなぜ悪手になってしまったのでしょうか?これは面白い問題ですので、ぜひ、考えてみましょう。

 

実は、△5二金左という手自体は、部分的には「好手」でもあるのです。それは、「玉の囲いは金銀3枚」という格言に沿った立派な手だからです。ところが、将棋には「手順前後」(てじゅんぜんご)という事態がしばしば生じるのです。さっきまでは好手だった手が、数手後には悪手になってしまうことがよくあるのです。

 

本局では、△4六歩と突く前に△5二金左と指したのであれば、この手は好手になったと思います。ところが、△4六歩、▲同歩の後に△5二金左と指したために、先手に▲4七金という手を指す余裕を与えてしまったのが悪手たるゆえんです。よって、後手は、△5二金左のところでは、何が何でも△4六同飛と指しておかなければならない局面になっていたのです。

 

しかし、ここが「リレー将棋」のむずかしいところでもあり、また、面白いところでもあります。「3手1組の好手順」の一手目を有段者が指したとしても、次の初級者が一連の手順を指してくれるとは限らないからです。この場合、「3手1組」だからこそ好手になるのであり、別の手を指してしまうと、かえってヒドイ局面になるリスクがあるわけです。

 

本譜に戻ります。▲7五歩はN門さん自慢の一手。しかし、「後の構想をみんな分かってくれているかなぁ?」とのつぶやきが聞こえました。残念ですが、そんなの分かってくれと言う方が無理なのですw

 

上級者は下級者にも分かりやすい局面に導くような指し手の工夫をすることが、「リレー将棋」におけるチームワークなのです。有段者であっても「リレー将棋」の経験が少ないうちは、なかなかそのことに気づきません。なので、有段者が少々多くいたところで、「リレー将棋」で有利になるとは限らないように思えます。

 

最終手△6三銀は次の△7四歩を見せた好手だと思います。ただ、「玉」から「銀」が離れるので、カクザンなら△6三金左から次の△7四歩を狙いにいくと思います。

 

(図2 △6三銀まで)

 

図2の局面での形勢判断をすると次のようになると思います。

・駒の損得:「一歩」得の先手が○

・「玉」の安全度:金銀3枚の囲いがしっかりしている先手が○

・駒の働き:お互いに攻め駒がまだ働いていないので互角

・手番:先手番であり先手が○

 

ということで、総合的にみても先手優勢の局面といえます。しかし、「リレー将棋」では微差であり、いい勝負なのではないでしょうか。

 

 

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