「岡山県こども将棋教室交流戦」での対局で私が目撃した局面について、あそこでどうやればよかったのかを解説している。前回に続いて、「78銀」型カニ囲いにしてしまったために、苦しくしてしまった将棋を取り上げたい。
図1は先手の「78銀」型カニ囲いに対し、後手は「三間飛車(さんげんびしゃ)」から「石田流(いしだりゅう)」という戦形で対抗した図。先手は▲78銀と上がってしまっているため、「▲76歩」の一手を指すことができない。このままでは「角」が働かないため、▲96歩~▲97角と端(はし)に「角」をのぞいてみた。こういう「端角(はしかく)」は将棋を覚えて間もないお友達が指してみたがる代表的な手だ。狙いは「▲53角成」で、こうなれば先手優勢になる。しかし、「▽52金左」のような手で簡単に受けられてしまう。こうなると、「97」の地点では「角」は危険だ。先手が「▲26歩」と「飛」先の「歩」をついていこうとすると、すかさず、「▽95歩」と「角」頭を攻めてくる(図2)。
「▽95歩」の一手で、後手の優勢だ。「角」とか「桂」という駒は1つ前へ進むことができないという大きな弱点がある。なので、「角頭(かくとう)」と「桂頭(けいとう)」は常に狙われると思わなければならない。図2では▲95同歩とするよりないが、▽95同香とこられて困っている(図3)
(図3 ▽95同香まで)
図3以下、▲88角、▽98歩、▲同香、▽同香成で先手敗勢。この将棋のどこが悪かったのかというと、「▲97角」とのぞいた手が悪手(あくしゅ)だったといえる。そして、さかのぼって、「▲78銀」型カニ囲いにしたことがそもそもの失敗だったといえるのだ。
◎本日の教訓
1.端角はキケン
2.カニ囲いは78金型で!
(以下、次回へつづく)