四間飛車でハム君に挑戦(3-2) | カクザンのブログ(岡山市の親子将棋教室)

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子どもたち、保護者の方に、将棋の楽しさ・魅力をお伝えします。次回教室は津山おもちゃ図書館将棋教室が5/5(日)、高島教室が5/19(日)の予定です。

「四間飛車でハム君に挑戦」シリーズの第3局(その2)です。今回は後手番「四間飛車」の実戦譜を紹介しています。

 

(図1 ▲2六銀まで)

 

 

図1は先手が▲2六銀と「棒銀」を前進させてきたところです。次に▲3五歩とされると「棒銀」が働いてきそうです。しかし、「2五」の位置は「銀」が攻めにも守りにも働いていないため、この状態で戦いが始まると、「棒銀」が遊び駒になってしまう可能性があります。今回、後手はそこを突いてみたいと思います。

 

○図1以下の指し手:△4五歩、▲3三角成、△同銀、▲4五歩、△5五角、▲3七桂、△9九角成、▲7七桂、△9八馬、▲9六歩、△9七馬、▲1六歩、△9六馬、▲5六歩、△6四歩、▲1五歩、△7四馬、▲5五歩(図2)

 

(図2 ▲5五歩まで)

 

図1からは△4五歩が良いと思います。当ブログで何回も出てきた「四間飛車」の「切り札」ですね。この一手で後手の「飛」と「角」がいっぺんに働いてくるため、局面がそれまでの緩やかな流れから、一気に急流へと変化します。この流れに先手は「棒銀」をさばくのに忙しくなり苦労することになるのです。

 

なお、図1では後手はもう一手△1二香と手待ちをしたいところなのですが、以下、▲3五歩、△4三銀、▲3八飛となって、次の▲3四歩が受けづらく損だと思います。こうした感覚は、「四間飛車」を何十回も指すうちに身に付いてくるものですので、とにかく番数をこなすようにしておいてください。

 

本譜に戻り、▲3三角成、△同銀と進みました。「角」交換は居飛車側からすることが多く、後手から△8八角成とされると、△同金となった形が悪形で先手が損なのです。「8八」の「金」の形は先手「玉」の左方面への逃げ道をふさぐ壁(かべ)になっており「カベ金」と呼ばれる悪形です。また、他の駒との連絡のない「離れ駒」(はなれごま)となるため、△5五角からの「飛金両取り」のような手を狙われやすい悪形でもあるのです。

 

先手は▲4五歩と「歩」を取り返しました。この手では▲3五歩と突いて「棒銀」をさばくことを急ぎたいのですが、後手から△4六歩と取り込まれると「歩切れ」の先手は次の△4七歩成の「と金」攻めを受けることが難しいのです(「歩」があれば▲4八歩と受けることができる)。しかし、△5五角でこんどは「飛香両取り」がかかりました。これで駒得が確定した後手がハッキリ優勢になりました。

 

▲3七桂は仕方のない受け。先手「玉」は「飛」の打ち込みに弱い形をしているため、「飛」は渡せません。対する後手は△9九角成で「香」を入手します。居飛車の左側の「香」は大事な守り駒で、この「香」を取られると守りはかなり弱くなります。また、終盤戦で後手の「ミノ囲い」を攻略する時に、9筋からの「ハシ攻め」が厳しい狙いとなるのですが、「香」がいないため本局では後手にそうした心配がなくなりました。

 

▲7七桂は取られそうな「桂」を逃げつつ、後手の「馬」を引き返さないようにした手です。「『馬』は自陣に引け」という格言があり、後手はこの「馬」をいったん自陣に引きあげて活用するのが良いでしょう。それが△9八馬~△9七馬です。結局、この「馬」は以下、△9六馬~△7四馬と移動に成功。手数はかかりましたが、好位置に引きつけることができました。「『馬』の守りは金銀3枚」という格言もあり、これで後手の「ミノ囲い」は鉄壁になりました。また、攻撃面でもこの「馬」はよく働いています。「遠見の角に好手あり」、「角筋は受けにくい」といった格言もあり、後手の「馬」は遠くから先手陣に睨(にら)みを利かせていることが分かると思います。

 

カクザンが先手側ならば、ここで「負けました」といって投了すると思います。上級者同士の対局ですと、そのくらい大差の局面ですが、初心者どうしの対局では、ここからいくらでも逆転が起こるものです。特に、優勢な将棋を勝ちきるための技術というものもあります。ですので、本局ではそうした指し方の参考にしていただければと思います。

 

図2の局面は後手が大優勢ですが、この将棋を確実に勝ちきるために、後手はどういう方針で指し手を進めていくべきでしょうか?そうした方針に基づいて、次の一手を考えてみてください。

 

 

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