郭中医鍼灸院・漢方薬店 -2ページ目
  • 21Jul
    • 夏の冷え対策

      皆様こんにちは。鍼灸マッサージ師の東 理子です。急に暑くなってきましたね。これからの季節は、エアコンがないと大変です。職場でも電車でも、お店に行っても、猛暑からあの涼しい空間に入るとその瞬間にほっとしますね。けれど、そんな夏こそ冷えに注意です。買い物の間だけならともかく、冷房の効いた部屋で長時間過ごしていると身体には冷えが蓄積されます。経験のある方も多いと思います。職場ですと「もっと設定温度上げて!」と思っても、なかなか思うようにいかないでしょう。かくいう私も経験あり。最初に勤めていた治療院では、終日しっかり冷房を効かせていました。勤務して4年目の夏を終える頃、下半身が太くむくんでいるよう。体もだるくて重いのです。治療の仕事をしている知人から「それは冷えだよ」と言われ、「はっ!」となりました。素足でいたり、冷たいものを沢山食べたり飲んだり、冷房の中に一日中…。やはり体の芯まで冷えてしまっていたのだと納得しました。そこで、知人の教えてくれた冷え対策を試みました。①冷たいもの(食事)をなるべく控える。 熱中症対策に水分はとりますが、なるべく氷抜きに。②冷房の中では、靴下をはく。 冷えは足から始まります。 東洋医学では、頭寒足熱といい、頭よりも足が暖かいのが健康と考えます。 着るものも上半身より下半身を少し厚めにして、下半身を温めることで 体の芯が暖まり、余分な熱は上半身(腕など)から逃がしていくという 考えもあると聞きました。③半身浴 足湯も効くそうですが、同じ効果のある半身浴を毎日15~20分。 ぬるめのお風呂に入ります。湯が冷めないように半分ふたをしたまま入る。 のどが渇いた時のために水を持って入っています。以上の方法を根気よく実践していくうちに、足のむくみもとれ体調も回復してきました。「冷え」を感じたら上記の方法を1つでも試してみてはいかがでしょうか。もちろん、冷え対策に鍼灸も有効です。関元、三陰交など体を暖める作用のあるツボもあります。夏の冷えに注意して、健やかな夏を過ごしましょう。

  • 04Jul
    • 梅雨『赤小豆薏苡仁粥』

      梅雨の時期になると、体がだるい、頭が重い、めまいがする…。体調不良に悩まされる方も少なくないようです。湿度が高い、外部の湿邪が多いのは梅雨の特徴です。中医学では、湿邪は体の陽気を傷つけ、気の流れを阻害するのでめまい、胸の痞え、腹部脹満、食欲不振などの症状が現れます。また、湿邪の重濁性、粘滞性があるため、体の重だるさ、むくみ、下痢、湿疹などもよくみられます。今日おすすめする『赤小豆薏苡仁粥』は、脾胃の働きを高め、体の余分な水湿を取り除く効果がある一品です。赤小豆はあずきのこと、紅小豆とも言います。薏苡仁は、はと麦のことで、両者は健脾化湿利水解毒の効果があります。漢方薬としてもよく使用されます。赤小豆(あずき)薏苡仁(はと麦)『赤小豆薏苡仁粥』の作り方はとても簡単です。あずきとはと麦を半分ずつの量でよく洗った後、水に2~3時間浸けておく。それから炊飯器のお粥モードに設定するだけです。朝食や間食として召し上がって良いと思います。

  • 01May
    • 中華料理を食べるなら西川口へ

      人民網日本語版に西川口駅周辺の中華料理店の話題が掲載されました。[ゴーストタウン化していた埼玉県西川口駅周辺に中国人が新たな活気注入_人民網日本語版 :http://j.people.com.cn/mobile/index.html?pageName=newsContent&pagePara=%7B%22channelName%22%3A%22index%22%2C%22newsId%22%3A%229209189%22%2C%22pageNum%22%3A%221%22%2C%22listPageNum%22%3A%221%22%7D&v=1]

  • 28Apr
    • 風邪のひき始めに『ネギ』

      皆さん、こんにちは。鍼灸マッサージ師の東 理子です。4月ももうすぐ終わりですね。けれど朝晩は意外に肌寒いですね。風邪をひかない様に気を付けてください。でも、もしひいたら早めに治療!ですね。今日は私が常日頃実践している方法をご紹介いたします。ネギの白い部分を用いたもの。作り方は簡単です。ネギの白い部分10cmくらい(ネギの太さにより量は加減してください)をみじん切りにしてお椀に入れ、みそ大さじ1杯を加えてお湯を注ぎ、かき混ぜたものを飲む!これだけです。何年か前に風邪をひいて、鼻がつまり眠れなかった時に、本で調べて作ってみたら本当に良く効いて感激しました。(『台所漢方の事典』根本幸夫著)おかげ様で10年以上、漢方薬以外の風邪薬は飲んでいません。たまに葛根湯あるいは、小青竜湯を飲むくらいです。冬場は、ふだんの食事の時にも飲んで予防に努めています。ネギの白い部分は、葱白(そうはく)と呼び、発汗、健胃、去痰の作用があるそうです。風邪のひき始めに汗をかかせて治すということだそうです。ただし、熱があっても寝汗やよく汗をかく人には禁忌とありますので、くれぐれもご注意ください。なお、咳がひどいタイプの風邪や慢性化した場合は効果がないかもしれません。また別の機会にご紹介いたしますね。

  • 17Apr
    • がんと鍼灸治療【2】

      一般的に知れれる補穴は、足三里、関元、気海、命門、背兪(心、肺、肝、脾、腎兪)百会などがあります。これらの穴の治療で体力の増強、食欲の回復、良質な睡眠、白血球増加、貧血改善などの臨床効果が得られています。気血の流れを良くする穴として、期門、陽陵泉、膻中、太衝、血海、膈兪。また各症状に対応する穴として、食欲不振、はきけには、内関、中脘、足三里。下痢、便秘には、天枢、上巨虚、支溝、曲池。咳、息苦しいには、尺沢、太淵、中府。動悸、息切れには、内関、間使など。不眠や不安などの精神症状には、神門、神庭、四神聡、百会。つまり本治法と標治法を併行します。二千年前中医古典医籍《内経素問》に「正気内存、邪不可干」、「邪之所凑、正気必虚」という発病の原因についての記載があります。つまり「人体の正気が旺盛であれば、邪に犯されることはない、邪に犯されるところは正気が必ず虚している」という意味です。正気の盛衰は発病の根拠で、これはがんの治療と予防にも大きな意味があります。がん治療に、様々な症状の緩和や生活の質の改善、免疫の向上などに鍼灸が効果を発揮できると思います。

  • 10Apr
    • がんと鍼灸治療【1】

      現在、がんは日本人の死因の第1位となり、3人に1人はがんで亡くなっているといわれています。がんそのものによる苦痛や手術、抗がん剤、放射線治療の副作用によって様々な症状が引き起こされます。これらの症状を抱える患者さんに対して、鍼灸はどのような治療が出来るのか、何に期待出来るのか。WHO(世界保健機関)に認められる鍼効果、厚生労働省の研究班が作成した「がんの補完代替医療ガイドブック」からまとめると、次のような効果が考えられます。① 痛みの緩和(鎮痛効果)② 抗がん剤などの副作用の軽減③ 免疫を高める、自然治癒力を向上させる。④ 心理的、精神的苦痛を軽減させる。当院では主に、抗がん剤などの副作用を軽減、免疫力を高めることに力を入れています。抗がん剤の副作用として多く見られるのは、体の痛みや手足の痺れ、はきけ、嘔吐、食欲不振、下痢、便秘、咳、息苦しい、動悸などの神経障害、胃腸、呼吸循環器機機能障害の症状です。中医学の立場から見るとこれらの症状は、過酷な治療で正気が大きく損傷されてきた症状です。正気というのは、免疫力、治癒力を支える主要なもので、気血、津液、精気からなる物です。治療として漢方、鍼灸を始めて、いかに正気を回復させ衰えた働きを正常にするかが治療の目的あるいは目標になります。鍼灸治療には補穴の使用がポイントです。同時に正気損傷による気血不通の症状を改善し気血の流れを促す行気活血穴、また各症状に対応する治療穴も併用されます。次回は、補穴と各症状の治療穴についてお話します。

  • 06Mar
    • 梅生姜茶

      皆さん、こんにちは。鍼灸マッサージ師の東 理子です。年が明けたと思ったら、もう3月ですね。皆さん楽しい毎日をお過ごしでしょうか?体の調子が悪いと楽しいはずの毎日も、ちょっと気分がダウンしてしまいますね。毎日元気でいるために何か健康に良いことなさっていますか?えっ?!鍼治療に通っていらっしゃる!素晴らしい♪鍼は、中国では昔から養生法として親しまれた歴史があります。「体質を強化し、疾病を予防し、老化を防ぐ効果がある」と。この点については、中国の古典といわれる貴重な文献の数々でくり返し記されていて何千年も前から実践されています。今日は鍼の話ではないのですが、私が鍼灸に出会ってすぐの頃に、今は亡き師匠に勧められ、20年以上ほぼ毎日続けている、梅干生姜番茶のお話です。これは日本の民間療法の1つなのですが、食事療法にご興味のある方はご存知かもしれません。色々な本でも紹介されています。その効能は、疲労回復、胃腸強化(他に、腰痛、冷え性、かぜ、神経痛、貧血、低血圧、下痢、頻脈、動悸)とあります。すごいですね。材料は、①梅干し これは、酸っぱい味で五臓のうちの肝を養います。      肝が元気になることで血液が浄化されます。②生姜  これは、胃を健やかにする働きがあります。      食事のあとに胃もたれする方などにはうってつけです。      また、体を温める働きもありますから冷え性の方にも効果があります。大森一慧著『からだの自然治癒力をひき出す食事を手当て』(サンマーク出版)によれば「梅干しのクエン酸や生姜が代謝を促し、血液をきれいにサラサラに。そこに梅干しと醤油の塩分が加わり、血中ヘモグロビンを活性化させて、体のすみずみまで十分な酸素を運ぶ。また梅干し、生姜の殺菌力が腐敗菌を抑える」そうです。ただし、内臓出血のある人は飲まないで下さい。と注意がありますから、この場合は避けてください。体の要である肝を養い、人間の後天の気(食べものからのエネルギー)を生み出す胃を健やかにする。まさに日々の保険飲料。朝がおすすめですが、いつでもOK!これから飲み会に行くなんて時は、お酒を飲む前に肝臓を守ることができますね。作り方は、いたって簡単。湯のみに、梅干し中1個(私は梅干しが苦手なので1/2個)生姜のおろし汁少々、或いはすりおろし少々(私は少し多め、すりおろしをティースプーン1/2くらい)多過ぎると辛いので、ちょうど良い量を見つけてください。ちなみにテキストには生姜汁2、3滴とあります。それに醤油少々。塩分が気になる方は少なめでOK。これに番茶を注いで、全部かき混ぜて飲む!私が習った時は緑茶でも良いと言われましたが、今は更に簡単に白湯にしています。おかげさまでこの20年、気持ち良く朝ごはんが食べられますし、胃もたれからも解放されています。簡単なのでどうぞ試してみてください。

  • 31Jan
    • 春節について

      春節というのは、旧暦の正月。日本では旧正月と呼ばれています。だいたい1月下旬~2月上旬にあたります。春節は、中国を始め世界の華人にとって最も大切な伝統行事です。春節の食べ物といえば、北京を含む中国北方の正月は、餃子(水餃子)です。大晦日から家族が集まって餃子を作り、年越しに食べる習慣があります。餃子の形が金子や銀子に似ていて縁起が良いからと言われています。米を主食とする南方では、餃子の代わりに湯圓(タンユエン)を食べます。湯圓とは、トロッととろける餡子やゴマやピーナッツなどの具が入っている白玉団子の入ったスープですが、満月のように丸く、銀元(昔のお金)のように白く、家族団らん、幸せのシンボルとされています。大晦日は、家族でテレビ番組『春節聯歓晩会』(日本の紅白歌合戦のような番組)を観ながら新しい年を迎えます。そして夜になると町のあちらこちらで爆竹や花火が上がりだします。中国では古くから魔よけとして年越しの晩に爆竹を盛大に鳴らし、花火を楽しむ習慣があります。また、大年初一(旧暦1月1日)から親戚挨拶回りをします。正月初五(旧暦1月5日)は、お金の神様(財神)がやってくる日。花火や爆竹を最も盛大に打ち上げて財神を迎えます。元霄節(旧暦1月15日)は満月の日で、灯籠を飾り、月を観賞しながら元霄(中華白玉)を食べ、一家団らんを楽しみます。この日をもって中国の正月は終わりとなります。

  • 29Dec
    • 2016年のおわりに

      2016年も終わりに近づいてきましたね。皆様はどんな一年だったでしょうか。本院は今年、開院10周年を迎えました。10年間、たくさんの方と出会って、さまざまな治療に携わりました。『笑顔が見えるようになった』『仕事に復帰できた』『赤ちゃんが産まれた』共にたくさんの喜びを味わいました。また思うように効果が出ない時は、力不足を痛感したこともありました。これらは全て経験として今後の治療に役立つことと思います。最近、通信手段の発達によって、情報交換や学術勉強は容易になりました。五行針灸(人の体質、性格を考えて治療を行う)陰陽太極針灸(体の上下、左右、内外などのバランスを考えて針灸治療を行う)筋膜、疼痛点などに治療する等々の治療方法を取り入れて治療効果アップを目指して努力したいと思います。今年も一年ブログを見ていただきありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。~*~*~*~*~*~新年の診療は、2017年1月10日(火)からになります。

  • 08Dec
    • 鍼を使わずにお灸で腰痛を治す?!

      皆さん、こんにちは!鍼灸マッサージ師の東 理子です。お元気ですか?先々週は、11月というのに雪が降りましたね。見ているのは美しいけれど、外出の際は妨げになりますね。私も長靴をはいて出掛けました。ところで、このブログを読んで下さっている皆さんは、“鍼治療を受けたことがある” あるいは “これから受けてみようかな”という方が多いと思います。けれど中には、“鍼はこわい…。”という方もいらっしゃいます。もう何年も定期的に私のマッサージを受けていらっしゃるAさんはそんなおひとり。筋肉が硬くなりやすく、それに伴いいろいろな症状が出るので、体全体をほぐす目的で、マッサージをしています。花粉症などの症状がある時は、ツボを指圧し、鍼を用いないで指を鍼の代わりにして、出来る範囲で施術し症状の軽減を図ります。ところが先日、そんなAさんが急性の腰痛になり急遽呼ばれました。念のため、鍼と灸を持参。お話を伺うと、痛くなる前日、寒い日にも関わらず庭の手入れを長時間なさったとの事。冷えも原因の1つと考えられます。痛みは、右腎兪(第2腰椎から指2本分外側。ちょうどウェスト辺りのツボ)から右大腸兪(第4腰椎から指2本分外側のツボ)を中心に出ています。動作により、右おしりから右大腿の後ろ側の筋肉がつれるように痛む。安静時は痛くない。押してみると、右大腸兪が最も痛い。“この症状なら鍼が効くのだけれど…。”と思いつつ、痛みの出ている腰部と臀部を棒灸でじっくりと温めます。気持ちが良かったのか、一瞬眠ってしまわれました。温まったところで、今度は腹部の圧痛点を探します。腰に痛みがある時は、お腹にも圧痛点が現れることがあります。おへその右下付近(ツボでいうと大巨辺り)を押すと痛い。ここを中心に棒灸で温めます。時間にして1時間。主に棒灸で治療をして、この日は終了。坐骨神経痛をおこしかけているので、本来なら鍼で治療し、通電も加えると効果的です。鍼がこわいAさん…。なんとか棒灸だけで効いて欲しいと念じながら治療しました。翌日も伺うと、「痛くないの!効いたわ~」とのこと。棒灸だけで多少の不安はありましたから、この結果には本当にほっとしました。棒灸は、昔のお灸のように直接皮膚を火傷させることもなく、じんわりと温めます。ただし、熱や炎症(赤くなり腫れて熱を持っているなど)がある時は、逆効果で症状を悪化させます。くれぐれも自己判断をしないで鍼灸師におまかせください。

  • 10Nov
    • 陰陽のバランス取れば症状良くなる

      中医学では、陰陽という考え方が非常に重要でそのバランスを取ることが基礎理念としてあります。とは言っても何のことなのかすぐにはピンとこないかもしれません。具体的に人体の陰陽は、上下、左右、表裏、寒熱、臓腑、腹背、興奮と抑制などの対応内容があります。鍼灸治療の場合は、例えば、身体の右側の痛みに身体の左側へ治療すると良くなることがあります。これが「巨刺法」と呼ばれる方法です。また、頭が痛い時に、足にあるツボに治療すると痛みが消える、五十肩の肩、腕が痛くて動かせない時、膝の下にあるツボを刺激すると痛みがやわらぎ、肩、腕が動かしやすくなります。これらは上下陰陽のバランスが取れて良くなるのです。このような治療は、中医鍼灸治療の中でたくさんあります。更に、現代医学の交感神経と副交感神経の自律神経系は、交感神経の働きが陽に属し、副交感神経の働きは陰に属すると思われます。つまり、自律神経失調症は中医学では、陰陽失調になります。とくに、臓腑、気血、寒熱などの陰陽失調は関係が深いと考えられます。治療は、陰陽バランスを整えることを主眼に置き行うのです。つまりどんな病名、症状でも陰陽のバランスを取れば、必ず改善されることと確信しています。

  • 18Oct
    • 鍼灸で通じれば痛まず

      ふだん感じたさまざまな痛み、首、肩、腰、膝などの痛みは大抵、痛いところの血流の流れが悪い、酸素不足、老廃物蓄積と言われています。鍼灸では「通即不痛、不通即痛」つまり「通じれば痛まず、通じざれば痛む」という言葉があります。鍼灸の効果は、ツボ刺激を通じて、経脈の気血の流れを良くして痛みを改善するのです。具体的に、三つの方法があります。「三通法」とも言われています。一つ目は、「微通法」です。鍼やローラー鍼、皮内鍼などを使って通じさせます。二つ目は、「温通法」です。お灸で温めて通じさせます。三つ目は、「強通法」です。流れなくなって悪くなった血液(瘀血)を少量取り除いて通じさせる方法です。瘀血(おけつ)は、色が赤黒く粘りがあり、体に害となります。この瘀血を取り除いて鮮やかな赤い色になります。これらの方法で、血流の過不足を調整すれば、痛みなどさまざまな症状が改善されます。また、今まで血流を悪くする原因(冷え、運動不足、ストレス、外傷など)にも気を付けて再発しないように注意することも大事です。

  • 07Oct
    • ねちがえ(落枕)

      すっかりご無沙汰しております。鍼灸マッサージ師の東です。暑い夏のあと、例年ならば残暑が厳しいところ、今年は雨が多いですね。台風もやって来ました。そのせいか、この秋は、体調を崩される方が多いような気がします。雨の時は湿度が上がり、中医学でいう“湿邪”が外界に増えます。又、台風では低気圧もやってきます。虚弱な方の中には湿邪や低気圧に敏感に反応される方もいらっしゃいます。体が怠くなったり、頭痛がしたり…。梅雨時と同じように、このような気候の時は、梅干しが効くと民間療法の本に書いてあったと記憶しています。調子の悪い方、梅干しを1個試してみてくださいね。ところで、先日、いつも膝痛で治療に伺っている80代女性から「首が痛いので治療して欲しい」と依頼がありました。2~3日前から首のこりを感じていたそうですが、その後、突然、朝、目が覚めたら右の首が痛くて起き上がれないとのこと。“寝違え”のようです。とりあえず、私が行くまで蒸しタオル(濡らして絞ったタオルを電子レンジでチン!するとすぐに出来ます)を痛いところにあててみてくださいとお願いしました。夕方に伺うと、布団におやすみになっています。左右も前後も運動制限あり、あまり動かすことが出来ません。「打撲などのきっかけがありますか?」と尋ねても、「それはない」とのこと。赤く腫れたり、熱をもっている様子もないので、寝違えと判断しました。先に蒸しタオルで温めてもらっていたのですが、改めて患部(右僧帽筋から胸鎖乳筋にかけて=後頚部~側頚部)に棒灸。「気持ち良い!」と言われるのでゆっくり温めます。その前に、寝違えに効く手足のツボに鍼を打ちます。横向きでの施術なので、患部の後谿、束骨、懸鐘。後谿と束骨は首の運動制限に効きます。懸鐘は、中医学では落枕=寝違いの経験穴です。棒灸でほんのり患部が温まり、筋肉が緩んだところで鍼を打ちます。まず、ご本人が指す圧痛点。それから頚に効く、天柱、百労、大杼、風池など。頚から肩こりが強いので、これをとるツボ、外関、曲池、肩井などにも取穴します。痛いところのみ軽く通電し、その日は治療を終えました。ご本人曰く「こんなに痛いのは初めて!首が痛いと何も出来ないのね・・」その後、1日おきに数回治療しましたが、みるみる間に良くなり、私の方が驚きました。高齢なこともあり、長引くことを心配したのですが、ご本人の自然治癒力の成せるわざでしょう。寝違えは、中医学では落枕といい、首の筋肉(後、側部)の強痛、だるい痛み、運動制限が主症です。原因は、睡眠中の不適切な姿勢、又は、頚頂部への風寒の邪(中医学の外邪の一種、冷たい風の邪気と思ってください)の侵襲などの原因で、気の流れが滞ることによると言われています。この方の場合は、それ以前に疲労が溜まり首、肩のこりが生じ、血流も悪く筋肉が硬くなっていたことも原因の一つと考えられます。(局部の気血不和、経脈阻滞)今回はご高齢で心配したのですが、短い期間に回復なさったのでほっと一安心しました。寝違えの時は、早めに鍼治療を受けてみられてはいかがでしょうか。それから寝違えにならないように、普段から首、肩のこりを感じたら悪くなる前に、鍼でこりをとってもらうのも良いかもしれません。

  • 05Sep
    • フェルプス選手 丸いアザは何?

      こんにちは。皆さまいかがお過ごしでしょうか?鍼灸師の東理子です。リオのオリンピックも終わってしまいましたね。若い選手達が活躍する姿を見るのは嬉しいものですね。ところで、競泳のレースをたまたまテレビで見ておりましたら「水の怪物」といわれるフェルプス選手(米国 31才)の肩に丸い赤っぽいアザを見つけました。かなりはっきりと色がついていましたから気が付いた方も多いと思います。肩(三角筋)や背中のあの丸いあと~何だかお分かりになりますか?鍼灸院や整骨院での治療になじみのない方は初めてご覧になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?あの赤い色は、おそらく中国式吸玉(すいだま)の跡と思います。吸角(きゅうかく)とも言いますし、最近ではカッピングとも呼ばれ、エステティックサロンでも行われているようで、以前エステの広告で背中にカッピングを施した写真を見たこともあります。やり方は、吸い玉の内部を陰圧(外よりも低い状態)にして吸引します。今は、吸い玉からポンプで内の空気を抜いて、内の圧を調整出来るようなものが主流です。中国では古くからある治療法です。その部分に圧がかかるので、指圧のような効果があります。その部分の血流が悪く、老廃物が溜まっている場合、色が残ります。同じ圧で吸い玉をつけても、良いところはあまり色が残りません。残る赤い色の濃さで、症状の程度が分かります。悪いところ程、色は濃くなることが多いと習いました。また、症状の程度により、色が消える日数も違います。濃い場合は長くて1週間、薄い場合は2~3日でなくなります。どんなに色が濃くても消えないということはありません。吸い玉は血流を促進し、筋肉の疲労を回復させる効果があると思われます。筋肉のこりのひどい部位(肩こり、腰痛)には吸い玉を用いると楽になります。アメリカ人のフェルプス選手にとって、中国式の吸い玉はなじみのないケア方法だったのではないでしょうか?それでも良いと思われるやり方を取り入れてレースに挑む。一流の選手はすごいと思いました。

  • 25Aug
    • 眼球突出の鍼灸治験例

      眼球突出の原因は主にバセドウ病と眼窩腫瘍などに見られる症状です。今回治療した方は、バセドウ病ではなく腫瘍でもない、炎症と診断されたものです。40代前半の女性の方で、1年前に仕事の疲れとストレスが溜まっていた時期から、左眼の痛みが感じるようになり、次第に左眼球が飛び出ているように見えてきた。病院の検査はバセドウ病と腫瘍が排除され、炎症ではないかと言われた。抗炎症の薬や局処注射をしてきたが、効果がわずかでした。自覚症状として、左眼の脹痛とときどき起こる頭痛とめまいです。ふだんから冷え性、疲れやすい、肩こりがある。舌暗淡胖犬苔薄白、脈沈細。月経量少、色黒。諸症状と舌脈などの総合判断で、中医学の弁証は、気滞血瘀、気血不足、肝胆経絡阻滞です。治療は遠隔取穴で、調理気血。局部取穴で疏通気血経絡。具体穴位は、三陰交、太衝、陽陵泉、足三里、合谷、外関、膈兪、肝兪、百会。左太陽穴、頭臨泣、頭維、風池、肩井などの局部通電の時もある。治療後、眼の痛みが軽減した。3回目は眼の痛みが半減された。6回目来院時に外見上、眼球突出がほとんど分からないくらいに改善された。頭痛、めまい、肩こりも良くなった。現在、効果を維持するため月1回の治療を継続されている。今回、奏功した症例は、鍼灸治療のみで約2ヶ月計6回の治療で眼球突出が著しく改善されたことに患者さんがとても驚き喜んでいる。

  • 30Jun
    • 背痛の鍼灸治療で諸症状改善の症例

      今回紹介する症例は、背中の痛みが主訴ですが、中医学の弁証に基づいて全身調整を重点に治療した結果、背中の痛みのみならず、今までの痔、高血圧、目の痛み、眼圧が高いなどの不調も改善された例です。76才女性。去年10月上旬に初診。主訴:左背中の痛み。半年前から左背中に痛みが感じるようになった。しだいにひどくなった。病院の検査は原因が見つからなかった。痛み止めや患部に注射するなどで良くならなかった。今までの不眠が悪化した。不安感や目の痛み、頭痛、肩こりがときどき感じる。汗をかきやすい。暑がり、のぼせ、血圧が高い(150~160/90~95mmHg)痔持ち。眼圧が高いため、眼科にも定期検査している。所見:太り気味、顔色が赤い、目の充血がある、舌質紅苔黄膩、脈弦数(左手斜飛脈)。大小便正常。中医学の弁証は、痰(湿)熱内蘊、肝火上炎、気血阻滞。治療:化痰利湿、清熱通経活絡兼安神。全身調整を重点に治療を行った。取穴は、内関、外関、三陰交、陽陵泉、豊隆、太衝、太谿、照海、百会、風池、膈兪、肝兪、委中など。左背中局処に軽く温灸を行う。週1回で約2ヶ月の治療で、背痛は半減。又、長く患った痔も小さくなった。血圧は、130/85mmHgまで下がった(今まで降圧剤を飲んでも高かった)。その後の治療は、2週間に1回にした。半年後の眼科の定期検査は眼圧が下がった(16→12)と言われた。頭痛、目の痛み、睡眠も改善された。中医学の特徴の一つは、整体観念です。整体観念とは、人体自身及び人体と自然界との統一性をいう。人体自身の統一性は、人体の各臓腑や経絡と各組織・器官と相互連絡、相互影響治療の場合に局部の病変を治そうとすると、整体調節をもとにして考えてから始めて適当な治療を行うことができると思う。本症例は、背痛の主訴をはじめ一連の症状が改善されたことは、人体の統一性を現わしたのではないでしょうか。

  • 27May
    • 痛みの鍼灸治療をしたら血糖値が下がった!

      皆様お久しぶりです。鍼灸マッサージ師の東 理子です。すっかりご無沙汰してしまいました。今年ももう5月も下旬~本当に時間が経つのが早くて困ってしまいます。 ところで、鍼灸というと日本ではどうしても肩こり、腰痛など筋肉や神経の症状、あるいは、痛みのある時のみに有効と思っている方が多いのではないでしょうか?ところが、最近定期的に膝の治療をしている80代の女性。変形性膝関節症があり、時に腰痛を併発。糖尿病のため手術はしないということで鍼灸治療を始めました。週1~2回の治療を約3ヶ月。ある日、月1回受診しているかかりつけの医師より、ヘモグロビンAlcの値が8以上から7.1に下がったと告げられました。とても医師も驚いたそうです。 中医学では、糖尿病ののことを『消渇』と呼びます。膝内側の痛みをとるために、下肢内側の三陰交、陰陵泉、血海というツボをよく用いましたが、これは別名、糖尿三穴と本で読んだことがあります。また、腰痛に効く腎兪というツボも、下消という種類の消渇には効くとあったはず。膝や腰の痛みをとるためにあらゆるツボを駆使したところ持病にも効果が出て、予想外の結果が出ました。 本来、鍼灸は、痛みの疾患のみならず、内科の疾患にもとても力を発揮するのです。現に本場中国では、病院に鍼灸科(あるいは、中医科)が設けられています。我々が勉強するテキストのもとの古典といわれる古い文献にも、内科の疾患に関する記述あるいは症例はとても多いのです。日本でも、明治維新により、漢方医はその当時開業している治療家限り医師として認め、それ以降は、西洋医学を学んだ者でなければ医師と認めないと法律で定められるまでは漢方医が内科の疾患についても治療にあたり、鍼灸も多いに施されていたはずです。けれど、現在の日本では、鍼灸が内科に効くという認識が薄いため、そのような疾患の方を治療する機会は限られます。もっと鍼灸のすばらしさを知ってもらうには今後も努力を続けたいと思います。

  • 14Apr
    • 小児に対する中医鍼灸治療

      ○遺尿通常4才以上になっても睡眠中に尿を漏らし、目覚めた後に気づくという病証である。本証の発病は,腎,膀胱の失調と直接関係している。発病原因の多くは,腎気不足(先天不足),下元虚寒,病後の体質虚弱,肺脾気虚,また習慣によるものである。本病の治療は,「霊枢」の“遺溺すれば即ちこれを補う”の原則に基づいて,培元補腎を主に行う。小児遺尿に鍼灸治療が非常に有効である。主に以下二つのタイブがある。1.下元虚寒による遺尿(腎気不足)<症状の特徴>遺尿,尿量が多い,尿の色が透明,一夜数回遺尿する。顔色白,精神不振,発育が遅い,四肢冷え,舌質淡,脈沈遅無力,指紋淡。<治療>温補腎陽,固摂下元で 関元,中極,腎兪,膀胱兪,太谿を使う。お灸を併用する。関元に施灸して下焦の元陽を温補し,腎兪,太谿により腎気の補益をはかる。中極,膀胱兪に施灸して膀胱の制約機能の強化を促す。2.脾肺気虚による遺尿 <症状の特徴>遺尿,排尿回数が多いが尿量が多くない,顔色萎黄,精神不振,食欲不振,自汗,大便溏薄,舌質淡,脈弱,指紋淡。<治療>益気補脾,固摂小便で、気海,太淵,肺兪,脾兪,三陰交,足三里を使う。太淵,肺兪は兪原配穴で肺気の補益をはかり,気海に施灸して元気の補益を促す。脾兪,三陰交,足三里により脾胃を補益し,生化の源の機能を促進して気血の充実をはかる。気海,肺兪に灸もする。○夜泣き1才以下の幼児によく見られる病症である。弁証分型1.脾気虚寒による夜泣き(脾陽虚)<病因病機> 母親の体質が陽虚であったり,妊娠中に体を冷やすものを過食したりすると,胎児の先天の陽気が不足して脾胃に陰寒が内生しやすい体質となる。また生まれたばかりの幼児の体質は稚陰稚陽であり,不注意で入浴中に冷やしたり,睡眠中に腹部を冷やしたりして,陰寒が内生しやすい。陰盛となる夜間になると,陰寒が強くなり腹中の拘急や疼痛が発生し,夜泣きを引き起こす。<症状と所見>夜泣き,泣き声は低く弱い,体を丸めて泣く,顔色青白,四肢や腹部が冷える,腹部喜按,食欲不振,腹脹,吐乳,下痢,小便清長,舌質淡,指紋淡。<治療>温脾散寒,安神止痛で内関,中脘,足三里に小児鍼で,百会には温灸を施す。内関により安神定志をはかり,中脘,足三里により和胃健脾,理気散寒をはかる。百会は鎮驚をはかる。2.驚恐による夜泣き<病因病機>生まれたばかりの幼児は,神気が充実しておらず心気も脆弱で知能も未発達なため,突然物音を見たり聞いたりすると驚恐を感じる。驚恐によって心神不安となって精神不安が高まり安眠できず夜泣きするようになる。<症状と所見>夜泣き,突然恐い物でも見たように泣き出して泣き止まない,泣き声は高い,顔色青灰,精神不安,指紋青紫。<治療>鎮驚安神,清心寧志で、印堂,間使,神門,大陵に小児鍼。印堂により鎮驚安神をはかる。間使により清心をはかり,神門,大陵を加えて清心寧志を強化する。

  • 01Mar
    • 逆流性食道炎(胃食道逆流)の鍼灸治療

      逆流性食道炎とは、胃の内容物や胃酸などが胃から食道に逆流することによって食道の炎症が起こることです。主な症状は、胸焼け、胸痛、つかえ、喉の違和感、痛み、ゲップ、慢性の咳嗽があります。その原因として考えられるのは、加齢による食道下部の筋力低下、過食による胃酸の出過ぎ、肥満、妊娠、便秘などによる胃の圧迫(腹圧の上昇)、はっきりした理由が不明の場合は、精神的ストレスが原因とされることが多いです。病院では、胃酸を抑える薬や、制酸剤が処方されるようです。鍼灸治療では、自律神経の働きを調整することで過度の胃酸分泌を抑え、さまざまな症状を緩和することができます。中医学の考えでは、これらの症状は胃気上逆によるもので、胃、大腸、肝、脾との関係が深い、主に、肝胃不和、肝脾不和、胃腸気滞、胃腸積熱の分類があります。治療においては、胃気上逆の原因を治療し、肝、脾、胃、大腸の働きを整え、上逆の胃気を下へ働かせます。治療に用いられる穴位は、中脘、足三里、内関は、和胃健脾。陽陵泉、太衝、期門は、理気流肝。内庭、天枢、上巨虚は、清熱導滞。また、吸玉を併用(胸、腹、背)、胃腸内の圧力を調整する方法も有効です。セルフケアとして、酸味の強い食品や、脂肪分の多い食事を控え、腹八分目が良いでしょう。食後すぐに横になることは避けましょう。又、お腹をベルトできつく締め付けすぎない、無理して重たいものを持たないように注意するなど、腹圧が高まるのを避けることも大切です。食生活では、油をオリーブオイルに変えることも逆流性食道炎の緩和に効果がある調査結果が出ています。逆流性食道炎の症状がある方は、症状が軽い段階での鍼灸治療はより有効です。再発を予防するにも有効です。

  • 19Feb
    • 下痢に対する中医学的治療

       下痢とは、泥状あるいは水様の便で、排便の回数が多く、排便時にテネスムス(渋り腹、裏急後重)を伴わないものを指す。中医学では下痢のことを「泄瀉」という。下痢には急性と慢性がある。前者は外邪、飲食不節により起こり、実証のものが多い。後者は肝脾不調、脾胃虚弱、腎陽虚により起こり、虚証のものが多い。《弁証分型》1.外邪による下痢病因病機:下痢を引き起こす外邪としては、寒、湿、暑,熱はあるが、湿邪によるものが多い。湿邪はもっとも脾に影響がおよびやすく、脾の運化機能が失調すると下痢が起こる。湿に寒が絡むと寒湿による下痢となり、湿に暑熱が絡むと湿熱による下痢となる。症状と所見①寒湿による下痢:水様便あるいは未消化便で悪臭がない。腹痛、腹鳴、腹満感、食欲不振、あるいは悪寒、発熱、鼻閉、頭痛を伴う。舌苔白膩、脈濡緩。②湿熱による下痢:急迫した下痢、腹痛と下痢が交互しておこる。あるいはすっきりと排便できない。肛門の灼熱感、煩熱、口渇、小便短少。舌苔黄膩、脈濡数。治療方針:①散寒化湿 ②清熱化湿処方例:①中脘、天枢、上巨虚、陰陵泉 ②中脘、天枢、上巨虚、陰陵泉、合谷、曲池。解 説:中脘は胃の募穴であり、天枢は大腸の募穴である。この2穴を配穴して胃腸の運化機能と伝導機能の調節をはかる。大腸の下合穴である上巨虚で胃腸の気機を通調し、陰陵泉で脾気を調節して化湿をはかる。合谷、曲池で清熱をはかる。2.飲食不節(食滞)による下痢病因病機:過度の飲食、油っこい物、生もの、冷たい物を食べすぎたり、不衛生な物を食べると、脾胃を損傷し,そのために腸の伝導機能や脾胃の昇降機能が失調すると下痢が起こる。症状と所見:腹が痛むと下痢し下痢後痛みが軽減、しばらくするとまた繰り返す、便は粘稠あるいは未消化物が混じる、悪臭を伴う。腹脹、食欲不振、噯腐、呑酸、舌苔黄厚膩、脈滑。治療方針:消食導滞処方例:公孫、中脘、天枢、足三里、脾兪、胃兪、大腸兪解 説:上述の各治療穴、脾胃の機能を向上させ、運化機能を助ける作用がある。また中脘と胃兪、天枢と大腸兪の配穴は、兪募配穴法によるものである。3.情志失調(肝鬱)による下痢病因病機:平素から脾胃が虚している場合、精神的緊張や情緒の変化により肝気鬱結となりそれが脾に影響すると、運化機能が失調して下痢が起こる。症状と所見: 精神的な刺激や緊張により腹痛、下痢が起こる、平素から胸脇部の膨満感がある、噯気、食欲不振。舌質淡紅、脈弦。治療方針:疏肝健脾処方例:中脘、天枢、足三里、太衝、陽陵泉解 説:太衝、陽陵泉で疏肝をはかり、肝気の横逆を改善する。その他の治療穴で脾を助け、腸の機能を改善する。4.脾胃虚弱による下痢病因病機:飲食不節、労倦内傷または久病により脾胃の機能が衰えると、水穀の受納と精微の運化が悪くなると、清濁の分別がうまくいかなくなり、下痢が起こる。症状と所見:軟便または水様便、油っこい物、生もの、冷たい物、消化しにくい物を食べると増悪、未消化物を伴うこともある。食欲不振、食後の腹脹、顔色萎黄、疲労、乏力。舌質淡、舌苔白、脈細弱。治療方針:健脾益気処方例:脾兪、章門、中脘、天枢、足三里解 説:脾兪、章門の配穴は兪募配穴法であり、これにより健脾益気をはかる。中脘は胃の募穴であり、天枢は大腸の募穴である。これに胃経の合穴である足三里を配穴して脾陽を温め運化機能の改善を助ける。5.腎陽虚による下痢病因病機:久病または老化により腎気、腎陽が虚して、脾陽をうまく温煦できなくなると、運化機能が低下して下痢が起こる。症状と所見:五更泄瀉(夜明け頃に陽気が少なく陰寒が強いので、この時刻に腹痛,腹鳴が起こり下痢する)。腰腹部の冷え、四肢の冷え、腰や膝のだるさ。舌質淡,舌苔白,脈沈弱,特に尺部が弱い。治療方針:温腎健脾処方例:脾兪、章門、中脘、天枢、足三里に命門、関元を加える。解 説:健脾益気法と同じ、命門、関元で元陽の温補をはかり、腎陽を助ける。その他の療法:耳穴療法:大腸,直腸中薬治療:寒湿による下痢:藿香正気湯湿熱による下痢:葛根芩連湯食滞による下痢:保和丸肝鬱による下痢:痛瀉要方脾胃による下痢:香砂六君子湯腎陽虚による下痢:四神丸《症 例》○○○,女,31歳1年余りの下痢。1年前、職場の人間関係で抑鬱状態になり、そのときに下痢がおこりだした。憂鬱すると増悪しやすい。腹痛、腹部脹満、ゲップ、食欲不振を伴う。不眠、眩暈、頭痛(側頭部、頭頂部)が起こることもある。舌質淡紅、脈弦である。弁 証 肝鬱気滞 肝脾不調治 則 疏肝理気健脾処 方 太衝、陽陵泉、足三里、百会 置針する経 過 週1~2回の治療で、下痢をはじめの諸症状は徐々に改善され、10回の治療で終了した。